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【No.921】「特ダネではないけれど(32) 老後の不安とは」

◆ 埼玉大学名誉教授 小野 五郎氏(2019/08/01)

読者の声

不安なのは持続可能性なんですが年金問題で、一番気になるのは、松浦さんご指摘の制度そのものに対する正確な理解が
為されていないことに加え、制度の表面面ばかり議論され制度そのものの持続可能性に関わる諸問題が浮き彫りにされていないことです。

前者についても、それだけで各自の望むような十分な生活が保障されるわけではないという最も基本的なこと理解されているとは言えません。

だから、不毛な2000万円論議などが起こるのです。また、元々制度外にある非加入者についての議論の混乱も同根です。

とはいえ、後者については、ひととおり制度を知っている者であっても、否、むしろ知っているからこそ不安を感じざるをえません。

なぜなら、「保険制度」「積み立て制度」と言いながら、保険数理的に見ると非常識に高金利な前提を置いているし、基礎年金はあくまで財政負担を前提とするなど、他会計からの繰り入れ無しではとうに破綻しているからです。すなわち、受給者世代が全額負担した積み立て原資の取り崩しと運用果実だけで年金が総て支払える訳ではありません。だからこそ、消費税配分問題、世代間とか非加入者との公平性論議が起きたり、「基本年金の生活保護との一体化ないし予算化論議」が出てくるのです。

なるほど健保その他はもっとひどい。しかし、だからといって年金が優等生という訳でも無い。今のままでは、福祉全般さらには国家そのものが持続不能に陥るのは必定です。

ギリシャのように突然放り出されるくらいなら、将来共に持続可能な制度に向けて、財政再建増税はもちろん、年金カット、本人負担引上げその他福祉予算圧縮を図ってもらった方がいい。

もちろん、他の冗費も削る前提ですが厳しすぎるようですが、いつまでも「そのうち景気が良くなる」とか「成長路線に戻る」とか政府が30年来ついてきた甘いささやきに騙されていると、本当に地獄を覗くことになりますよ。


◆ 大橋 誠氏(2019/08/01)

「特ダネではないけれど(32) 老後の不安とは」に思ったこと

松浦記者の寄稿文を拝読しました。

私も年金受領世代で、年金制度の健全な経営を祈るばかりですが、松浦さんご指摘のとおり、仕組みとしての年金制度は一応の継続性が担保されたとは言え、少子高齢化の日本の人口動態を考えれば、働く人間に年金を背負わせる制度に、いずれ限界が来ることは明白です。

しかし人間が人間を支えると言う発想だからそうなるのであって、ここは人間の代わりに、働く産業ロボット(AIも含む)にも年金を払わせたら良いのではないでしょうか。すなわち償却費の一部を年金の原資に充当するのです。企業は負担増だ、競争力減だと言うかも知れませんが、日本の社会自体が崩壊してしまっては本末転倒です。

やれデジタルイノベーションだ第四次産業革命だと称して生産性の向上ばかりが注目されるロボットやAIですが、この帰結として既存の雇用が削られていくことは、銀行界の動向を見ても明らかで、社会不安の一端ともなっています。

技術の進歩により社会のニーズが失われた仕事が消えることは、電話交換手や和文タイピストなどの例に見るように、ある意味歴史的必然ではあるのですが、それを代替えしていくロボットが、企業のコストダウンや収益アップの為だけでなく、人間社会の為にも貢献することは、本来のロボットの務めではないかと思うのですが、如何でしょうか。

ロボットばかりが年金を払い、人間はそれを享受するだけと言う時代となれば最高でしょうが、さすがにそれでは人間が堕落すると言われるかもしれませんね。

しかしそのような仕組みが出来れば、さらにしっかり働いてくれる生産性の高いロボットの開発に人間が努力するでしょうし、ロボットに対しても愛情が生まれるのではないか、すなわち人間のアートのレベルがアップするのではないかと考えるのですが、荒唐無稽でしょうか?