- 【No.343】200年の歴史が作り上げた「自治」の国・スウェーデン
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JIメールニュースNo.343 2008.3.28発行
200年の歴史が作り上げた「自治」の国・スウェーデン
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◆◇ 目 次 ◇◆
1.【200年の歴史が作り上げた「自治」の国・スウェーデン】
2.【第128回「J.I. フォーラム」のご案内】
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≪TOPICS≫
★構想日本ホームページで「ワンクリックアンケート」開催中。
「Q:「道路」の議論は尽くされたか?」にお答えください。
〔アンケート期間:2008/03/14(金) ~2008/03/31(月)〕
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1.【200年の歴史が作り上げた「自治」の国・スウェーデン】
構想日本 政策スタッフ
伊藤 伸
日本の1.2倍の国土面積の中に人口が900万人の国、スウェーデン。国連開
発計画が調査する「人間開発指数(豊かさを示す指数)」では常に上位にラン
クされる。今回、東京財団との共同プロジェクトでスウェーデン現地調査の機
会を得た。何が国民に「豊かさ」を与えているのかについて「地方自治」という
切り口からその深層を探った。
スウェーデンは、国、県(ラングスティン)、市(コミューン)の役割分担がとても
明確であり、特に市民生活に関わる部分の大半はコミューンが権限を有して
いる。さらにコミューンには課税自主権も与えられており、人口7万人規模のコ
ミューンの年間予算は約500億円。日本の同規模自治体の2倍程度になる。
今の日本は、国、都道府県、市町村が縦の関係になっていて、意思決定の遅
さや事務の無駄、責任の不明確性が生じている。一方スウェーデンは、国、県、
コミューンがヨコの関係でそれぞれが国民と対峙している。まさに構想日本が
目指す、日本のあるべき姿がここにある。
以前のスウェーデンは、国の法律による地方のコントロール、二重行政など現
在の日本と同様の問題も存在していたが、その都度市民が声を上げ、政治/
行政が問題解決を行ってきた。その繰り返しこそが今のスウェーデンの地方自
治を作り上げたのである。
例えば、高齢者や障害者ケアについて当事者の要望が反映されていないとの
問題がきっかけとなり、1982年に社会サービス法が制定、高齢者や障害者が
住みなれた地域で生活できることが市の責任として規定された。1992年には
老人医療も県から市へ移譲された(エレーナ改革)。これらの権限委譲の際に
は仕事と権限だけでなく、財源と人もセットでコミューンに委譲された。
さらに、義務教育についてはコミューンよりも更に現場に近い学校長が権限の
大部分を有する。国は「学校法」によって育てるべき生徒の姿や教育のあり方
を理念的に示し、その理念に基づいて、コミューンが具体的な目標の設定や校
長のリクルートを行う。校長は、教師の人事権、予算からカリキュラムの決定、
教科書の選択(使うか使わないかも含めて)までを決める。コミューンの教育の
成功は校長にかかっていると言える。
また、地方自治の実現には単に権限を移譲するだけでなく、地方自治を支える
仕組みづくりも大切である。スウェーデンにはそれがある。ポイントは4つあげら
れる。
(1)「同一労働同一賃金」国家の公務員・・・
コミューン人口の7%前後が公務員と非常に多いが、スウェーデンは「同一労
働同一賃金」を原則としているため、公務員であっても民間であっても同業な
らば給与体系は変わらない。この原則は、官と民の質の競争を生み出してい
る。
(2)「政治主導」の地方議会・・・
スウェーデンに限らず欧州では、「政府=ガバメント」は政治・行政双方を意味
することが多く、その主役は政治家である。「政府=官庁・官僚」が一般的な
日本とは異なる。また、地方議会の議員の大部分は日当のみ(年間20万円
程度)。それでも政治にイニシアチブがあることが、住民から尊敬される大きな
要因である。
(3)政党と議員の明確な役割分担・・・
政党が理念や改革案、その手段を示し、所属の議員が具体的に遂行する。す
べてのコミューン議会選挙は比例代表制を用いており、候補者は自身の名前
の連呼などはせず、党の政策を訴える。政党が選挙を行うため選挙費用はほ
とんどかからない。議員の政党への帰属意識の強さも非常に強い。
(4)政党のガバナンス・・・
政党の地方支部の活動は、所属の地方議員だけでなく党員が中心を担う(ス
ウェーデンでは有権者の半数以上が党員)。また、各政党は青年部を組織し、
本部との政策協議や本部の活動のチェック機能も果たす。スウェーデンでは、
議員も青年部も職員も党員も「政治家」で、その集合体が政党(日本は、議員
=個人商店主、政党=「連合会」)。
今回の調査において、メンバー共通の感想は「人々の表情の良さ」だ。政治家、
行政職員、教師、生徒すべてが、自分の行っていることに誇りを持ち、向学心・
向上心に溢れている。
日本とは歴史も規模も制度も大きく異なる。しかし、日本がより高満足国家にな
るためには「自治」の確立は不可欠である。その中において、数値も実情も「高
満足」な国から見習うべき点は数多くある。特に、分権をはじめとする5つのキー
ワードが、日本の改革において非常に重要な意味を持つであろう。
※構想日本の「地方議会制度」プロジェクトのホームページもご覧ください。
http://kosonippon.org/wp-manager/project/list.php?m_category_cd=47
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2.【第128回「J.I. フォーラム」のご案内】
“総特定財源化”を打ち破る
「道路は必要だ」「無駄な道路」。国会でもTVでもこのやり取りが続いてい
ます。一体、「必要」かどうかはどこでどうやって決まっているのでしょうか。
大まかに言うと、国の中央集権的かつ網の目のような「決まり」が、「必要」
な道路をつくりあげているのです。
国の年間の税収総額の1割以上のお金を道路専用に使う道路特定財源の
廃止は当然でしょうが、実は今の日本では、国と地方のほとんどの行政サ
ービスが国の地方に対するコントロールの構造によって特定財源化してい
るのです。どうすれば、この状態を打ち破れるのでしょうか。制度、現場両
サイドで格闘中のゲストに大いに議論していただきます。
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日 時 : 平成20年3月31日(月)
会 場 : 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html)
開 演 : 午後6時30分(開場:午後6時)
討論者 : 西寺雅也(前岐阜県多治見市長)
根本良一(前福島県矢祭町長)
福嶋浩彦(前千葉県我孫子市長)
加藤秀樹(構想日本 代表)
主 催 : 構想日本
定 員 : 160名
フォーラム参加費 : 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費 : 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)
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参加ご希望の方は、3月30日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会に 参加する 参加しない
————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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