昨秋、千葉県は立て続けに2つの台風と豪雨に襲われ、長期の停電、建物の損壊、洪水などの甚大な被害を受けました。
『その時、現場では何が起きていたのか。』
構想日本は12月、千葉県内の自治体で調査を行い、現場の最前線で動いていた方々と一緒にJ.I.フォーラムを開催しました。
そこから見えた、どこの地域でも有用なこれからの防災に必要な3つの視点をご紹介します。
1."想定外″に対処する想像力を鍛える
最近の大災害では、「想定外」が必ず生じている。形式的でない訓練を行うことで、想定外な状況でも柔軟に行動する力をつけていく。
「これが使えなかったら何で代えるか」など、危機管理にどれだけイマジネーションが働くかが重要。皆の知恵を寄せ集めれば対応策は必ず見えてくる。
フォーラム登壇者(平氏)の意見
2.経験を次に活かせるよう整理、共有する
1を可能にするためにも国や自治体、ボランティア団体が持っている災害・防災の経験を誰もが活かせる情報を整理し、学習できる場を作る。
行政は情報を分かりやすく伝える訓練をする必要がある。災害時に関わる組織との日常的なコミュニケーションが足りなかった。
フォーラム登壇者(熊井氏)の意見
3.行政任せではなく「自分ごと」に
大災害には行政だけでな対応不能、自治体職員の手も足りない。行政依存から「みんなで備える」に。
自分たちの町内会では「行政の支援は来ないもの」と思って避難訓練を行い、物資を備えている。
フォーラム登壇者(佐々木氏)の意見
【第254回J.I.フォーラム】大災害時代、千葉に学び、全国に行かす
≪登壇者(敬称略、写真左2人目から順)≫
- 平 将明(内閣府 防災担当副大臣・衆議院議員)
- 佐木 学(三原市まちづくり戦略検討会議委員・小坂町 防災会会長)
- 鈴木 裕士(富洋観光開発株式会社 代表取締役)
- 鈴木 航太(富津市 総務部資産経営課資産経営係 係長)
- 熊井 成和(館山市 健康福祉部長)
- 石井 秀征(鴨川市 経営企画課 課長補佐 兼 総務課 台風被害復興室長)
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代表 加藤秀樹 コメント
「気候変動時代」の大災害では、これまでの「想定」は成り立たない。これまでの「想定外」に対応していくには、行政任せでなく地域住民の意識と動きが重要だ。そして、日常から災害を織り込んだ生活、地域づくりを行うことが大切だ。構想日本は「防災」をテーマにした自分ごと化会議を福岡県大刀洗町、静岡県浜松市で行った。家庭の備蓄量を増やしたり、自治会の話し合いの議題に防災を提案するなど、会議に参加した市民の意識や行動に変化が起こっている。防災を「自分ごと」として考える機会を作り、過去の経験を共有していくことが重要だと思う。
※本投稿内容は、構想日本が発刊する機関紙「J.I.News(vol.57)」の内容を一部修正を加え掲載しています。http://kosonippon.org/wp-manager/jinews/index.php