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【No.95】《「プロ」のネットワーク》途上国開発のあり方を考える「DC開発フォーラム」

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途上国開発のあり方を考える「DC開発フォーラム」
JIメールニュースNo.95  2003.5.9
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■■ 目次 ■■
1.《「プロ」のネットワーク》途上国開発のあり方を考える「DC開発フ
ォーラム」
構想日本 政策委員 N

2.《お知らせ》
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1.《「プロ」のネットワーク》途上国開発のあり方を考える「DC開発フ
ォーラム」

構想日本 政策委員 N

●具体的でかつ知的な議論の場
私は最近10年間、金融機関で開発途上国のプロジェクト向けファイナ
ンスの仕事をしています。
はるか昔の大学生時代には、図書館で国連関係の資料を読み漁りなが
ら「途上国の人たちの役に立ちたい」と思いをふくらませ、当時できた
ばかりの津田国際研修センターで国際機関赴任前の方と一緒に英語を勉
強しました。同じクラスにいた大学の助教授が国連人権委員会に勤務さ
れましたが、アフリカ出張中にジープが転落して亡くなられたのは、今
思い出しても胸が痛みます。
その後、私が官庁で国際関係の仕事をしていてジュネーブでの国際会
議に出張した際に、上智大学教授だった緒方貞子さんにご挨拶する機会
があり、すばらしい方だという印象を受けたのをはっきり覚えています。

私の今の仕事は、途上国で不足している電力の供給を増やしたり、
100人に数人しか普及していない電話を増設したりするための、資金調達
のお手伝いです。最近では、開発による環境破壊や現地コミュニティへ
の悪影響がないかどうかといった配慮も、ますます必要になっています。
ふだんは案件獲得のための営業や、融資先の途上国政府・企業や、支
援する日本政府・国際機関との折衝に忙殺されているのですが、最近は
途上国への日本の関わり方はどうあるべきなのかと考えるようになりま
した。
そんな頃、日本と米国ワシントンの両方で活躍されている方から、
「DC開発フォーラム」を紹介されました。ここでは、主にワシントン在
住の日本人で、途上国の経済開発に携わる政府、国際機関、企業、NGO、
研究者などの方々が個人の資格で集まり、「ブラウンバッグランチ
(BBL)」(ランチ持参の会議)や電子メールで意見を交わしています。
(詳細は、 http://www.developmentforum.org/ をご覧ください。)

インターネットの活用により、私のように米国以外から参加している
人もいます。アジアやアフリカの開発の現場から援助関係者のレポート
があったり、開発金融に携わってきた日本の政府機関の方が長年の経験
に基づいたコメントをしたり、最近では国際機関のトップを務める日本
人の方がBBLで話をされたりと、具体的でかつ知的な議論が行われてい
ます。組織や国境を超えて働いた経験から、「官か民か」あるいは「コ
ンサルタントかNGOか」という区別にこだわるよりも、必要なのは課題
について「プロ」かどうかである、という意見も見られます。最近は、
ODAについての日本のあり方についても、議論を深めています。

幹事の一人の紀谷昌彦氏は、「大きな目標・夢を共有しながら、まず
は身の回りで出来ることから具体的な形で実行していけば、その気概と
エネルギーが多くの開発関係者を更に勇気付け、現実の社会にインパク
トを与えていけるのではないかと思います」と語っています。

●あらゆる政策は「現場」のプロから
「DC開発フォーラム」に所属している人々は、今日は世界のあちこち
で別の仕事をしていても、明日には途上国の同じ案件でチームを組んで
仕事をするかもしれない人たちです。
例えば、アジアでのプロジェクトに、日本の政府機関の融資や保険・
保証が得られ、ワシントンの国際機関が投資保険を提供し、日米欧の民
間金融機関が協調融資団を組成することもあります。融資の実現までに
は、お互いの連絡のために無数の電子メールが飛び交い、今日は何時に
電話会議をセットすれば地球の裏側にいる人にも不公平にならないかと
考え、融資契約書の調印式にこぎつけてやっとひととき談笑することが
できます。翌日からは別の案件で、自国投資の後押しのために政府同士
が競争したり、前回はライバル同士だった金融機関がチームを組んだり
します。

