【No.775】進めよう! 未来を開く「社会保障制度仕分け」|草加市副市長(前:構想日本政策担当ディレクター) 中村 卓氏|
2016.09.22

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J.I.メールニュース No.775 2016.09.22 秋分の日 発行

進めよう! 未来を開く「社会保障制度仕分け」

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【1】<巻頭寄稿文>

進めよう! 未来を開く「社会保障制度仕分け」

草加市副市長(前:構想日本政策担当ディレクター) 中村 卓

【2】<お知らせ>

(1) 第228回J.I.フォーラム  9月27日(火)開催

(2) 行方市で「施策レビュー」 9月25日(日)開催

(3) 今後の構想日本の活動

(4) Yahoo!ニュースオーサー記事更新

(5)「現場みらい塾」 第4期 7月~11月 計4回開講中 各回毎の申し込みもできます

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【1】 進めよう! 未来を開く「社会保障制度仕分け」

草加市副市長(前:構想日本政策担当ディレクター) 中村 卓

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48.5%。2016年度草加市一般会計予算に占める民生費(福祉予算)の割合である。20年ほど前は10%台だったが今や予算の半分。草加市はまだ比較的若い都市なのに今からこの状態で、この先の高齢社会をどう乗り切るか、悩みは深い。

福祉の根幹、社会保障制度は国がルールを設け、財源も一部負担する。当然、国の社会保障支出も急増し、今や国も税収の半分以上、年間30兆円を超える巨費を投じている。巨額の赤字、積み上がる負債など、国の財政も気懸りだ。

もとより社会保障を語る時、肝心なのは市民・国民のこと。それは社会保障の受益者であり、また財源(社会保険料と税)の負担者だからである。

政府資料では、2014年度の社会保障支出額は117兆円(国民一人当たり92万円)。主な財源は社会保険料が65兆円、国税、地方税等の公費負担が45兆円である。国民は社会保険料と税の双方で、一人当たり年間90万円以上の負担に耐え、社会保障を支えている。

では私達の国の社会保障制度は、それだけの国民負担に見合う役割を本当に果たせているのだろうか

そうは思えない。自治体の現場で貧困問題に直面し、年金や医療などの社会保険料負担に苦しむ市民に接する者として、社会保障制度の「負担」と「給付」のあり方などへの疑念が拭えないのである。

社会保障制度の問題は多岐にわたるが、最も肝心なことは次の二点であろう。

一つ目は、低・中所得層に辛い社会保険料負担の逆進性の問題。二つ目は、富裕者等、さほど有難味を感じないと思われる人達への給付、いわゆるバラマキの問題である。

例えば年金。

国民年金の保険料は所得に関係なく定額なため、低所得者ほど負担感が重く、支払いに窮している。一方、国民年金と共通する基礎年金の給付には、どんな富裕者にも半額分、国費(税)が充てられている。

その額は、何と年間11兆円を超えるが、こうした負担と給付の歪みが「貧困撲滅」効果を損ね、結果として貧困を拡大している。ちなみに、草加市の生活保護支出は10年間で3倍に増えた。

「社会保障と税の一体改革大綱」が閣議決定されて4年半が経過する。

この間、税制改革は、マイナンバー制度を通じて正確な所得把握を目指すなど、それなりにロードマップに基づく取り組みが動きつつあるが、社会保障制度については抜本改革へのロードマップが見えない。高齢化と貧困化の同時進行で、自治体現場の焦燥感は増すばかりだ。

行きづまりが明らかな社会保障制度…。その改革に向け、国をあげてもっと活発な議論を興し、有効な手を打てないものか。

社会保障制度は、細部を見れば実に専門的だ。そのため、その道のプロに任せがちな領域として組み立てられてきたが、基本原理は至ってシンプルである。

私達の国の社会保障の原点は、憲法第25条「健康で文化的な最低限度の生活保障」にある。その原点を踏まえ、「セフティネット」という社会保障制度の本来機能を強化する視点から、「逆進性」や「バラマキ」などの問題を徹底検証することは、けして難しいことではない。国民に分かりやすい議論を行うことも十分に可能と思える。

ひとつの手法として事業仕分けがある。政府の取り組みとして定着した「行政事業レビュー」でもよい。社会保障制度をその俎上に乗せられないか。

国民の目に見える場で社会保障制度をシェイプアップし、国民の納得度、信頼度を高めること、それこそが私達の国の未来を次世代につなぐメインロードであろう。

長年、事業仕分に関わってきた者として、今、切実にそう思っている。

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中村 卓(なかむら・たかし)

草加市総合政策部長、市長付特命理事等を経て、2009年10月から2010年3月まで内閣府行政刷新会議事務局・政策企画調査官として事業仕分け・行政事業レビューを担当。同年4月から2011年3月まで構想日本政策担当ディレクター、公益財団法人東京財団研究員。同年4月、草加市副市長に就任。

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【2】(1) 第228回J.I.フォーラム  9月27日 開催

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ー参院選当選議員に聞く(仮)ー

前回のJIフォーラムでは、7月の参院選の「落選者」に議論してもらいました。今回は当選者です。

約500人の立候補者のうち、当選したのは121人、新人は276人立候補し、当選したのは44人です。

私たちは彼らに何を託しているのか。この議員たちは有権者の付託を受けて何をするのか。

2回のフォーラムを通して参加して頂くと議員の思い、実態などがさらによく分かります。

◯日 時:平成28年9月27日(火)  18:30~20:30 (開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

◯ゲスト:石井 苗子 (日本維新の会・比例代表選出)

伊藤 孝恵 (民進党・愛知県選出)

伊波 洋一 (無所属・沖縄県選出)

片山 大介 (日本維新の会・兵庫県選出)

