【No.94】長野県での出来事
2003.05.23

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長野県での出来事
JIメールニュースNo.94  2003.5.2
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■■ 目次 ■■
1.《日本の希望》長野県での出来事

2.《J.I. Action Summary》
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1.《日本の希望》長野県での出来事
構想日本 政策アナリスト
近藤 学

先日、長野県に行って来ました。構想日本では現在、国と地方のあり方
を見直すというプロジェクトが進行中です。税源移譲や補助金・交付税改
革も提言する予定ですが、その前提として国と地方の役割分担を改めて見
直す必要があります。
そうした問題意識の下、今回は長野県の来年度予算に盛り込まれた
2,014もの全事業項目について、民間や市町村や国が実施する方が良いも
のはないか仕分け作業を行いました。
全事業項目は5つに分け、5つの班でそれぞれ県職員(財政担当部局や
現業部門などから計4、5名)と神奈川県内の市職員2名を中心に、一つ
一つの事業項目ごとに検討していきました。
実は私は参加する前、意義はもちろん大きいけれど、何らかの基準に当
てはめて各事業を機械的に仕分けるだけだろうと勝手に想像していました。
場合によっては、途中で帰京しようとさえ思っていました。しかし予想は
完全に裏切られました。一言で表現するととにかく面白かったのです。
第一は、無味乾燥な名前が付けられた事業の実態を知るという面白さで
す。第二は、その事業が本来どうあるべきか本質を考えるという面白さで
す。第三は、私にとってはこれが最も興味深かったのですが、個々の県職
員の心のひだが垣間見られたことです。
今回の仕分け作業は予算の査定ではありません。ただ、現業部門つまり
予算要求部門の職員たちは、まな板の鯉の心境だったろうと思います。困
惑した表情を見せる人、ファイティング・ポーズをとる人、殻に閉じこも
る人など様々でした。険悪になりかかった議論や平行線をたどった議論も
ありました。それは彼らが、自分が携わっている事業を守ろうとしたから
でしょう。
しかし、そうした姿勢は当然だと思います。むしろ、絶対に必要だとい
う強い思いがないような事業は、住民としてやってもらいたくありません。
困っている住民がいて、そういう人たちを助けたい、そのような気持ちは
行政の原点の1つでしょうから、大切にしてもらいたいと思います。
改革が成功するかどうかは、そうした強い思いがある人たちに、いろい
ろな視点があるということを示し、事業の根拠をもう一度見つめ直しても
らえるかどうか、つまり揺さぶれるかどうかで決まるのではないでしょう
か。
一方、査定側の人たちには、予算を切る際、その事業を創った人や守っ
てきた人の思いを軽んじてもらいたくはありません。創り、守る際には、
私心もあったでしょう。しかし、そうでない事業もたくさんあったはずで
す。そうした思いと正対し、それを乗り越えて判断を下せる、ゲーム感覚
ではないそうした強さが査定側に求められるのだと思います。
私は、仕分け作業の過程で長野県の人たち同士が熱い議論をしている姿
がとても印象的でしたし、終わってから彼らの何人かと話して、本質的な
ことを考える機会を持てた喜びを感じました。そのような人はまだ少数か
もしれませんが、今回の作業が彼らの心に火をともしたと確信しています。
ただひとつ残念だったのは、作業に参加した長野県内の市町村の人たち
の発言がほとんどなかったことです。これは他の県で仕分け作業をした際
にも同様に見られた現象らしく、私はこのことは行政サービスの市町村受
け皿論を考える上でもの凄く大きな問題だと思っています。
長野県の改革では、田中知事の大胆な発想は絶対に必要です。これがブ
レークスルーの原動力になっていくのは疑いありません。ただ、それだけ
では幸せな改革にはならないと何となく思っています。
中堅や若手職員が改革が必要であると心から共鳴して動き始めたとき、
幸せな改革が始まるのではないでしょうか。そのための意識改革のツール
として、今回のような仕分け作業は実に有効だと確信しています。
最後になって申し訳ありませんが、一連の作業では神奈川県内の市職員
10名の方々に、多大な貢献をいただきました。こうした作業は、事業の実
態を熟知した行政マンでないと不可能です。加えて、熱い情熱が不可欠で
す。彼らにはそのどちらもが備わっていました。終始、議論をリードし、
粘り強く刺激を与え続けて下さいました。心から御礼申し上げます。
当初は勉強会のような形で始まった仕分け作業も、現在ではそうした域
を超えて伝道師的な色彩を帯びてきました。構想日本はこの活動を日本の
ひとつの希望として全国に拡げていく方法はないか探っていきたいと思い
ます。
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の4月の主な活動状況■
(1)選挙制度
統一地方選挙にあわせた現場の取り組み
・各地の「公開討論会」で、公職選挙法改正のポイントを盛り込んだ
チラシを配布
・「子ども模擬投票」の呼びかけ(都立武蔵高校で実施)
https://www.kosonippon.org/wp-manager/mogi/
(2)国と地方
抜本的な税財政改革の提言づくり
・8つの自治体での事業仕分け結果をベースに、税財源配分・補助金
事業
・地方交付税制度に関する改革案をパッケージとして作成中(5月連
休明けに発表)
(3)公益法人改革
民法34条改正を含む、「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向
けたキャンペーン
・制度改革に関する情報を、公益法人やNPO法人、NPOの方々に
発信(4/21、第4回info-netニュース発信)
https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=186
(4)国会議員アンケート
「市町村合併」に関するアンケートを実施中(「構想日本」、「提
言・実践首長会 合併部会(議長:逢坂二セコ町長)」、「(社)経済
同友会」の共同アンケート)
http://db.kosonippon.org/enq/question.phtml?policy_set_id=13
(5)エネルギー戦略
「核燃料サイクル政策」の見直しに関する提言づくり
上記のほか、「政治資金制度改革」、「年金制度」、「医療制度改革」な
どの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 https://www.kosonippon.org/wp-manager まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)

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