【No.276】環境産業は社会を環境化できるか?
2006.11.24

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JIメールニュースNo.276  2006.11.24発行
環境産業は社会を環境化できるか?
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◆◆ 目 次 ◆◆
1.【環境産業は社会を環境化できるか?】
2.【第112回「J.I. フォーラム」のご案内】
*最新の「ワンクリックアンケート」の投票結果が出ました。
質問は「Q:教育委員会、必置?廃止?選択?」です。
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http://kosonippon.org/wp-manager/enquete/index.php?m_enquete_cd=33
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1.【環境産業は社会を環境化できるか?】
アミタ株式会社 熊野英介
1956年、水俣病が公式確認された。
1972年、ローマクラブが、「成長の限界」を発表した。
1992年、ブラジルのリオデジャネイロで国連地球サミットが開かれ、「持続
可能な開発」を発表した。
2004年、日本経団連は「環境立国」戦略を推進することを宣言した。
2006年、元米国副大統領のアル・ゴアは、「不都合な真実」という地球温
暖化に関する映画に出演し、ドキュメンタリー映画としては米国映画史上3
番目の興行成績を収めた。
水俣病から50年、時代は公害問題から地球環境問題に広がった。
「経済の発展」「資源・エネルギー・食料の確保」「地球環境の保全」のトリレ
ンマ解決が困難であると言われながら、この50年間で先進国の6億の民は、
飢餓・貧困の不安から開放された。
そのトリレンマの課題の一つの「経済の発展」の意味しているものは何か?
それは、物質的豊かさである。物質的豊かさを追求してきて、地球上の10%
にしか満たない先進国の人々がその他の国々の8倍もの「資源・エネルギー
・食料」を消費した結果、経済的発展を成し遂げた。

しかし、その豊かな国は何かがおかしい。
小学生の2割以上がアトピーになっていたり、へその緒からダイオキシンが検
出されたり、自殺者が1998年から連続7年間3万人を超えている。
先進国の人々は、精神的飢餓と精神的貧困で苦しんでいる。
我々は、金銭的に豊かになっても家族、友人が互いに無関心なら孤独になる
ことを知っており、孤独ということが精神的に不幸であることを知っている。つま
り、孤独の追放が精神的飢餓・貧困の追放になる。
孤独を追放するためには、人と人、人と社会、人と自然の関係性を知ることが
必要である。その関係性を知った上で、「人のためになる物とは? 社会のた
めになる物とは? 自然のためになる物とは?」という信頼の価値や安心の
価値を構築しなければならない。
信頼・安心という手で触れられない、目に見えない価値を見えるようにするに
はどうすればいいか? 感じるしかないものを見えるようにする力は、政治力
でも経済力でもない。それは文化力である。
文化力で見えるようにし、そして関係性を付加することで、信頼や安心という
意味のある価値が可視化する。つまり、文化力で利他的な意味をもたせた資
源の循環システムの構築が、社会の環境化のインフラになる、ということであ
る。
環境問題解決にしても、環境に良い製品や商品の大量生産、大量販売、大
量消費、大量リサイクル、環境に良い商品の成れの果ての環境に良いゴミを、
機会損失を防ぐために大量に生産し、必要以上に消費者の購買欲を煽り、消
費行動を快楽主義に変えてしまう、現在の工業社会の環境化では、持続可能
社会は生まれない。
いくら、日本経団連が環境立国戦略を提唱しても、アル・ゴアが地球環境問
題を訴えても、工業社会の環境化を目指す以上、社会は環境化しない。
社会を環境化させるためには、物質文明と精神文明を融合させた信頼社会を
構築する必要がある。
生活、産業、社会の環境化を達成する環境技術の基本技術は、
(1)不確実を確実にする技術
(2)情報をナレッジでもって再編集する技術
自然や社会や人のために役に立ちたいという欲求は、多くの人々のものだけ
れども、その欲求は、はかなくて劣化し易い。そのような不確実なニーズを確
実にするために、物を管理・生産する技術のハードウェアと、情報を管理・生産
する技術のソフトウェアとを融合させた社会技術の構築が必要である。
この技術は、循環システムで意味を持たせた資源の活用と、文化力で利他的
欲求を可視化するための社会技術でなければならない。
その技術こそ「ハートウェア」と呼びたい。
現政権が「美しい国 日本」と呼びかけているが、新しい文化技術立国として、
「ハートウェア先進国」を目指すことが、国際的にも骨太な国際貢献ができ、他
国民から尊敬され、自国民は誇りに思い、「真の美しい国 日本」になるのでな
いかと思う。
*熊野 英介(くまの えいすけ)氏のプロフィール
「感じることしかできない『信頼』を形にして、『安心できる社会』を構築する」と
いう基本理念を掲げる「総合環境ソリューション企業」、アミタ株式会社の代表
取締役社長として、事業領域を拡大している。
産業構造審議会 環境部会 廃棄物・リサイクル小委員会 国際資源循環ワーキ
ンググループの委員、環境立国戦略研究会の委員や財団法人地域総整備財
団地域再生アドバイザーなどを歴任。「エコ産業創出協議会(2002年2月設立)」
では、現在も同協議会会長として活動を展開中。2006年には日本再発見塾の
事務局長に就任。
(アミタ株式会社 ホームページ http://www.amita-net.co.jp/ )
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2.【第112回「J.I. フォーラム」のご案内】
ダイナミック・インド
インドへの関心がとみに高まっています。経済成長率8%、人口の54%が
25歳以下、IT産業の急成長などの理由からでしょう。インドはいろいろな意
味で偉大な国です。しかし私たちは、今のインドについて実はほとんど知ら
ないのではないでしょうか。報道などの情報もごく一面的です。
1年の大半をインドで過ごし、庶民の暮らしをベースに宗教、民族、そして中
国、イランなどとの国際的な関係まで、幅広く研究している森尻さんと、インド
と中国というアジアの二大国の大使をご経験し、日本との関係を戦略的に把
握している谷野さんに「インドの姿」を語っていただきます。
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日 時  : 平成18年11月28日(火)
会 場  : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演  : 午後6時30分(開場:午後6時)
ゲスト  : 谷野 作太郎
(元駐インド大使・元駐中国大使、早稲田大学大学院客員教授 )
森尻 純夫
(インド・マンガロール大学客員教授、東京財団リサーチ・フェロー)
コーディネータ : 加藤 秀樹(構想日本 代表)
主 催  : 構想日本
定 員  : 160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、11月27日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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