木戸口 英司 (生活の党と山本太郎となかまたち・岩手県選出)

杉尾 秀哉 (民進党・長野県選出)

他 (調整中)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主 催:構想日本

◯定 員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

※フォーラムへのご参加は9月27日(火)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php

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(2)行方市で「施策レビュー」

9月25日(日)開催

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昨年、茨城県行方市では無作為抽出で選ばれた「なめがた市民100人委員会」が中心となって、地方創生の総合戦略を作りました。

今年は新たに無作為で選ばれた市民(第2期100人委員会委員)が「施策レビュー」(いくつかの事業をまとめた「施策」に焦点を当てた仕分け)を行います。「施策」のチェックをすることで、個々の事業が有機的に市民に役立っているかどうかが分かります。

対象は今注目の「子育て」に関する施策です。

「なめがた市民100人委員会」で市の行政を「自分事」と考えるようになった行方市民が「自分事」の輪をさらに拡げてくれると思います。

ぜひ会場に足を運んでご覧ください。

― 開 催 概 要 ―

【日 時】 9月25日(日) 9:00~16:30(予定)

【会 場】 レイクエコー (行方市宇崎1389 茨城県女性プラザ)
※会場についてのお問合せは
行方市総合戦略課(電話:0299-72-0811)まで

【対 象】 子育て関連施策「切れ目のない育児相談体制の充実」に基づいて行われている7事業

【議論のし方と参加者】
構想日本仕分けチーム、市民評価人、市職員、が行う議論を聞いて、市民判定人が個々の事業が施策の目的を達するため有効かつ有機的に行われているかを判定する。

※市民評価人:総合戦略づくりに関わった「なめがた市民100人委員会」のメンバー3名
※市民判定人:無作為抽出で選ばれた1,000人のうち希望のあった約20名

◯構想日本参加者

コーディネーター:田中 俊(構想日本)
外部評価人:山根 晃(足立区職員)、他 ※調整中

【主 催】  行方市

【協 力】  構想日本

◯行方市ホームページ http://www.city.namegata.ibaraki.jp/page/page004757.html

お問い合せ:構想日本 伊藤/桑子 TEL:03-5275-5607、email:shiwake@kosonippon.org

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(2)《今後の構想日本の活動》

9月25日(日)茨城県 行方市 「行方市施策レビュー」

10月 1日(土)、 2日(日)兵庫県 加古川市 「加古川市公開事業評価」

10月 7日(金)茨城県 那珂市 第3回「外部評価委員会」

10月15日(土)、16日(日)広島県 三原市 「三原市事業レビュー」

10月21日(金)茨城県 那珂市 第4回「外部評価委員会」

今年度の構想日本の『事業仕分け・住民協議会・施設仕分け実施一覧』詳細は、以下のURLよりご覧いただけます。

https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=1079

《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1」 (代表 加藤秀樹)

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(3)Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

ディレクター 伊藤伸

◇8月21日 山本美香さんの死から4年。世界情勢は良くなっただろうか?

http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20160821-00061340/

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(4)「現場みらい塾(構想日本×PHP総研)」

第4期 開講中 各回単発の申し込みもできます

税収、人口の奪い合い(=ゼロサム)ではなく、プラスサムを!

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人口減少、高齢化、不十分な予算と人員など、自治体にとってはますます厳しい時代です。政府の「地方創生」も続きそうにありません。

自治体間で税金や人口の奪い合いをするのはゼロサム、つまり持続可能ではありません。

それでも、視点を変え、従来の延長線上で考えることをやめると、解決策が見えてくるのです。

この塾は、従来型の研修ではありません。自治体のどの仕事にも応用できる、「知恵の出し方を身につけるトレーニングの場」です。

他自治体の職員、議員、民間人と一緒に半年間議論し、学び合うゼミ形式のプログラムです。受講生はこれまでに約70名。

問題意識の高い自治体職員、議員のネットワークも大きい財産です。

ここから日本が変わります。

― 第4期カリキュラム ―  ※現時点の予定ですので、変更の可能性があります。

【内 容】

第3回:9月24日(土)10:00~18:00
講義:「財政の自分事化に向けて~国の財政と地方の財政~」
福田 誠 〔財務省 国有財産企画課 政府出資室長〕
講義:「無作為抽出の住民参加で地域の課題を『自分ごと』に」
伊藤 伸 〔構想日本 総括ディレクター〕
実践:模擬事業仕分け1/手法を学ぶ

第4回:11月5日(土)13:00~18:30、6日(日)10:00~16:00
実践:模擬事業仕分け2/チームで体験する
実践:事業シートプレゼンテーション/発表から体得する
セッション:「『わたしのまち』と一人称で呼んでもらえる町を目指して(仮)」
筒井 敏行 〔香川県三木町 町長〕
実践:締めくくり総括ディスカッション

【応募資格】
地域をよりよくしたいという情熱を持ち、地域の課題解決と未来創造のために、自ら考え行動する意志のある人

【募集人員】 50名程度

【会  場】  PHP総研会議室
(江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント11階)

【参 加 費】  各回:10,000円(税込)※旅費・食費等は含まれません

【応募手続き】

現場みらい塾申込みサイト(以下のリンク先)に入力し送信

https://docs.google.com/forms/d/1AaZhsGk6sCIS-UEOtw_VWMgdL6elYrMxwr8UuBAn7dY/viewform

定員に達し次第、締め切らせていただきます。

【お問い合わせ】

構想日本:田中、小川、永由 TEL:03‐5275‐5607、Email:info@kosonippon.org
PHP総研 :皆川      TEL:03‐3520‐9612、Email:genba-mirai@php.co.jp

その他詳細はこちら https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/detail.php?id=713

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