2015.02.12
「特ダネではないけれど(1)予算のあり方」| 新聞記者 松浦祐子氏|
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「特ダネではないけれど(1) 予算のあり方」

新聞記者     松浦 祐子
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2015年度政府予算案の国会審議が始まります。

一般会計の総額は過去最大の96兆3420億円。企業の業績改善などで税収が増え、新たな借金である新規国債の発行額は、前年度より減らすことができたものの36兆円超で、4割近くを借金に頼らなければ成り立たない予算案です。

マスコミは、通常は年末(今回は昨年末に解散・総選挙があったため年明けまでずれ込みました)の予算案をまとめる時期になって集中的に報じます。その場合、最終段階までもめている案件の予算の増減額について、政治と財務省と各省庁の闘争の「勝敗」を追うことに注目しがちです。

私は、これまで15年余り新聞記者という仕事をしてきました。社会保障の分野を中心に予算の取材をしてきた中で、いつも感じるのは「もっと早い段階から、様々な政策の選択肢を比較しながら議論し、国民の間で一定の合意を得ながら、予算を作れないものか」ということでした。

もちろん、各省庁、各自治体では、解決していかなければならない政策課題について、審議会などで議論が行われています。ただ、そこでは「新しくこういう政策が必要だ」という内容は話し合われますが、「そのためにかかる費用はどれくらいで、どのようにお金を調達するのか」ということは、ほとんど議論されません。

一方で、「どれだけ、どのように国民に拠出をしてもらうか」を議論する税制改正では、法人税や消費税といった個別の税目の増減税が主に話し合われ、「増税すれば、何ができ。減税をすれば、何ができなくなるのか」といった政策とリンクした検討は乏しいのが現実です。

そういう意味では、近年の消費増税を巡る議論は、社会保障のあり方とセットで議論をされた稀有なものでした。それでも、まだまだ、国民の負担増への嫌悪感は強く、安倍政権も消費増税の先送りを決めました。

けれど、未来永劫、毎年度、数十兆円という借金を続けていくことができないのは明らかです。やらなければならないことは、シンプルです。国の収入を増やすのか、支出を減らすのか。現実的には、その両方を平行してやっていくことが必要なのでしょう。

そのやり方については、私は、たくさんの選択肢があると思っています。消費増税に限らず、国民が、所得増税や保険料の値上げの方が納得感があるのならば、それでも良いと思います。国が信用できないので、医療や介護は民間の保険に頼り、国の支出を減らすという手も、国民が納得して選ぶのならば、否定できないと思います。まずは、様々な選択肢を知り、議論をしてみることが必要なのではないでしょうか。

ニュースでは、そのときに議論があることを中心に取り上げざるを得ません。あえて、このコラムでは、「今、議論になっていないこと」を、皆さんに投げかけ、一緒に考えていければと思っています。(松浦祐子さんには月1回程度の割合で連載していただく予定です)

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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