開発コンサルタントは、世界中のプロジェクトの現場を訪れて、プロ
ジェクトの採算性・技術力の確認や、環境への影響のチェックをします。
その意見は、関係者が重視しています。

途上国開発の実務に関わっている「プロ」は、先進国側だけの見方で
も途上国側だけの見方でもなく、どういう時にはプロジェクトはうまく
進みやすく、資金調達も成功しやすいかを、経験から知っています。ま
た、当初は「画期的なスキーム」と評判になっても、実施には困難を伴
った実例も多く知っています。特に民間所属の人は ” Show me the
result (money)” の世界に住んでいるので、観念論をもてあそぶ暇は
ありませんが、無形の知恵・洞察が一人一人の中に宿っています。

「DC開発フォーラム」は、これまで「政策」を考えるのは官庁で「実
務」は政府機関といった、所属組織の枠を取り払い、NGO、国際機関、
日本政府、コンサルタント、研究者や金融機関など、途上国開発にかか
わるあらゆる人たちのネットワークを創造した点で非常にユニークです。
また、多くの人たちがボランティアの幹事として共同でフォーラムを運
営している点にも、頭が下がります。

「現場に神宿る」とは中坊公平さんのお言葉ですが、あらゆる政策は
「現場」のプロからのインプットなくしてホンモノにはなり得ません。
途上国開発でも「現地」と実際に関わっているプロの関与を得ることで
のみ、日本と途上国の両方に有益な政策が生まれると思います。この意
味で、「DC開発フォーラム」の今後の発展に私は注目しています。

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2.《お知らせ》
「自治体ディスカッション@長野」を開催します
-自治体の『現場』から、「国と地方のあり方」を見直す-

「国と地方の税財政」改革に関する議論が、いまだに抽象論や関係者間
の責任の押し付け合いに終始しているのはなぜでしょう?それは、議論の
当事者に『大局観』がないことに加え、『現場感』-日常の行政サービス
を行っている中からこそ生まれる具体的な問題意識-が欠けているからで
す。
3月中旬、複数の自治体の『現場』職員が一堂に集まり、意見を闘わせ
ながら、長野県のすべての事業を予算項目ごとに仕分けてみました(必
要?/不要?、どこがやるべき?)。同時に、地方に対する国のコントロー
ルもリストアップしました。これは、長野県にとどまらず、ひろく国と地
方の関係(「お金(補助金等)」と「仕事(指示)」がセットで中央から
地方へ)を、具体的に見直すことにつながるものです。
今回、その仕分け結果を題材に、作業参加者によるディスカッションを
行います。国のコントロールの実態、事業のあり方に関する県と市町村の
考え方の違いなど、『現場』ならではの問題意識をもとに議論していただ
きます。また、これまで8つの自治体で実施した仕分け作業をベースにし
た構想日本の提言についても議論します。
是非、ご参加下さい(傍聴自由)。

●日時:平成15年5月14日(水) 午後1時30分~午後4時30分
●会 場:長野県庁講堂(議会棟1階、長野市大字南長野字幅下692-2)
●議題:第一部「長野県の事業仕分け結果」について
第二部「国と地方の税財政改革」に関する構想日本の提言につい

●パネリスト:田中 康夫(長野県知事)
安生  徹(社団法人 経済同友会常務理事)
長野県職員、長野県下市町村職員
神奈川県下市職員(厚木市、小田原市、三浦市、横須賀
市)
加藤 秀樹(構想日本 代表)
近藤  学(構想日本 政策アナリスト)、ほか
●コーディネーター:冨永 朋義(構想日本 政策担当ディレクター)
●主催:長野県(経営企画局財政改革チーム)、構想日本

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