【No.160】中国における反日感情の現状と行方
2004.08.13

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中国における反日感情の現状と行方
JIメールニュースNo.160  2004.8.13
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■■ 目次 ■■
1.《中国における反日感情の現状と行方》
2.《第86回「J.I.フォーラム」のご案内》

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1.《中国における反日感情の現状と行方》
― サッカーアジア杯やじ問題 ―
北京大学国際関係学院 客員研究員
関山 健
中国で開催されたサッカーのアジアカップにおいて、日本チームや日本人
サポーターに対する中国側の激しいやじが問題となり、日頃国際問題に興
味のない人たちの間でも、中国の反日感情が話題に上ることが多くなって
いる。
たしかに中国では、学校や社会での反日的教育によって、以前から根深い
反日感情が存在しており、それが何かのきっかけで表に出ることはある。
しかし、反日的教育の主眼は日本を憎むことにあるのではない。反日的教
育に共通するメッセージは、「(1)清朝末期以降、国内は分裂し、民は貧し
く、発展が遅れたからこそ、日本をはじめとする帝国主義の餌食になった。
(2)中国共産党は、こうした半植民地時代から中国人民を解放した。(3)2度
と恥辱の時代を繰り返すことのないよう、中国共産党のもと、民族一致団
結して富国強兵を目指そう」といったものである。つまり、「反日」は中
国共産党の一党独裁を正当化するための重要なプロパガンダなのだ。中国
の反日感情は、こうした中国の国内事情によって根強く維持されているの
であって、靖国神社参拝など近年における日本側の行動によって形成され
ているものではない。
また、反日色の強かった江沢民前政権とは異なり、現実路線の胡錦涛現政
権は日中関係を重視していると言われており、反日感情が行き過ぎないよ
うに修正したいと考えているようだ。過剰な反日世論は、危険な政府批判
の暴動へと摩り替わり、自らの首を絞めることにもなりかねないためでも
ある。
今回のアジアカップにおける激しいやじやブーイングも、以前から存在す
る根強い反日感情が、国と国との代表戦というエキサイトしやすい環境の
なかで発露したものである。しかし、これはあくまで興奮状態での一時的
な現象であって、「反日感情の高まり」などと殊更に騒ぎ立てる必要のあ
るものではない。日本のマスコミの報道姿勢にはいささか正確さが欠ける
のではないか。
こうした反日感情の一時的な発露に対して中国政府は、日本の一部マスコ
ミによる誇張報道を批判して中国国内の反日派に配慮しつつも、自らの身
をも危うくする暴動へ発展することのないよう、8月7日の決勝戦では厳
しい取締りを実施した。
日本という国、日本人という人民に対して、強い嫌悪感が中国人の間に広
く存在することは否定できない。しかし一方で、トレンディドラマやアニ
メなど、日本のポップカルチュアーは若者の間で非常に高い人気があり、
日本の電化製品、自動車、化粧品、衣類などが人々の憧れの的になってい
るのも事実だ。
つまり、抽象的な対象としての「日本」、「日本人」に対する反感と、具
体的な対象としての「日本文化」、「日本製品」に対する好感が併存して
いると言える。こうした具体的な対象を通じて対日イメージが改善してき
ていることとともに、戦争を直接知る世代が少なくなっていることから、
反日感情は高まっているというより、むしろ希薄化していく傾向にある。
一衣帯水の隣国に対する理解を深め、関係を強化していくことは、日本と
中国の双方にとって利益となることだ。そこに求められるのは、現実を見
据えた冷静な対応である。
<プロフィール>
国際関係学修士(香港大学)。早稲田大学在学中に国家公務員Ⅰ種職員採
用試験に合格し、卒業後の1998年に大蔵省(現 財務省)へ入省。法令の審
査、財政投融資の企画編成、WHO関係条約の政府間交渉などに従事した
ほか、JETROへ出向して中国・香港でも2年間勤務。2003年、国際政治
経済学・日中米関係を研究するべく財務省を退職し、現在にいたる。
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2.《第86回「JIフォーラム」のご案内》
売り手よし、買い手よし、世間よし
-CSRって何?日本の商人哲学を見よ!-
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最近、企業の社会的責任(CSR)が注目されています。株主中心主義と言
われるアメリカですら、企業の価値を株価や利益率だけで判断する時代で
はなくなりつつあると言われています。表題の言葉でわかるように、日本
では、商人哲学として、社会的責任を重視する考え方が伝統的にありまし
た。
最近の欧米の情況に詳しい藤井氏、企業として実践している斎藤氏、矢
尾氏、コーディネートに専門的に取り組んでおられる足達氏をお迎えし、
欧米におけるCSRの議論を言及しながら、そもそも企業はどうあるべきかを
議論して戴きます。
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日 時:平成16年8月25日(水)
会 場:銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演:午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者:斎藤 敏一(株式会社ルネサンス代表取締役社長)
藤井 敏彦 (経済産業省/元・JBCE事務局長)
矢尾 直秀(株式会社矢尾百貨店代表取締役社長)
他 企業経営者
コーディネーター : 足達 英一郎(日本総研創発戦略センター)
主 催:構想日本
定 員:160名
参加費:2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費:3,500円
※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。事前申込のみ承ります。
参加申込をしたのちキャンセルする方は必ずご連絡ください。
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参加ご希望の方は、8月24日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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