【No.778】「 特ダネではないけれど(13) 原発再稼働と新潟知事選 」 |新聞記者 松浦祐子氏|
2016.10.13

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J.I.メールニュース No.778 2016.10.13 発行

「 特ダネではないけれど(13) 原発再稼働と新潟知事選 」

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【1】<巻頭寄稿文>

「 特ダネではないけれど(13) 原発再稼働と新潟知事選 」

新聞記者     松浦 祐子

【2】<お知らせ>

(1) 第229回J.I.フォーラム  10月27日(木)開催

(2) 今後の構想日本の活動

(3)「現場みらい塾」 第4期 7月~11月 開講中 まだ申し込みできます

【3】<ご紹介>

アジア初上陸のフランスのアートサーカスカンパニー

シルク・ヴォスト「エピシクル」東京公演

「地方からの新しい文化発信 ~現代サーカスのもつ力~」執筆者 田中 未知子様からのお知らせ

【4】<構想日本の取組>

(1) 広島県 三原市の事業仕分け 10月15日(土)・16(日)開催

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【1】「 特ダネではないけれど(13) 原発再稼働と新潟知事選 」

新聞記者     松浦 祐子

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私が働く新潟県で、知事選が10月16日に投開票されます。遠い一地方の選挙だと思わずに、是非、注目して頂きたい。特に首都圏の皆さんに対して、そう思います。首都圏の電力を賄う東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の行方を大きく左右する選挙となると思われるためです。

現職の泉田裕彦知事は柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な立場をとり続けていましたが、今回の知事選への立候補を取りやめ、退任します。原子力規制委員会による同原発の安全審査が終盤を迎えるなか、新知事は再稼働に同意するのかしないのか、判断を求められることになります。知事選では、原子力政策が大きな争点の一つとなり、候補者同士の論争も盛り上がりを見せています。

選挙戦の影響だと思うのは、有権者の反応を見て、候補者の「言いぶり」が変わっていくことです。

当初、主要な候補はいずれも、再稼働に慎重な姿勢を同じような表現で示していました。それが再稼働に反対する世論に押される形で、再稼働推進の自民推薦を受ける候補さえも「再稼働ありきではない」と言い始め、再稼働反対の野党が支援する候補は「現状では再稼働は同意できない」と、より明確に言うようになっています。どの候補が当選しようとも、有権者はこれらの発言を選挙期間中のリップサービスに終わらせず、しっかりと記憶し、新知事には適切な対応を迫っていかなければなりません。

ところで柏崎刈羽原発の再稼働の問題は、新潟県民だけが思い悩み、厳しい判断を迫られなければならない問題なのでしょうか?

柏崎刈羽原発は東京電力の運営で、同原発で発電された電気は、首都圏を支える電力です。(新潟県は東北電力の電力です) そして、再稼働で生み出されるであろう東電の利益は、福島第一原発事故の賠償や廃炉費用に充てることができるとされています。逆に言うと、これらの費用を賄うために再稼働しないといけない、という主張も聞かれます。再稼働しないと、東電の利用者(首都圏の企業、住民)の電気料金が大幅に上がるぞ、という脅しのような声さえあります。

それに対して新潟県民は「知ったことではない」と突き放すこともできるのです。原発から30キロ圏内には約46万人が暮らします。2007年の中越沖地震では火災と微量の放射能漏れが起きています。地元の人々は自然災害と原子力災害が同時に起こると、どれだけ交通網が乱れ、避難をすることが難しいのか、健康面や生活面での不安を感じるのかを、実体験しています。豪雪地帯でもあります。コシヒカリや寒ブリなどをはじめとした農林水産品の宝庫でもあります。ひとたび原発事故が起これば、失うものが多すぎる。地元の人々の間には、そういう思いが広くあると感じます。

東電福島第一原発事故による廃炉費用は、当初は約2兆円とされていましたが、いつまでかかるかの見通しが立たず、費用がどこまで膨らむかは分かっていません。被害に対する賠償についても、予定していた約5兆円をすでに超え、6兆円台に達しています。

原発事故というのは、金銭的に見ても、「兆円」単位のお金がかかるのです。消費増の1%増税でまかなえるのが2兆5千億円とされていますから、それと比較しても、巨額さが分かります。そして、これは今後、この国が支払っていかなければならない、隠れた「負債」です。

これらを、誰が、どのように負担していくのが良いのか。

新潟県知事選挙の結果がどうであろうと、現代の生活に欠くことができない電力をどう賄っていくのかは、日本の課題です。それを考えるきっかけにしてもらえればと思います。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1) 第229回J.I.フォーラム  10月27日 開催

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『遺言』 言い残したいこと、言い残して欲しいこと

いきなり年齢のことで恐縮ですが、ゲスト3人の合計は約250才。

みなさん小さな村、町で長年暮らし、地域の切り盛りをやってこられた方です。田舎での暮らし、首長としての決断や覚悟などを通して、多くの知恵を持つ「賢者」です。

生きること、地域、そして行政、政治について、私たちは250年分の知恵と哲学を引き継ぎ、世の中に生かしたいと思います。

◯日 時:平成28年10月27日(木)  18:30~20:30 (開場18:00)

◯会 場:アルカディア市ヶ谷 7階 「琴平」 (千代田区九段北4丁目2番25号)TEL 03-3261-9921

http://www.arcadia-jp.org/access.htm

※場所にご注意ください

◯ゲスト:伊藤 喜平 (長野県下條村 前村長)

高橋 彦芳 (長野県栄村 前村長)

