2025.01.01
【代表コラム】2025年新年のご挨拶 ー「政治家よ、大欲を抱け」
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新年おめでとうございます。

新年の新聞には「民主主義の危機」的な記事が多く見られました。民意に対応できない政治、SNSの影響力、ポピュリズムなどについて書かれていますが、それ以上の分析や提案はありません。
そこで私なりに少し整理してみました。
今の民主主義の登場人物を大まかに言うと、民意を持つ国民、住民、その民意を受けて政策を作り実行する政治家、両者をつなぐメディア、でしょうか。
民意と国民については「自分ごと化会議」に関していつも話していますから、ここでは政治家について書きます。

昨年10月、構想日本は政治資金に関する提言(*)を発表し、その後年末まで、私は与野党のキーパーソンやメディアに説明して回りました。大方理解は得られるのですが、みなさん「でも、今はそれどころじゃない」という雰囲気なのです。予算の決定に向けて、与野党のかけひきなど目の前のことで手一杯なのは分かります。しかし、彼らは年中「それどころじゃない」状態で、社会の将来像やそのための政策議論は常に後回しなのです。そうやって5年、10年すぐに過ぎる。目の前の「小さな勝負」と選挙に終始し、それに達成感を感じているうちに、それで終わる政治家も多いのが現実です。国の運営を志しながらなんと「小欲」かと思います。
私が会う議員たちはみなさん能力も問題意識も高い人たちです。それでもこうなのは、政府や国会の運営方法、いわゆる政局、有権者の動向、そしてメディアの対応など理由はいくつも挙げられますが、彼ら自身がその状況を作り、変えられないわけですから、やはり政治家の「本分」についての意識の薄さを表していると言わざるを得ません。「大欲」を語る政治家は多いのですが、行動になると縮んでしまう。もっと欲張りになれ!と言いたくなります。

メディアについて一言付け加えると、新聞やテレビの政治記者の関心は専ら「政局」です。「小さな勝負」にぶら下がって小ネタを集めている。大きい政策テーマについては月並みな報道と解説を繰り返し、SNSがその間隙を狙うように煽るような発信をしているという構図でしょうか。

これを変えていくのは大変ですが、民主主義の危機と言うならきちんと考えないといけません。
政治の「本分」を取り戻すには、まず「政党のガバナンス」の確立が不可欠です。企業の場合、利益をあげることが目的だとしても、消費者、社員、株主さらには社会に対しても公正、誠実であることが求められています。そこで、まずはカネ=財務情報を正確に公表し、嘘がないかチェックされます。
最近は環境や人権に適切に対応しているかなど非財務情報も重要視されています。これら企業の「本分」を全うするために守るべきことの基本がコーポレートガバナンスだとすれば、政治家が政治の「本分」に還るために、政党に対しても同様のガバナンスを求め、そのためのルール(政党法など)を作るべきです。
政治資金(財務情報)に加えて、政党法で組織と行動規範(非財務情報)を律すれば、政治家も「本分」を全うできるはずです。
今の時代は、様々なメディアやSNSが社会の主役のように扱われています(そう言っているのもメディア)が、あくまでも情報の流通役です。したがって、政治の「本分」が固まれば、ポピュリズムやSNS上の煽情的な情報に対する抵抗力も強くなります。そうすれば、SNSを含むメディアと、そこから出される情報も淘汰されやすくなると思います。

以上が、「民主主義の危機」に対する私と構想日本の活動の背後にある考えです。
みなさまにとって、2025年が良い年になりますように、そして構想日本がささやかでもそのお役に立てるよう、スタッフ一同例年にもまして一生懸命働きたいと思います。

*政策提言の詳細は、構想日本ホームページ(リンク)をご覧ください。

「大欲」とは:
もともとは仏教の言葉で、自分だけの利益を求める=「小欲」に対して、世の中全体が良くなることを願うといった意味。

構想日本 代表  加藤秀樹