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【No.851】 成長の芽を摘む国ニッポン (前編) ― 煩わしい「公募様式」を何とかして!―

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タイトル::【No.851】 成長の芽を摘む国ニッポン (前編) ― 煩わしい「公募様式」を何とかして!―
発行日::2018/03/22
本文:
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J.I.メールニュース No.851 2018.03.22  発行

成長の芽を摘む国ニッポン (前編)

―― 煩わしい「公募様式」を何とかして!――

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【1】<巻頭寄稿文>

成長の芽を摘む国ニッポン (前編)

―― 煩わしい「公募様式」を何とかして!――

青森大学教授   平野 秀樹

【2】<お知らせ>

(1) 千葉県鴨川市で「100人会議」(住民協議会)がスタート(12月まで)

(2) 飯舘村で「ふるさと住民票」 3月12日から受付開始

(3) その他の構想日本の活動

(4) J.I.フォーラム お休みのお知らせ

【3】<ご紹介>

(1) カタツムリ作戦2018 in KYOTO  展覧会

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【1】  成長の芽を摘む国ニッポン (前編)

―― 煩わしい「公募様式」を何とかして!――

青森大学教授   平野 秀樹

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私はこれまで教授公募に100回近く挑戦した。
立て続けに落ち、一次審査を経て面接までたどり着けたのはわずか2回。
結局それも落ち、ショック続きで一時期かなり滅入った。けれども、それ以上に悔しかったのが、公募申請書類の作成に要した膨大な時間とエネルギーのロスだった。

不採用の知らせは大抵2か月以上経ってから、忘れたころに「薄い茶封筒」で届いた。
その落選通知(≒お祈りメール)が届くたび、ガックリしながらいつも思った。
「酷いことするなぁ、私の時間を返して……」

公募様式――日米比較

研究費の公募でも事情は同じだ。

「全般的に、日本の申請書はアメリカに比べると書式が複雑で、経歴もいちいち個別に書かなきゃいけませんね」
在アメリカの若手研究者はいう。
「アメリカの場合、大抵、研究計画も履歴書も何ページ以内という指示しかなくて、使い回しもできますよ。日本の財団への応募はその労力が無駄だなといつも思います」

確かに教授公募の様式も、科学研究費の申請様式もマニアックになるばかり。 同じものは一つとしてない。おまけにワード原稿をペースト(コピーして貼り付け)するとき、文字を直すのが大変で、私自身、何時間も形式のために時間を使うことがたびたびあった。エクセルとの互換性が悪く、これが嫌で途中で諦め、応募を取りやめた大学が両手以上あったと思う。

日米の公募環境(様式等)を比較すると、違いは次の三点になろう。

一つは、(1)米国の公募様式はとても単純かつ簡単で、使い回しがきくことだ。

例えば米国A財団の研究費援助の場合、提出するのは、1)研究計画書、2)引用文献リスト、3)自分のCV(履歴書のようなもので5ページ以内)、4)指導教員のCV(5ページ以内)である。一応オンラインで入力しなければならない情報もあるが、基本、そのサイトに上記4つの書類をアップロードして、後日、印刷したものを追加で郵送するだけだ。それゆえ、ずっとワードで推敲を重ね、直前にコピー&ペーストもしくはアップロードし、申請はおしまいである。

米国B財団の場合は少し面倒で、業績などはウェブサイトで入力しなければならないが、やはりこれもコピペで済み、あとはワードで作成した研究計画書と引用文献(合計12ページ)をアップロードするだけで終わりである。

この点、日本の財団への応募は辛い。
様式はすべてバラバラで唯一無二。強者の論理でつくられた様式をまずはダウンロードし、その様式に合わせて入力しなければならない。

メーカー系N財団の場合は、なんとエクセルに何個も質問に対する回答を書き入れる形式だったし、医薬系T財団に至っては、応募に先立ち、「応募者に研究応募番号を付与するので事前に履歴書を出すように」とまで言われた。研究企画の中身を見る前に応募者は層化され、差別されてしまうのだろうか。応募意欲が殺がれたのは言うまでもない。こうしたルールは応募差別、応募妨害に近い。

