【No.108】“共産主義国家”日本・変革の処方箋
2003.08.08

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“共産主義国家”日本・変革の処方箋
JIメールニュースNo.108  2003.8.8
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■■ 目次 ■■

1.《国の行く末》“共産主義国家”日本・変革の処方箋
構想日本政策委員  丹治 幹雄
2.《7月29日第73回「JIフォーラム」の報告》
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1.《国の行く末》“共産主義国家”日本・変革の処方箋
構想日本政策委員  丹治 幹雄

この間ある中国の友人から、「日本は見事な共産主義国家だね、中国は
体制は共産党支配だけど、経済的には沿海部は資本主義が相当進んでいる
よ。」と言われて返答に窮した。確かに、中国には既に我が国の平均世帯
所得を超える人が一千万人単位でいるという報道もあるし、我が国の戦後
を超えるスピードで発展しているように見える。
翻って我が国を見れば、筆者は事業で企業のIR(株主や投資家への働き
かけ)を推進しているが、大部分の企業がまだ間接金融システムの下での
株式持合い時代の意識から目覚めておらず、法律に定められた情報開示を
すれば良い、出来れば株主にあまり情報を提供したくない、というような
風潮である。
もちろん米国型の株主至上主義が本当に現代の我が国の社会に相応しい
のかについては疑義もあろうが、仮にも世界三大証券取引所に上場してい
る企業であれば、例えば英文での詳細な情報開示は当然だと思うが、政府
ですらそのような指導を行っていないのが現実だ。
そんなことを考えていると、ふととんでもない事に気付く。確かに、
社会科や政治・経済などという科目で、我々は日本が「資本主義国家」
「民主主義国家」であると習うが、小学校から大学まで教わるのは制度ば
かりで、そのような社会システムの下でそれぞれの個人がどのように行動
しなくてはならないか、システムの背景にあるルールはどうなっているの
かは、全く教わっていないのだ。
これでますます激化する国際競争の中で、日本の企業や個人が、弱肉強
食の資本主義社会で勝ち残っていくことなど、どう考えても不可能ではな
いだろうか?また、国際社会の中で真に他国の人々と理解しあうことが出
来るのだろうか?わが友人の生まれた大国中国は、多くの優秀な人材を米
国に留学させ、しかもそのような資本主義・民主主義の洗礼を受けた人材
に、様々な可能性を与えて、それが社会の急速な変革につながっているの
だ。
そう、我が国も何とかして変わらなくてはならない。そして、現下の我
が国の変革を妨げているのは、柵にがんじがらめにつながれた高年齢のそ
して男性のマネジメント層である。だとすれば、変革の唯一の方策は、国
家緊急事態宣言による40代以上の人材の権力からの放逐か、或いは国会
における女性議員の登用を格段に増やすことではないか?とすら思える。
確かに、若い経験の浅い人々や、男性とは異なる論理体系を駆使する
女性にお任せすると、我々おじさんにとっては納得できない政策が多々
実施されるだろう。でも、現実に今の体制ではどうしようもないのなら、
一度若者や女性に委ねてみても良いのではないか、そう思うのである。
何も中国に負けたくないなど言うつもりはない。いや、中国もある意味
で我が国以上に歪んだ形で急速な近代化を進めているので、農村から沿
海部への大規模な人口の流入の中で、農村は疲弊し想像を絶する貧富
の格差が生まれているようであり、これが我が国において昨今発生して
いる様々な事件にあるような社会の崩壊につながり、近隣諸国にも影響
を与える恐れがあると筆者は確信している。
だからこそ、経済規模などという言葉だけで判断されることのない、我
が国としての価値を国際社会に明確に示せるような、そういう日本になっ
て行くべきだと思うし、一神教の米国が違う神を信じるイスラムを駆逐し
ようとする国際情勢の中で、ヤオヨロズの神を認める我が国からこそ、あ
らゆる世界に通じる価値を提供できると考えるのである。しかし、そのよ
うな貢献をするためには、まずは我が国自身が自らを変革して今陥ってい
る閉塞状況から脱却し、そうした社会を築く必要性を一般国民が理解する
ことが不可欠である。
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2.《7月29日第73回「JIフォーラム」の報告》
アジアの潮流と日本の混迷
-カネ・モノが動く中,ヒトの流れは?-
グローバリゼーションの潮流の中で、ヒト・カネ・モノあらゆるものが
垣根なく、急速に動いていく時代。アジアの一角を占める日本は、他の近
隣諸国とどう付き合っていくのか、経済だけでなく様々な視点で考えるこ
とが求められます。
「ブロードバンドの普及率では、韓国が”ダントツ”。一方、日本は、情報
化に関して必ずしも進んでいるとは言えない。」(アジアネットワーク研
究所代表 会津氏)
「日本企業がアジアに根づくためには、それぞれの国が本当に必要とする
仕事をその国でやることが必要。」(メルシャン(株) 取締役社長 鈴木
氏)
「日本と中国は本来、近い国。たとえば、成田空港から大連まで2時間程
度で行けるのに、お互いに理解していない面が多い。」(中国ビジネス研
究所所長・弁護士 馬氏)
「日本人がマレーシア、タイなどを観光旅行する場合、ビザは不要。しか
し、こうした国の人々が日本を旅行する場合はすべて必要となる。この恥
ずかしい制度を何とか見直したい。」(経済産業研究所コンサルティング
フェロー・中国社会科学院特別高級研究員 岸本 氏)
「日本、中国、朝鮮半島は『グー、チョキ、パー』の関係。日本はグーだ
から、チョキがなければパーの中国に飲まれてしまう。だから、『グー、
チョキ、パー』の緊張関係を保ちながら、これら3国の東北文化圏は今後、
ますます大きくなるであろう。」((株)資生堂 名誉会長 福原氏)
「周りの特派員は、『日本はつまらない、何も取材することがない』と中
国へ取材に行くが、自分は、日本は、今やっとアジアで出番が回ってきた
ところでこれからがおもしろいと思う。」(ジャーナリスト カクチ氏)
「日本がみるアジアの世界像とアジアがみる日本を含むアジアの世界像と
が、少しずれているのではないか。」(HSBC証券 チーフエグゼクテ
ィブ 山田氏)
当日は、国際経験豊かな多彩なゲストをお迎えし、アジアの中の日本に
ついて、熱い議論が交わされました。
今後、日本の行く末を握る鍵は、アジアにあると言っても過言でありま
せん。私たちは、”対米追従一辺倒”から脱却し、カネ・モノ・ヒトの流れ
のようにアジアにしっかりと目を向けるべき時を迎えているのではないで
しょうか。
<討論者>
会津 泉(アジアネットワーク研究所 代表)
岸本 周平(経済産業研究所コンサルティングフェロー・
中国社会科学院特別高級研究員)
スベンドリニ・カクチ(ジャーナリスト)
鈴木 忠雄(メルシャン(株)取締役社長)
福原 義春((株)資生堂 名誉会長)
馬 英華(中国ビジネス研究所所長・弁護士)
山田 晴信(HSBC証券 チーフエグゼクティブ)
<コーディネーター>
山田 厚史(朝日新聞社記者)
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