【No.934】日常に潜むリスク―「加害者家族」 |特定非営利活動法人WorldOpenHeart理事長  阿部 恭子氏|
2019.10.31

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構想日本メールマガジン【No.934】 2019.10.31 発行

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<目次>

【1】各地からの現場レポート

(1)和歌山県 海南市 「住民協議会」第4回

(2)千葉県 香取市 「市民事業仕分け」

(3)鹿児島県 志布志市 「住民が語る会」第2回

(4)鹿児島県 志布志市「四季彩会×ふるさと住民ファンミーティング」in東京

【2】今後の活動予定

(1)岡山県 津山市 「津山自分ごと化会議」第1回 11月2日(土)

(2)鹿児島県 志布志市と東京で 同時開催 「ふるさと住民協議会」最終回 11月9日(土)

(3)群馬県 太田市 「自分ごと化会議2019」第3回 11月10日(日)(台風19号で中止になった10月12日の分)

(4)鳥取県 琴浦町 「事業レビュー(2日目)」(台風19号で中止になった10月13日の分)

【3】お知らせ

アウトサイダーアートフェア ☆クラウドファンディング☆ のお願い

【4】巻末寄稿文

日常に潜むリスク―「加害者家族」

特定非営利活動法人WorldOpenHeart理事長  阿部 恭子

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【1】各地からの現場レポート

参加者の生の声が、続々聞こえてきます。

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(1)和歌山県 海南市「住民協議会」第4回(10/14)

テーマは「コミュニティ施設(公民館や児童館、集会所など)のあり方」

第4回は 、1. 市内の個々の地域の実情に合わせてコミュニティ施設の数や使い方を見直す 2. コミュニティ施設をよく使う人と全く使わない人のギャップを埋めていく 3. 地域コミュニティの重要性を市民みんなが再認識するための工夫をするなど、『今後のコミュニティ施設のあり方を考えるための視点』について議論しました。

参加した市民の声

「一人暮らし世帯が増えている。その施設に行くと誰かがいて、安心できる。そんな施設が今の海南に必要ではないか。」

「今後、コミュニティ施設を減らしていくための基準作りには、若い世代の意見も必要とされていると感じた。頑張りたい。」

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2283

海南市HP → http://www.city.kainan.lg.jp/kakubusho/soumubu/kikakuzaiseika/kikakuzaiseikatorikumi/jyuuminkyougikai/1563452219972.html

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(2)千葉県 香取市 「市民事業仕分け」(10/19-20)

対象事業は「バス路線運行、コミュニティ育成、高齢者等入院時おむつ代助成ほか」

市民判定人の声

「行政だけに全部任せるのではなく、改めて自分が地域でできることはやる必要がある」

「未来のためにまず関心を持ち、事業内容や税金の使われ方を考える必要があることが分かった」

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2266

判定結果等は香取市HP → https://www.city.katori.lg.jp/smph/government/plan_policy/gyokaku/20190902_siwake.html

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(3)鹿児島県 志布志市 「住民が語る会」第2回(10/24)

テーマは「ふるさと住民票(R)でできること」

「我々が志布志を変えていかないといけない」

住民にとっては、長年住んでいるから“当たり前”。でも外の人から見ると“魅力”。

紙一重だけど、この2つのギャップを埋めるにはどうすればいいか。どんなことをしたらいいか。

*ふるさと住民票(R)とは、居住地以外の地域と関わりを持ちたい人が、気軽に関わることができるようにするためのしくみです。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2257

志布志市HP →  http://www.city.shibushi.lg.jp/docs/2019100300024/files/zyumingakatarukai.pdf

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(4)鹿児島県 志布志市「四季彩会×ふるさと住民ファンミーティング」in東京(10/26)

今回は会場を東京に移し「ふるさと住民ファンミーティング」と題し、たくさんの志布志ファンの方に集まっていただきました。

参加したファンの声(一部抜粋)

「志布志の美味しい食べ物をSNSでたくさん発信していきたい」

「せっかくつながりができたから、一度は行ってみたい。」

などなど、実に多くのアイデア、意見が出ました。

詳細はこちら → https://www.kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=2316

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【2】今後の活動予定

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(1)岡山県 津山市 「津山自分ごと化会議」

テーマは「市有プールのあり方」

★津山市「津山自分ごと化会議」の特徴★

1.津山市で初の住民協議会「津山自分ごと化会議」を開催。

2.「市営プールと学校プールのあり方」について市民目線で議論する。

3.無作為に選ばれた1,700人の中から応募のあった35名の市民が参加。

【日 時】第1回:2019年11月2日(土)13:00〜16:00(予定)

【会 場】津山市役所(岡山県津山市山北520番地)