違いの二つ目は、(2)レビューの主体(評価者)とプロセス、そして評価の専門性、深みである。
日本では、だれが審査し、どう評価しているのかが不透明なままである。これだけ面倒な書式を要求しておきながら、参考文献を聞いてくるケースがほとんどない。参考文献を見ないでは、その人がどれだけその分野について詳しいかはわからない。アメリカの場合、どんな人が読むのか、少なくともヒントは書いてある。だから、用語の使い方や力点のおき方に工夫ができる。

日本では「財団案内や年次活動報告書で審査委員を紹介しているだろう」と反論されるかもしれない。が実際、一次審査がどうなっているか見えないし、ましてや他分野にまたがったり、領域を越えるものは「どの分野の学者が読むのか、誰が読むのか」皆目見当がつかない。本社から転籍してきた実務系管理職が、応募のあった研究企画書の一次審査(ふるい落し)に加わっていることもあるだろう。

昨今の傾向として、「成果を急ぐ」ことと並び、「その研究が社会にどう貢献するのか」を求めてくることがしばしばある。しかし、研究テーマによってはその問い自体がナンセンスな場合もある。特に人文、社会系の研究では、実際に生活に短期間で役に立つことはほとんどないだろう。もちろん教育の現場に還元できることはたくさんあるが、「研究そのもののプライオリティ・トップの目標か?」と問われれば違うといわざるを得ない。また途上国への支援のように「短期間で社会貢献を」という収益的、可視的な使命が研究企画の採択にも力点が置かれ、かつ性急に求められていく……。目先・成果・金銭換算の追求が第一になっている。

アメリカの場合は「その学問分野にどう貢献できるのか」を問うてくる。あるいは、「人間の相互関係一般に対して、どういう知を貢献できるのか」と言ってきたりする。そういった大局的な見方は「寄付文化」や「中長期の戦略観」の違いによるのかもしれないが、こうした公募様式、形式がいつまでも残るようだと、日本の地盤沈下はもっと加速してしまうだろう。大丈夫だろうか…………。

(以下、後編につづく)

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平野 秀樹 (ひらの ひでき)

1954年生まれ。農水省、国土庁、環境省、東京財団を経て現職。専門は辺境社会論と外資の国土買収。著書に『日本買います』『奪われる日本の森』(以上新潮社)、『森林理想郷を求めて』(中公新書)、『宮本常一』(共著:河出書房新社)など。

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【2】(1) 千葉県鴨川市で「100人会議」(住民協議会)がスタート

テーマは「小中学校の跡地活用を中心とした地域の活性化について」

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鴨川市は、昨年11月の行政事業レビュー(事業仕分け)に続き、無作為に選ばれた住民が学校の跡地活用について議論する「100人会議」(住民協議会)をスタートします。

★鴨川市の特徴★

1.小中学校の跡地にとどまらず、小湊地域全体を再発見し、活性化を考える。

2.幅広い市民が小湊地域を自分ごとと考えるために、無作為に選ばれた市民に加え、高校生、大学生、外部の専門家などの知恵を結集する。

3.市役所内に若手職員中心のプロジェクトチームをつくり、市民と同じ目線で考える。

学校の跡地活用は、鴨川市に限らず、全国の自治体が抱える大きな問題です。
無作為に選ばれた幅広い市民の参加(住民協議会)によって解決を目指す鴨川市の取り組みは、全国のモデルとなります。
自治体の職員の方をはじめ、皆様ぜひ傍聴にお越し下さい。

【開催日時】

第1回: 3月17日(土)※終了
第2回: 4月22日(日)
第3回: 5月13日(日)
※今年12月までに合計6回の開催を予定しています。

【参加者】 鴨川市「100人会議」委員(鴨川市民、高校生、大学生)
コーディネーター(構想日本より派遣)
ナビゲーター(論点提示役)(同上)
高野 誠鮮(元羽咋市職員)、山中 光茂(元松阪市長) 他2名
鴨川市職員

【会 場】 鴨川市役所(鴨川市横渚1450番地)
※会場についてのお問い合わせは、鴨川市企画政策課地域戦略係まで(04-7093-7828)

【入 場】 無料(どなたでも傍聴できます)
※途中の入退室可、事前申し込み不要

【主 催】 鴨川市

【協 力】 構想日本

お問い合せ:構想日本 伊藤/藤阪
TEL:03-5275-5607、email : shiwake@kosonippon.org

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(2) 飯舘村「ふるさと住民票」 受付開始!