根本 良一 (福島県矢祭町 前町長)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主 催:構想日本

◯定 員:100名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

アルカディア市ヶ谷  1階 レストラン

※フォーラムへのご参加は10月27日(木)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php

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(2)《今後の構想日本の活動》

10月15日(土)、16日(日)広島県 三原市 「三原市事業レビュー」※詳細は【4】にあり

10月21日(金)茨城県 那珂市 第4回「外部評価委員会」

10月30日(日)福岡県 大刀洗町「住民協議会」(全4回中の第1回)

今年度の構想日本の『事業仕分け・住民協議会・施設仕分け実施一覧』詳細は、以下のURLよりご覧いただけます。

https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=1079

《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1」 (代表 加藤秀樹)

2016年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3)「現場みらい塾(構想日本×PHP総研)」

第4期 開講中 各回単発の申し込みもできます

税収、人口の奪い合い(=ゼロサム)ではなく、プラスサムを!

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人口減少、高齢化、不十分な予算と人員など、自治体にとってはますます厳しい時代です。政府の「地方創生」も続きそうにありません。

自治体間で税金や人口の奪い合いをするのはゼロサム、つまり持続可能ではありません。

それでも、視点を変え、従来の延長線上で考えることをやめると、解決策が見えてくるのです。

この塾は、従来型の研修ではありません。自治体のどの仕事にも応用できる、「知恵の出し方を身につけるトレーニングの場」です。

他自治体の職員、議員、民間人と一緒に半年間議論し、学び合うゼミ形式のプログラムです。受講生はこれまでに約70名。

問題意識の高い自治体職員、議員のネットワークも大きい財産です。

ここから日本が変わります。

― 第4期カリキュラム ―  ※現時点の予定ですので、変更の可能性があります。

【内 容】

第4回:11月5日(土)13:00~18:30、6日(日)10:00~16:00
・模擬事業仕分け2/チームで体験する
・事業シートプレゼンテーション/発表から体得する
・「『わたしのまち』と一人称で呼んでもらえる町を目指して(仮)」 筒井 敏行 〔香川県三木町 町長〕
・締めくくり総括ディスカッション 福嶋 浩彦〔中央学院大学 教授・元消費者庁長官〕

【応募資格】
地域をよりよくしたいという情熱を持ち、地域の課題解決と未来創造のために、自ら考え行動する意志のある人

【募集人員】 50名程度

【会  場】  PHP総研会議室
(江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント11階)

【参 加 費】  各回:10,000円(税込)※旅費・食費等は含まれません

【応募手続き】

現場みらい塾申込みサイト(以下のリンク先)に入力し送信

https://docs.google.com/forms/d/1AaZhsGk6sCIS-UEOtw_VWMgdL6elYrMxwr8UuBAn7dY/viewform

定員に達し次第、締め切らせていただきます。

【お問い合わせ】

構想日本:小川、永由 TEL:03‐5275‐5607、Email:info@kosonippon.org
PHP総研 :皆川      TEL:03‐3520‐9612、Email:genba-mirai@php.co.jp

その他詳細はこちら https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/detail.php?id=713

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【3】<ご紹介>

メルマガ「地方からの新しい文化発信 ~現代サーカスのもつ力~」シリーズ執筆者 田中 未知子様からのお知らせ

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アジア初上陸のフランスのアートサーカスカンパニー

シルク・ヴォスト「エピシクル」東京公演

◇会 場:新豊洲特設会場(ゆりかもめ新豊洲駅から徒歩1分)

◇会 期:10月8日(土)~11月6日(日)

今後の予定 ※10/14, 15, 16, 21, 22, 23, 28, 29, 30, 11/3, 4, 5, 6

金曜日は19:30開演、それ以外は18:30開演

※料金等、詳細は公式HPへ。 http://www.cirkvost.jp/

フェイスブックは https://www.facebook.com/Epicycleasia/

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【4】<構想日本の取組>

(1) 広島県 三原市の事業仕分け 10月15日(土)・16(日)開催

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★三原市の特徴★

1.施策(防災や男女共同参画)の実現に向けて、事業が効果的に実施されているかどうかに着眼

2.無作為抽出で選ばれた「市民判定者」30名が評価

3.継続的に市の施策、事業について議論している「まちづくり戦略検討会議」の委員が議論に参加

【対象事業】

◯防災(災害対応力の強化)
防災対策事業、地域防災拠点整備事業、自主防災組織の育成・支援事業

◯男女共同参画(男女共同参画社会の形成)
男女共同参画啓発事業、女性リーダー育成事業

◯住宅政策(快適・安全な住まいづくり)
市営住宅維持管理事業、空き家対策事業

◯移住・定住(移住・定住の促進)
定住支援体制の整備、空き家活用検討事業、婚活プロジェクト実行委員会補助

※対象事業費総額 約2億5,500万円
(平成28年度一般会計予算 467億6,500万円)

【議論のし方と参加者】
構想日本仕分け人チームと説明者(三原市職員)が議論し、それを聞いたうえで市民判定者が対象事業の評価を行う。

※市民判定者:無作為に抽出した住民2,000人から選ばれた30名。

【日  時】 10月15日(土)9:30 ~16:30(予定) ※9:00~9:30 開会式
10月16日(日)9:30 ~16:30(予定)

【会  場】  三原市役所 城町庁舎(ペアシティ三原西館) 2階大会議室 (三原市城町一丁目2番1号)

【入 場 料】  無料 (どなたでも傍聴できます)

※詳細は、三原市ホームページでご覧いただけます。
http://www.city.mihara.hiroshima.jp/soshiki/6/jigyoreview-h28.html

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