【No.787】「北風のエネルギー ハンブルク沖合」|パリ友情を織る会 理事   田部 淑子氏|
2016.12.15

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J.I.メールニュース No.787 2016.12.15 発行

「北風のエネルギー ハンブルク沖合」

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【1】<巻頭寄稿文>

「北風のエネルギー ハンブルク沖合」

パリ友情を織る会 理事   田部 淑子

【2】<お知らせ>

(1) 第231回J.I.フォーラム  12月20日(火)開催

(2) 今後の構想日本の活動

【3】<構想日本の取組>

内閣府主催「浜松市防災住民協議会」の取材、傍聴のご案内

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【1】「北風のエネルギー ハンブルク沖合」

パリ友情を織る会 理事   田部 淑子

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2011年3月の福島の原発事故は、核エネルギーに安心しきって、あぐらをかいていた世界中の人々を揺るがし、反省と熟考を促している。

HIROSHIMAとNAGASAKIを経験し、核の恐ろしさを何処の国よりも強く体験してきた日本こそ『核』という一語を葬り、未来に向けて清潔なエネルギーを開発していく義務を負っているのではないだろうか。

福島のような事故がもう一カ所でも起これば、私たちが歴史のあけぼの以来誇りにしてきた日本の美しい山河は世界の地図から抹殺され、私たちは足下の大地と海を失うだろう。

世界を見てみよう。

北ドイツの大都市ハンブルクの沖合には、ドイツがデンマークと提携して開発した風力発電センターDan Tysk (ダンチィスク)の風力塔が、澄んだ青空の下にそそり立っている。合わせて80本の風力塔はプロペラをゆっくりと回転し、北海とバルト海から吹き寄せる風を電力に変換する 。

センターは北海の名勝地シルト (Sylt)島の遠海にあって、電力の生産量は288メガワット。これによって、1時間に13億キロワットの,100%再生可能な電力が生まれ、40万の家庭を潤している。

デンマークのDan Tysk会社と提携しているスウェーデン電力会社Vattenfallは、ここに風力塔を管理するために、鋼鉄で出来た一種の人口島を設置した。夏のシーズンには45人の技師が15日間交代で1日12時間、塔の管理に当たっている。技師たちはここで寝泊まりし、残りの2週間は陸に上がって自由な生活を享受する。

ドイツのメルケル首相が、2011年の福島の炉心溶解事故をきっかけに、原発批判に転向した。原発全廃の法律はそれから4ヶ月後に議会を通過し、国民の総意で計画が進められていることは、すでに世界の知るところである。

ドイツはすでに太陽光線エネルギーにも力を入れているが、ここハンブルクは北海とバルト海の中間にある地の利を最大限に利用して、風力エネルギーの開発のために選ばれたのである。

2011年に就任したハンブルクの市長Olaf Scholz( オラーフショルツ )は、市をヨーロッパの風力エネルギーのセンターにすることを目指し、今年9月には当市で、WindEnergyのサロンのビエンナーレが開催された。

技術の進歩には瞠目するところがあり、Siemensは,1990年に直径僅か37メートルであったプロペラを、2020年には、直径240メートルに拡大、巨大なプロペラを備える風力塔の実現を計画中。1990年に6メガワットだったセンターの平均電力生産は、今日では350メガワットにまで伸びている。

最近の情報によると、再生可能エネルギーの生産量は2015年にはドイツ全エネルギーの33%に達しており、2025年には40−45%、2050年には80%を目指している。この沖合の風力塔は、マンモス的な電力を必要とするドイツの工業界にとって、恒常エネルギー計画の中核をなすものである。

今から2030年にかけて政府は、2015年の時点での3300メガワット に対して、15000メガワットの風力エネルギーの獲得を見通している。

原発全廃を語るとき、反対者はすぐ、原発以外に需要を満たすエネルギーは無いと唱えるが、このハンブルクの例は、世界の環境保護と将来のエネルギーの確保に明るい光を与えてくれるのではないだろうか。

(参考文献 フランス−ルモンド紙2016年9月29日、Ceécile Bouteletによる記事)

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田部 淑子 (たべ しゅくこ)

パリ在住ほぼ40年。この間現代アートの世界に接触してきたが、2002−2003年に、滋賀県浅井市の山口能装束研究所のヨーロッパ巡回展の助手を務めたのが契機となって、Association Amitiés Tissées – 友情を織る会を発足。会は非営利の目的で、フランス政府の公認を受ける。
爾来、パリの自宅を根拠にして、ヨーロッパ諸都市の美術館やテキスタイルのフェスティヴァルで織物の展覧会を組織。ヨーロッパやアジア、ことに日本の織物の紹介に務める。

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【2】(1) 第231回J.I.フォーラム  12月20日(火) 開催