※会場に関する問い合わせ先 津山市行財政改革推進室(0868-32-2028)

【参加費】どなたでも傍聴できます(無料、事前登録不要、途中入退室可、要当日受付)

詳細は、津山市HPをご覧ください。
https://www.city.tsuyama.lg.jp/life/index2.php?id=7317

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(2)全国初「ふるさと住民協議会」鹿児島県 志布志市と東京で同時開催します

テーマは「ふるさと住民票(R)でできること」

★志布志市「住民が語る会」の特徴★

1.「まち・ひと・しごと創生総合戦略」作成を目的とした、住民協議会。

2.無作為に選んだ市民15名と「ふるさと住民」34名とがコラボした住民協議会は全国初。

3.市民同士、ふるさと住民同士、市民とふるさと住民という複層的な交流を作り、継続させることが目的。

【開催スケジュールと内容】

<志布志×東京 同時開催>

【日 時】2019年11月9日(土)14:00~16:00(予定)

【会 場】

志布志:志布志市役所有明本町本館 2階庁議室 (鹿児島県志布志市有明町野井倉1756)

東京:リコージャパン株式会社晴海トリトン事業所 (東京都中央区晴海1-8-10 晴海アイランド トリトンスクエア)

志布志と東京の2会場をWEBで繋ぎ、それぞれの会場で議論したことを報告し合う。

▼「住民が語る会」に関するお問合せ(一般傍聴、取材など)につきましては、すべて以下へご連絡ください。

志布志市 企画政策課 地方創生推進室(電話:099-474-1111)

詳細は志布志市HPをご覧ください。
http://www.city.shibushi.lg.jp/docs/2019100300024/

*ふるさと住民票(R)とは http://relevantly.work/cp-bin/wordpress/

*志布志ふるさと住民票とは http://www.city.shibushi.lg.jp/docs/2019071000022/

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(3)群馬県 太田市 「自分ごと化会議2019」

台風19号の影響により、延期した10月12日の第3回会議を11月10日(日)に開催いたします。

テーマは「行政情報のあり方」

★太田市「自分ごと化会議2019」の特徴★

1.「市民と行政との間で情報が共有されていないこと」が課題。

2.無作為に選ばれた1,300人の中から応募のあった33名の市民が参加。

3.市職員に対しても無作為抽出を実施し、応募のあった市職員が議論に参加。

【日 時】第3回 11月10日(日)13:30~16:30(予定)

【会 場】太田市役所 本庁舎3階大会議室 他(太田市浜町2-35)
※会場に関する問い合わせ先:太田市企画政策課(電話:0276-47-1892)

【参加費】どなたでも傍聴できます(無料、事前登録不要、途中入退室可)

詳細は、太田市HPをご覧ください。
https://www.city.ota.gunma.jp/005gyosei/0020-001kikaku-kikaku/2017-0710-jk.html

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(4)鳥取県 琴浦町 「事業レビュー(2日目)」

台風19号の影響により、延期した10月13日の琴浦町事業レビュー2日目を11月10日(日)に開催します。

★琴浦町事業レビューの特徴★

1.無作為に選ばれた町民43名が町の事業について評価する。

2.納税者である住民が自分ごととして町の事業を評価、また職員の意識改革、説明能力の向上が目的。

3.「社会福祉協議会」「商工会」への補助金事業など全9事業を評価。翌年度以降の予算編成に反映。

【日 時】11月10日(日)9:00~17:00(予定)

【会 場】琴浦町保健センター(琴浦町役場本庁舎北側)
※会場についてのお問い合わせは、琴浦町役場総務課まで(電話:0858-52-2111)

【参加費】どなたでも傍聴できます(無料、事前登録不要、途中入退室可)

詳細は、琴浦町HPをご覧ください。
http://www.town.kotoura.tottori.jp/docs/2019062100021/

▽津山市、太田市、琴浦町のお問合せは、構想日本まで TEL:03-5275-5607 E-MAIL:shiwake@kosonippon.org

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【3】ご紹介  構想日本が応援している活動に関するお知らせです。

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アウトサイダーアートフェア ☆クラウドファンディング☆ のお願い

障がいのあるアーティストに世界へ羽ばたくチャンスをください!

