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【No.882】「特ダネではないけれど(27)ワーク・シェアリング」

◆ 金子 弘氏(2019/07/21)

企業の人材教育機能に関する一考察

働き方の見直しにより、労働者は高度な知識、業務を効率的・効果的に行う能力が一層求められていることから、企業の人材教育機能の現実を明らかにすることを目的とした。

臨時教育審議会「教育改革に関する第2次答申」(1986年4月)において、「我が国の企業は、仕事を通じての教育訓練を中心として、従業員に職場を幅広く経験させることによる熟練形成を図ってきた。

しかし、(中略)変化に対応する能力の開発に欠ける面が生じ始め、(中略)大学等の活用も含めた企業での職業能力開発体制が一層整備されるようにする」と指摘している。

この指摘から30年以上が経過した、中央教育審議会大学分科会「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」(2019年1月)において、「大学等を活用する企業は約2割弱(中略)と少なく、その理由の上位は「大学等を活用する発想がそもそもなかった」、「大学でどのようなプログラムを提供しているかわからない」」と指摘されている。

一方で、文部科学省の私立大学等の振興に関する検討会議(第3回)配付資料 「資料3」の図表1によると、労働力人口に占める大学卒業者・大学院修了者の割合は2017年に約3割強、2032年には約7割になると推計されている。

こうしたことから、多くの企業の人材教育機能は、大学学部、大学院の教育課程への理解が乏しく、大学等の活用が不十分であり、どのような能力を身に付けているかよりも何を経験したかを重視する体質となっており、社会変化へ対応できていないといえる。従って、企業の体質を能力重視へと換えるとともに、労働人口に占める大学卒業者・大学院修了者の急速な増加に対応するためには、国民全体が大学学部、大学院の教育課程に関心を持ち、どのような能力を持った指導教員の下で何を学ぶのかを理解し、そこで何を身に付けたのかということを評価する考え方へと転換を図る必要があるといえる。