「日本酒は文化だ!!」

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世界中のどの文明にもお酒は必ずあります。

日本でも縄文時代からつくられていました(井戸尻遺跡)。

かつて「お酒」といえば、ほぼ日本酒かビールでした。今は多様化が進み、とりわけ日本酒消費量は全体の7%弱まで減っています。

日本はその気候風土のおかげで食品に限らず「発酵大国」と言われます。その頂点にある日本酒を通して日本の文化、地域毎の特色、人々とのつながりなど、楽しく、広く語り合いたいと思います。

◯日 時:12月20日(火) 18:30~20:30 (開場18:00)

◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

※場所にご注意ください

◯ゲスト:上杉 孝久 (日本酒プロデューサー、日本地酒協同組合専務理事、上杉家九代目当主)

高橋 菜里 (NPO法人プロジェクト88 理事長)

又木 実信 (N-project 初代代表)

吉村 謙太郎 (瑞鷹株式会社 常務取締役)

◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

◯主 催:構想日本

◯定 員:160名

◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。(先着順)

「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531

☆日本酒の試飲有り¥500 別途販売もあります。

※フォーラムへのご参加は12月20日(火)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

お申し込みはこちらから https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php

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(2)《今後の構想日本の活動》

12月17日(土)静岡県 浜松市 「防災住民協議会」(全5回中の第2回)※詳細は【3】にあり

2017年1月21日(土)福岡県 大刀洗町 「住民協議会」(全4回中の第4回)

1月22日(日)静岡県 浜松市 「防災住民協議会」(全5回中の第3回)

1月28日(土)29日(日)千葉県 富津市 「事業仕分け」(テーマ:公共施設)

今年度の構想日本の『事業仕分け・住民協議会・施設仕分け実施一覧』詳細は、以下のURLよりご覧いただけます。

https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=1079

《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1・2」 (代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めています。これまでのゲストは、
株式会社もり 代表 原野守弘氏、内閣府 迎賓館長 別府充彦氏、一般社団法人瀬戸内サーカスファクトリー 代表理事 田中未知子氏、長岡京市長 中小路健吾氏、厚木市こども未来部長 小瀬村寿美子氏、元朝日新聞社 代表取締役社長 木村伊量氏、財務省 事務次官 佐藤慎一氏、株式会社マイファーム 代表取締役社長 西辻一真氏(構想日本メルマガ「農業の現場あるあるシリーズ」執筆者)、日本ポリグル株式会社 代表取締役会長 小田兼利氏。

次回は、外務省 アジア大洋州局南部アジア部長 梨田和也氏、金融庁 検査局長 三井秀範氏(金融庁長官から急遽変更)。

2016年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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【3】<構想日本の取組>

内閣府主催「浜松市防災住民協議会」の取材、傍聴のご案内

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この協議会は、防災に関する一般住民の意見を国(内閣府)が聞く、それを浜松市で行うというものです。
災害被害を最小限にするには国などが机上で計画を作るのではなく、生活実感に基づいた住民の声を聞こうという趣旨です。

国の政策の説明や広報の方法としては、タウンミーティングやパブリックコメントなどが行われていますが、国が政策に反映するために一般住民(国民)の声を聞くのは初の試みでしょう。

ここで「一般住民」とは、浜松市民の中から無作為抽出で選ばれた市民(約80名)という意味です。
会の準備、進行は構想日本が行っています。構想日本はこれまで無作為に選ばれた住民が判定を下す事業仕分けや、住民協議会、総合戦略の策定など、この手法による自治体レベルでの住民の行政参加を80回余り行い、一般住民の意見のレベルの高さと政策形成への有効性に大きな手応えを感じています。

今回は国の政策レベルでの住民の行政参加という意味で画期的であり、その有効性が確認されれば、今後福祉、産業など様々な分野に応用できます。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、この手法が確立すれば、欧米で問題になっているポピュリズムを抑制できると考えています。
地味に見えますが、この画期的な試みを是非取材、傍聴して頂きますようお願い、ご案内いたします。また、ご都合がつかない場合は同僚の方などにお声をかけて頂けましたら幸いです。

なお、今回(12/17)はこの住民協議会発案時の防災担当大臣であった河野太郎衆議院議員も参加されます。

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第2回浜松市防災住民協議会

【日にち】 2016年12月17日(土) 14~17時(予定)

【場 所】 浜松市役所 8階 全員協議会室

【内 容】 浜松市における「防災」についての現状把握
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第3回以降の日程

第3回 2017年1月22日(日)
第4回 2017年2月4日(土)
第5回 2017年3月4日(土)

*時間と場所は第2回と同じ。

※詳細は、以下のリンクよりご覧いただけます。
<浜松市ホームページ>
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kiki/juminkyogikai.html

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