9月のメールマガジン(No.929など)でご紹介した、障がいのある作家による作品展「現代 アウトサイダーアート リアルー現代美術の先にあるものー」はおかげさまで9000人もの人に大きな感動を与えて終了しました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

しかし、日本ではまだこの分野のアート市場は未成熟で、作家に十分な経済的還元はできません。そこで次のステップとして、来年1月ニューヨークのアウトサイダーアートフェア outsiderartfair.com に参加することにしました。そこには大きな可能性があります。作家とそのご家族、施設の人…みなさんの思いを載せてニューヨークへ飛びたいと思います。

そこでお願いです!
フェア出展に向けて、現在、READY FORにてクラウドファウンディングを実施しています。

目標金額 350万円  締切 12月17日(火)午後11:00まで

~いただいたご支援の使い道~

出展料 $20,000- 約220万円、渡航費(2名)NY往復航空券代金 約34万円、滞在費(2名)7泊 約14万円、作品輸送費・保険料 約40万円、クラウドファウンディング手数料 42万円  合計350万円

自力でチャンスを掴むことが困難な障がいのある作家たちのために、さらには本当の意味でのダイバーシティのために、どうぞお力をお貸しください。よろしくお願いいたします。

クラウドファンディング こちらから → https://readyfor.jp/projects/acmgallery2020ny

一般社団法人Arts and Creative Mind 代表理事 杉本志乃  www.aacm.tokyo

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【4】 日常に潜むリスク―「加害者家族」

特定非営利活動法人WorldOpenHeart理事長  阿部 恭子

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連日のように報道される痛ましい事件や事故。しかし、報道から伝わってくるのは、事件現場の惨状、逮捕された被疑者の姿、被害者や遺族の悲痛な叫びにとどまる。

日本社会では、これまでほとんどその存在に焦点が当てられることはなかったが、事件の影響で家や仕事を失い、自殺に至る人々も後を絶たないのが「加害者家族」である。

加害者家族は、英語で“Forgotten Victim”(忘れられた被害者)“Hidden Victim”(隠された被害者)と表現されるように、問題が後回しにされ、なかなか支援が行き届かない。それでも欧米諸国では、加害者家族自らが社会運動を担い、複数の支援団体が活動している。一方日本では、支援組織どころか加害者家族に関する情報すら存在しなかった。

欧米諸国との差は、犯罪者の数に拠るところが大きい。日本は、世界一治安が良い国といっていいほど犯罪が少ないことから、多くの人にとって犯罪者が身近にいるという想像は難しく、社会から排除しようという意識が強い。犯罪者の家族も、家から犯罪者を出した責任として社会的制裁を受けることは当然と見做され、支援という発想は生まれてこなかった。

筆者は、2008年、日本で初めて加害者家族を対象とした支援団体を設立し、現在まで1500件以上のさまざまな状況にある加害者家族の相談を受けてきた。「加害者」という言葉が連想させるのは、暴力団のような特殊な人々かもしれないが、加害者家族の実態は、どこにでもいる普通の家族であった。

今年6月、元農水事務次官が長男を刺殺するという事件が起きた。元事務次官の家族は、長年自宅に引きこもり、家庭内暴力を振るう長男に悩まされていたという。先に起きた川崎の無差別殺傷事件が引き金となり、殺害に至ったという報道もされている。今年に入って続いている無差別殺人の報道を見る限り、いつ被害者になるかわからないという恐怖を覚える人も少なくないであろう。しかし、日本の殺人事件の半数は家族間で起きている。被害者となるリスクは、むしろ社会よりも家庭の中にあるのである。そして、事件が起きれば、残された家族は被害者家族であると同時に加害者家族にもなる。

事件が起きた家庭を見ていくと、元々家族関係が悪かったわけではない。家庭内暴力、介護疲れ、育児ノイローゼなど、ある時期から問題が積み重なり、次第に追いつめられているのである。日本社会では、家庭の問題を外に出すことを恥と見做す傾向が強い。従って、家族は問題を抱え込み、孤立していくのである。事件を防ぐために必要なことは、問題を共有できる人々との繋がりである。

当団体では、加害者家族が体験を語り合う「加害者家族の会」を定期的に開催している。仙台で始まった会は、東京、名古屋、大阪、熊本と全国に広がっている。問題を抱えた人を孤立させない環境を作ることが、再犯や新たな犯罪を抑止する力になるのだ。

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阿部 恭子様 (あべ きょうこ)

東北大学大学院法学研究科博士課程前期修了(法学修士)。2008年、日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立。全国の加害者家族からの相談に対応しながら講演や執筆活動を展開。著書『家族という呪い―加害者と暮らし続けるということ』(幻冬舎新書、2019)、『息子が人を殺しました―加害者家族の真実―』(幻冬舎新書、2017)など。

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(編集後記)

総務省が約19億円かけて開発した省庁向セキュリティシステム、1度も使われず2年で廃止。
日本原子力発電が再稼働を目指す東海第二原発に対し、東電が2200億円超の支援。
在職老齢年金制度は、月給+年金の合計額が一定以上の場合に年金支給額を減らす制度。

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