メールマガジン

【No.728】「地域づくりの足し算と掛け算の法則 いかに当事者意識を生み出すか」

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J.I.メールニュース No.728 2015.10.22 発行

「地域づくりの足し算と掛け算の法則 いかに当事者意識を生み出すか」

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【1】<巻頭寄稿文>

「地域づくりの足し算と掛け算の法則 いかに当事者意識を生み出すか」

公益社団法人中越防災安全推進機構 震災アーカイブス・メモリアルセンター長

稲垣 文彦

【2】<お知らせ>

(1) 第217回J.I.フォーラム  10月27日 開催決定

「若者の政治参加」 ~若者にとって政治が「自分事」になるのか~

(2) 今後の構想日本の活動

(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

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【1】「地域づくりの足し算と掛け算の法則 いかに当事者意識を生み出すか」

公益社団法人中越防災安全推進機構 震災アーカイブス・メモリアルセンター長

稲垣 文彦

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「ほんとはこの村を残したいんだ」

中越地震から2年が経過した十日町市池谷集落のある住民の言葉です。

中越地震は「人口減少社会の扉を開けた震災」と呼ばれています。中越地震は、過疎化、高齢化が進む農山村でおきました。震災を機に利便性を求め、街中で住宅再建をする人が多く、過疎化・高齢化に拍車がかかりました。一説では、震災が過疎化・高齢化の時計の針を15~20年早めたと言われています。

復興の課題は「農山村の持続可能性の獲得」となりました。

池谷集落では、震災前8世帯22人が、震災後6世帯13人、高齢化率62%になりました。そして集落の存続が危ぶまれる状況となり、震災後、東京のNGOの支援で、都会の若者との交流が始まりました。田植え体験、山菜取り、雪かき体験等、作業が終わった後は、都会の若者と集落の人たちとの交流会を行います。

都会の若者は口ぐちに「山菜おいしい」、「お米最高」、「星がきれい」そして「池谷の人たちがあったかい、何よりも人が宝です」と話します。このような交流を進めていた2年後に、冒頭の言葉が生まれたのです。

実は、その住民は、震災直後は、集落を将来どうしていきたいかという問いかけに、「そんなことどうしようもない」、「(集落が将来なくなるという)わかりきっていることは話したくない」と言っていました。

2年間の地道な取り組みが住民の意識に変化を及ぼし、現在では移住者も生まれ、8世帯19人(子ども2人)高齢化率42%となり、限界集落を脱した「奇跡の集落」と呼ばれています。集落では住民が主体となって集落計画を作成し、米の直販、移住体験シェアハウスの運営、稼げる仕事づくり等を行い、集落の存続を目指した活動が活発に行われています。

これは決して奇跡ではありません。中越地方では、同様な活動を行っている集落が多数存在します。そしてそのプロセスは共通しています。

まずは、いきなり事業(グリーンツーリズム、農産品販売等)を行うのではなく、住民に寄り添い、住民の誇りを取り戻す取り組みを地道に行い、住民の当事者意識が生まれた時点から、事業を導入する。

合言葉は「地域力がマイナスの時に掛け算(事業導入型支援)をしたら、かえってマイナスが大きくなるだけ、まずは地道な足し算(寄り添い型支援)を行うことが大切だ」です。

冒頭に紹介した言葉は、住民の当事者意識を確認する言葉です。あの言葉を聞いた他の住民も口々に「俺もそうだ」と共感したそうです。ちなみに現在では足し算と掛け算の考え方をもとにした総務省の地域おこし協力隊制度が全国の自治体で活用されています。

現在、地方創生の掛け声のもと各自治体で地方版総合戦略が策定されています。ここで大切なのは「住民の当事者意識をいかに生み出すか」であると思います。

戦後一貫して、都会と田舎を人口や経済(GDP)の評価軸で比較し、失い続けてきた地域の誇りを取り戻していく。そして地域それぞれの人口や経済ではない評価軸を作り出していくことが地方創生の第一歩ではないかと考えます。

それには先の足し算のように時間がかかります。短期間で地域を変えることはできません。最低10年間の地域再生のプロセスを意識した地方版総合戦略が必要なのではないかと思います。

最後に、ある集落の住民の言葉を紹介します。

「震災前、俺は孤独だった。今は孤独ではない。これが復興だ」

この言葉から、地域独自の新しい評価軸が生まれことがわかります。

参照 図 1 地域づくりの足し算と掛け算の法則 http://www.kosonippon.org/documents/2015/mail/20151022mg728.pdf