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「ふるさと住民票」は、その市町村への ”思い”さえあれば、どなたでも住民になれます。
構想日本は、飯舘村の「ふるさと住民票」で皆さまとのご縁を結ぶお手伝いをさせて頂いています。

3月10日(土)記者説明会開催しました。NHK『特集 明日へ つなげよう 震災から7年』をはじめ新聞各紙で、飯舘村の「ふるさと住民票」が報道されました。
(記者発表の詳細はこちら(http://www.kosonippon.org/furusato/2018/03/15/iitate_no-1_card/)をご覧ください。)

飯舘村「ふるさと住民票」は、現在登録申し込み受付中です。
ぜひ、ご登録ください!
(ご登録はこちら(http://www.vill.iitate.fukushima.jp/soshiki/1/3238.html)から。)

追記(飯舘村より)

飯舘村で復興後に初めて生産されたお米が現在ふるさと納税の返礼品となっています。
受付は3月末までの期間限定です。
皆様のお力添えをいただいて、確たる復興を成し遂げたいと思います。
よろしくお願いいたします。

(詳細、お申込みはこちら(http://www.vill.iitate.fukushima.jp/soshiki/1/3157.html)から。)

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(3) その他の構想日本の活動

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2017年10月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論2」(代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めます。

これまでのゲストは、森田稔氏(財務省大臣官房 経済財政政策調整官)、山折哲雄氏(国際日本文化研究センター名誉教授)、松井孝典氏(千葉工業大学惑星探査研究センター所長)、池端美和氏(発行土地建物株式会社 代表取締役)、玄秀盛氏(公益社団法人日本駆け込み寺 代表理事)、中曽宏氏(日本銀行 副総裁)、荻野徹氏(原子力規制委員会次長)、岸田文雄氏(衆議院議員、自民党政調会長)、高野誠鮮氏(僧侶、総務省地域力創造アドバイザー、元石川県羽咋市職員)、中貝宗治氏(兵庫県豊岡市長)、木村真樹氏(公益財団法人 あいちコミュニティ財団 代表理事)、前川喜平氏(前文部科学事務次官)。*登壇順

2017年9月~毎週木曜日  法政大学「NPO論 II」(総括ディレクター 伊藤伸)

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(4) J.I.フォーラム お休みのお知らせ

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毎月開催していたJ.I.フォーラムですが、4月はお休みをいたします。(5月以降について検討中)

皆様から頂いたアンケートの結果を参考に、心機一転、新しいカタチを模索中です。

新たな幕開けのJ.I.フォーラムに、ご期待ください。

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【3】<ご紹介>

構想日本が応援している活動をご紹介いたします。

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(1)カタツムリ作戦2018 in KYOTO

(飯舘村「ふるさと住民票」にご協力いただいているコシノジュンコさんより)

かたつむりが結ぶ、こどもたちの夢。

文化功労者で本学の客員教授のファッションデザイナー、コシノジュンコ氏が日本とブラジルのこどもたちとの文化交流を図る活動として行っている「かたつむり作戦」。

「かたつむり」の型にきった画用紙に日本とブラジルのこどもたちが自由に絵を描くことでアートを通して文化交流を図ってこられました。この活動は国際交流にとどまらず、東日本大震災で被災したこどもたちを元気づけようと、各地でかたつむりアート作品の制作ワークショップを開催されました。

京都美術工芸大学京都東山キャンパス鴨川七条ギャラリーにて、かたつむりアート作品を展示します。ぜひお越しください。

開催期間 2018年3月1日~3月26日

開催時間 9:00-17:30 会期中無休

料  金 無 料

会  場 京都美術工芸大学京都東山キャンパス 鴨川七条ギャラリー
(京都府 京都市東山区 川端七条上ル 京都美術工芸大学京都東山キャンパス)

詳細は http://culture-project.kyoto/event/project/detail/katatasumuri2018kyoto.html をご覧ください。

みなさまのお越しをお待ちしております。

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