【No.727】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第十弾 奥三河の花祭」 |至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長  石田 芳弘氏|
2015.10.15

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J.I.メールニュース No.727 2015.10.15 発行

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第十弾 奥三河の花祭」

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【1】<巻頭寄稿文>

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第十弾 奥三河の花祭」

至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘

【2】<お知らせ>

(1) 第217回J.I.フォーラム  10月27日 開催決定

「若者の政治参加」 ~若者にとって政治が「自分事」になるのか~

(2) 今後の構想日本の活動

(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

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【1】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第十弾 奥三河の花祭」

至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘

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愛知県奥三河からさらに内陸へ入り、天竜川水系の長野・静岡にかけての花祭は、民俗学の宝庫である。一般にはほとんど知られていない、いわば歴史の冷凍庫に保管されフリーズされた祭だ。私は柳田国男の「日本の祭」から始まり、折口信夫の著作を読むうちにこの花祭こそ、古層に刻み込まれた日本人の本質にかかわる祭だと認識するようになった。

現在私が傾倒している人類学者中沢新一さんの表現を借りると「古代から来た未来人」である折口は、この花祭を静かにじっと観察し、完全に縄文の時空間に埋没していったという。

「花祭」を別名「霜月祭」という。冬至こそ生命力のターニングポイント。夜の長さが逆転し、この日を境に太陽の力が復活する。

自宅近所に3世紀構築の東之宮古墳がある。真東から昇った太陽光が、埋葬された死者の部屋に一筋差し込む冬至の初日の出をこの古墳から拝んだことがあるが、古代人は、冬至こそ太陽の復活と共に人の生命力も蘇生することを祈ったに違いないし、そこに太陽と大自然の霊力に畏怖したに違いない。

花祭には神を意識する様々な仕掛けがあるが、最大のドラマは湯立て神事ではないか。祭場に火を焚き、釜で湯を沸かす。水、火、酒、米、土などは日本の祭を記号化する代表だが、水を火にかけ、煮えたぎらせることによって生命の沸き立つイメージは容易に想像されよう。この沸き立った湯を群集にかけるのだ。更に、神楽が我々を古代へ誘う。

音は太鼓と笛だが、唄が長々と入る。祭の資料で台詞を読んだが、この唄こそ文字を持たない縄文人の言葉かもしれない。踊りも長々と続く。

最初、踊りを見てEXILEが思い浮かんだ。今も昔も人間は踊りたいんだ。縄文と平成の表現の違いだけなんだと我田引水の評論を下した。

夜も更け祭のドラマはだんだん興奮の度を深め、仮面をつけた鬼、翁、おかめ、女郎、獅子舞が登場する。舞踊から演劇の世界が始まる。メタファ―(隠喩)としての神々は誠に人間臭く、愉快だ。

奥三河には現在15の花祭が残っている。私は人口1217人の豊根村の「下黒川の花祭」を見に行った。

私に祭の案内状をくれたこの集落に住む坂本健太郎さんは豊根村役場総務課の公務員であり、消防団員であり、祭神楽の主役だ。

彼の子供も神楽の小役を務め、母親は裏方に回り、参加者や見学者の接待係と部落中が2役3役勤める全員参加。下黒川の花祭は正月3日の夕方から始まり、夜を徹して4日の明け方まで休むことなく延々と続く。

坂本さんに言わせると、自分の体に神様が宿らないととても持たないという。この、夕方から始まり夜中に神事を行い、明け方終わるというのが日本の祭の基本形であり、神事に始まり神事で終わる花祭は八百万の神世界であった。

今年(2015)の 花祭 詳細はこちらから  http://hanamatsuri.jp/index.html

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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。

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【2】(1)第217回J.I.フォーラム  10月27日 開催

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「若者の政治参加」 ~若者にとって政治が「自分事」になるのか~

安保関連法案の審議過程で「SEALDs」など若者のデモや発言が大きな話題となりました。

法案への賛否は別にして、政治や社会に無関心とされていた若者が政治を他人事ではなく自分事と考えるきっかけとなったという意味では、注目すべきことです。より広く捉えると、若者のNPOやボランティア活動は、20年来随分増えています。これも、政治、社会参画の一つの形でしょう。

さらに、構想日本が進めている自治体行政への住民参加も大きい成果をあげています。このような動きについて若者のリーダーを交えて、議論します。

◯日 時:平成27年10月27日(火) 18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:鈴木 邦和(日本政治.com 代表)

鈴木 智子(NPO法人静岡時代 代表理事)

西田 亮介(東京工業大学 准教授)

原田 謙介(NPO法人YouthCreate  代表理事) 他

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は10月26日(月)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php

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(2)《今後の構想日本の活動》

《行政関係》

10月16日(金)  千葉県 富津市「第5回富津市民委員会」

10月17日(土)  茨城県 那珂市「外部評価委員会」

10月18日(日)  福岡県 大刀洗町「住民協議会(2)」

10月19日(月)  香川県 三木町「第4回総合戦略策定委員会」

10月25日(日)  茨城県 行方市「第3回なめがた市民100人委員会」

今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=145

《その他》

2015年10月~隔週月曜日 京都大学経済学部 「公共経営論2」講義 (代表 加藤秀樹)

毎回ゲストを呼んでの講義です。
第1回(10/5)は「日本の政治の問題点について」 衆議院議員 河野 太郎氏。
第2回(10/19)は「地域の産業について」 京都信用金庫理事長 増田 寿幸氏、株式会社商工組合中央金庫執行役員 小林 利典氏 です。

2015年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論II」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。

その特徴は、

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

昨年の第1期受講生の反響と要望の大きさを考え、今年度は第2期(5月~8月)に続き、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

『第3期』は次の通り  ※日程が変更になりました

第1回:11月22日(日)13時~18時半、23日(月)10時~16時
第2回:12月12日(土)10時~18時
第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/11/22.php

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