【No.197】首長リレーエッセー(8) 医師から市長になって
2005.05.06

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JIメールニュースNo.197  2005.5.6発行
首長リレーエッセー(8) 医師から市長になって

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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【首長リレーエッセー(8) 医師から市長になって】
2.【J.I. Action Summary】
3.【第95回「J.I. フォーラム」のご案内】
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1.【首長リレーエッセー(8) 医師から市長になって】
岩手県宮古市長 熊坂 義裕
私は、平成9年7月に内科開業医から市長に転じました。医師から市長にな
ったというと珍しいと思われるかもしれませんが、医師の市長は結構存在し、
現職では16人を数えます。医家市長会(会長は長野県佐久市の三浦大助市
長)なる会もあって、私も事務局を数年担当しました。医師市長の皆さんと
のお付き合いの中でいつも感じるのは、医師としての強いヒューマニズムと
強固な信念(医者を辞めても市長をやる)で市政を推進しているということで
す。
20年内科医をやり、この間5百例以上の死亡診断書を書きました。医師は
自分が行った医療行為や結果(死も含めて)について患者さんや家族に納得
のいく説明ができなければ、いくら頑張ったと主張しても厳しく責任を問わ
れます。医師免許を与えられ医療に従事するというのは、まさに社会との契
約であり、私たち医師は医学知識や医療技術の向上のため日夜努力を続けて
いるという信頼関係の上に初めて仕事が成り立ちます。その意味で最も厳し
い成果志向の職場と言えます。自分を選択してくれた患者さん(顧客)に医
師として(プロとして)最高のサービスを提供する。医者をやっている時は、
この気概の下に四六時中気の休まることの無い真剣勝負の日々を過ごしまし
た。
こんな仕事中毒のような私が突然市長になって色々と注文をつけたので職
員が面食らったことは言うまでもありません。当然ながら職員とあつれきが
生じましたが、今思うと組織で仕事をするという事を十分に理解出来ていな
かった私にも反省すべき点(行政は急がば回れ式の方が良い結果につながる
事がある)がありました。
しかし、絶対に忘れてはならないのは市役所にとっての顧客は市民(正確
には納税者)だという事です。そして職員は市民に雇われているのです。自
分達で出来ないからお金を出し合ってサービスをする人間(職員)を雇って
いるのです。加えて市民は市役所を選べません。新年度の辞令交付式で新入
職員が「公務を民主的かつ能率的に運営すべき責務を深く自覚し、全体の奉
仕者として、誠実かつ公正に職務を執行することを固く誓います。」と宣誓
しますが、時が経ち普段このことを忘れている職員が何と多かったことでし
ょうか。
私の倫理観、道徳観、職業観を話し、公務とは何かを職員と議論しながら
試行錯誤で進めてきた宮古市の改革ですが、今は簡素で効率的な開かれた市
役所の実現を掲げた宮古市構造改革実施計画に基づいて組織全体で粛粛と進
められています。この間宮古市は、平成14年には人口10万人以下の全国429
市の中で行政改革度第1位(日本経済新聞社調べ)、同じくホームページの
情報公開度第3位(東洋経済新報社調べ)にランクされました。宮古市の改革
を振り返って検証するならば、今でこそ当たり前になった自治体経営の手法
であるNPM(ニューパブリックマネージメント)型、或いはPPP(パブ
リックプライベートパートナーシップ)型の行政経営を指向してきたといえ
ます。NPM、PPPの骨子は、納税者が主役の顧客第一主義、結果重視の
成果志向、サービスの質と量が同じなら安価な方に任せる市場競争原理、権
限が移譲された現場中心主義の4点に集約されると考えていますが、まさに
今後目指すべき自治体のあり方を示しています。
終わりに、市長は大変やりがいのある仕事ですが、8年間やってきて思う
ことは「首長は賞味期限付きの消耗品である」という自覚が大切だというこ
とです。市町村合併でリセットされれば話は別ですが、選挙の時に約束した
公約を実現していけばその存在価値は確実に下がっていくからです。賞味期
限を常に自覚しながら悔いのない仕事をしたいと思います。
<筆者のプロフィール>
1952年福島市生まれ。1978年弘前大学医学部卒業。弘前大学医学部教官、岩
手県立宮古病院内科科長を経て宮古市内に医院を開業。1997年宮古市長に就
任。現在2期目。21世紀臨調コアメンバー。医学博士。主な著書「自治体経
営革命」(メタモル出版)等
宮古市のホームページ http://www.city.miyako.iwate.jp
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2.【J.I. Action Summary】
■構想日本の4月の主な活動状況■

1.社会保障制度改革
●JC-JIフォーラム「このままでいいのか!社会保障!どうする年金制
度!」  (4/15@日本JC会館)
・年金制度を考える視点、あるべき姿を議論(パネリスト:武見敬三 参議
院 議員、高竹和明 日本青年会議所会頭、ほか)
2.政治改革
●東商「政治・行政改革推進委員会」WGで講演(4/28@東商会館)
・衆/参議員の選び方、与党と内閣のあり方、政治とカネの問題の本質など。
●公開討論会の推進キャンペーン。
・公開討論会リーダーズ研修会(4/16@札幌市)-各地の公開討論会の
事例紹介(青森、千葉、名古屋)、等
3.公益法人制度改革
●「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向けたキャンペーン
・第15回info-netニュース(4/27)
( https://www.kosonippon.org/wp-manager/doc/?no=226 )
4.「三位一体」改革(国と地方)
●「国と地方の税制を考える会」第9回会合の準備(5/11@都市センターホ
テル)
・16県の知事と構想日本で構成
( http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11110/zeisei/index.htm )
5.国会議員アンケート
●第13回実施中:『あなたは「日本国民」のために何をしますか?』
( http://db.kosonippon.org/question/question.php?id=26 )

上記のほか、「医療改革」、「農業政策」、「中小企業政策」などの政策プ
ロジェクトが進行中。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)
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3.【第95回「J.I. フォーラム」のご案内】
金太郎飴は卒業だ
-地域の「宝物」再発見で元気になっている自治体の取り組み-
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全国の町々を金太郎飴化し、東京の一人勝ちと地域の衰退をもたらした、
日本の近代化、都市化は極限まで来たようです。
最近、その地の風土や営み、産物を掘り起こして、地域の元気を取り戻して
いこうという活動がたくさん見られるようになりました。
今回はその中から、白川村長、飯館村長他に来て頂きその苦心と成果につい
てお話して戴きます。また、望月先生には海外の事例を踏まえたご見解を語
って戴きます。コーディネーター役のミュージアム・マネジメント御専門の
塚原先生に、皆さんのお話を引き出して戴きます。
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日 時  : 平成17年5月24日(火)
会 場   : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト  : 谷口 尚 (岐阜県白川村長)
堀  忠雄(京都府和束町長)
菅野 典雄(福島県飯館村長)
中島 三夫(京都府美山町長)
望月 照彦(多摩大学教授・都市プロデューサー)
コーディネーター : 塚原 正彦(常盤大学大学院助教授)
主 催 : 構想日本
定 員 :160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :3,500円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
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参加ご希望の方は、5月23日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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