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稲垣 文彦 (いながき ふみひこ)

公益社団法人中越防災安全推進機構 震災アーカイブス・メモリアルセンター長。柏崎市 協働のまちづくり専門官。総務省 地域力創造アドバイザー。

2005年、地域復興のための中間支援組織「中越復興市民会議」を創設、事務局長に就任。その後、(公社)中越防災安全推進機構復興デザインセンター長として地域復興支援員の人材育成等に従事。また集落支援員や地域おこし協力隊等のネットワーク組織「地域サポート人ネットワーク全国協議会」の設立に尽力。中山間地域の過疎化・高齢化対策としての集落支援員・地域おこし協力隊、東日本大震災からの復興対策としての復興支援員の制度普及、人材育成等を行う。2015年4月より、震災アーカイブス・メモリアルセンター長に就任(現職)、また柏崎市協働のまちづくり専門官に就任(兼務)。主な著書、「震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質」(コモンズ、2014)、「中越地震から3800日 復興しない被災地はない」(ぎょうせい、2015)等。

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新潟県中越地震は 2004年(平成16年)10月23日新潟県中越地方を震源として発生した直下型の地震。 明日で11年となります。

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【2】(1)第217回J.I.フォーラム  10月27日 開催

若者の動きを、一過性だ、利己的だと、冷ややかに見る人も多いようですが、きっかけは何であれ、社会のことを自分事に考えることは大事です。

若者の意見をしっかり聞きたいと思います。(加藤秀樹)

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「若者の政治参加」 ~若者にとって政治が「自分事」になるのか~

安保関連法案の審議過程で「SEALDs」など若者のデモや発言が大きな話題となりました。

法案への賛否は別にして、政治や社会に無関心とされていた若者が政治を他人事ではなく自分事と考えるきっかけとなったという意味では、注目すべきことです。より広く見ると、若者のNPOやボランティア活動は、20年来随分増えています。これも、政治、社会参画の一つの形でしょう。

さらに、構想日本が進めている自治体行政への住民参加も大きい成果をあげています。このような動きについて若者活動のリーダーたちを交えて、議論します。

◯日 時:平成27年10月27日(火) 18:30~20:30(開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:鈴木 邦和(日本政治.com 代表)

鈴木 智子(NPO法人静岡時代 代表理事)

西田 亮介(東京工業大学 准教授)

原田 謙介(NPO法人YouthCreate  代表理事)

◯コーディネーター:伊藤 伸(構想日本 総括ディレクター)

◯主  催:構想日本

◯定  員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は10月26日(月)18:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから http://www.kosonippon.org/forum/index.php

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(2)《今後の構想日本の活動》

《行政関係》

10月25日(日)  茨城県 行方市「第3回なめがた市民100人委員会」

11月 1日(日)  福岡県 大刀洗町住民協議会(3)

11月 8日(日)  千葉県 富津市「第6回富津市民委員会」

11月15日(日)  茨城県 行方市「第4回なめがた市民100人委員会」

11月18日(水)  千葉県 富津市「第5回富津市創生会議」

11月21日(土)  三重県 松阪市「文化センターのあり方市民討議会」

11月28日(土)  福岡県 大刀洗町住民協議会(4)

11月29日(日)  千葉県 富津市「第7回富津市民委員会」

今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://kosonippon.org/blog/?page_id=145

《その他》

2015年10月~隔週月曜日 京都大学経済学部 「公共経営論2」講義 (代表 加藤秀樹)

毎回ゲストを呼んでの講義です。
第1回(10/5)は「日本の政治の問題点について」 衆議院議員 河野 太郎氏。
第2回(10/19)は「地域の産業について」 京都信用金庫理事長 増田 寿幸氏、株式会社商工組合中央金庫執行役員 小林 利典氏 です。

2015年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論II」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中

政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。

その特徴は、

1.地域経営の第一線で活躍している講師陣

2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム

3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム

昨年の第1期受講生の反響と要望の大きさを考え、今年度は第2期(5月~8月)に続き、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。

自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。

『第3期』は次の通り  ※日程が変更になりました

第1回:11月22日(日)13時~18時半、23日(月)10時~16時
第2回:12月12日(土)10時~18時
第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時

その他詳細はこちら

http://research.php.co.jp/event/2015/11/22.php

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