- 【No.509】今、求められる「地域の力」|内閣府原子力被災者生活支援チーム、元東京財団研究員 井上 健二氏|
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J.I.メールニュースNo.509 2011.06.30発行
今、求められる「地域の力」
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【1】今、求められる「地域の力」
内閣府原子力被災者生活支援チーム、元東京財団研究員 井上健二
【2】満員御礼!! 第166回J.I.フォーラム 本日開催
【3】仕分けの夏! 7月3日(日)、門真市から始まります
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【1】今、求められる「地域の力」
内閣府原子力被災者生活支援チーム、元東京財団研究員 井上健二
一瞬にして多くの命と日常の穏やかな暮らしを奪った東日本大震災。大
量消費によって物質的な豊かさを追求する右肩上がりを前提とした社会
が永続的なものではないことを気づかされることとなった。本当の豊か
さとは何か。幸せとは何か。私たちは、これまでの生き方や価値観を、
根本に立ち返って今一度、見つめ直すことが求められています。
私は、今、福島原子力発電所の事故によって住み慣れた故郷から避難を
余儀なくされている被災者の方々の避難や安全・安心な暮らしのサポー
トをしています。最大の使命は避難区域を解除し、一日も早く故郷に戻
れるようにすること。慣れない避難先での、先の見通せない中での不安
な生活。その心の支えは、「必ず故郷へ戻る」との想い、コミュニティ
の絆です。地域の力そのものが試されています。このことは被災地だけ
ではなく、再生を目指す全ての地域に求められる重要なテーマです。
以前からある国の地域再生関連施策だけでも400を超えますが、一向に地
域は元気になりません。縦割りで細分化されていて、屋上屋を重ねたも
のも多く、使い勝手が悪い。無駄を省き、実効性のあるものへと抜本的
な見直しが必要です。
では、これからの地域再生にとって何が大事なのでしょうか?地域衰退
の基底には、「誇りの空洞化」があると言われています。「村を出て、
都会のいい会社に入って幸せになれ」と子どもに語るこの言葉が典型で
す。こうした言葉を聞いて育った子どもが地域に愛着や誇りを持てるは
ずもありませんし、人が流出し地域が衰退するのも仕方がないでしょう。
地域への愛着と誇りを取り戻すことが地域再生にとって不可欠です。
一方で、しかし現実には働く場がないため、故郷に戻れない人が多いの
です。地域にある資源、暮らしの知恵や技、人、そして地域を想う志あ
るお金(志金)を最大限生かし、小さなコミュニティ・ビジネスをたく
さん育てることで雇用の場を生み出し、モノ、カネ、情報等が地域内で
循環する波及効果の高い経済構造を構築することがポイントです。これ
を戦略的に進めているのが長野県栄村です。
村出資の振興公社では、運営する宿泊施設等で扱う資材・食材は村内調達が原則で、村内調達率は約70%にもなります。規格外品の野菜なども農協以上の価格で公社が買い取ることで、農家の生産意欲を保つことに貢献しています。住民がヘルパーになる「下駄履きヘルパー」は、住民自身で安心できる地域介護システムを構築すると同時に、雇用の場の創出と村内での資金の循環を促す仕組みを作った好事例と言えます。
この取組を先頭に立って進めてきた高橋前村長が強調されているのが、「実践的住民自治」の重要性です。それは、住民が自らの知恵と技を生かし、自らの意思で地域づくりに参加することです。補助金頼り、行政頼りでは、地域再生は実現しません。地域再生の主役はあくまでそこに暮らす住民。住民が楽しく活躍できる舞台づくりがこれからの行政の重要な役割であり、政策もこの動きを後押しするものが望まれます。
明治初期に東北をはじめ日本各地を旅行した英国人紀行作家のイザベラ
・バードは、訪れた地域の美しい風景に魅了され、「東洋のアルカディ
ア」(理想郷)と評しています。そんな豊かで美しい世界に誇れる村や
町が日本の地方には今なおたくさんあります。こうした地域を再生し、
次世代につないでいきたい。これこそが日本再生の道ではないか。その
ような想いで、これからも魅力ある地域づくりに関わっていきたいと思
っています。
井上健二(いのうえ・けんじ)
1970年京都市生まれ。国土交通省、観光地域振興課などに勤務後、2007
年には人事院在外研究員として英国文化・メディア・スポーツ省及び英
国政府観光庁VisitBritainに在籍し、英国観光政策を研究。2009年から
2年間、東京財団研究員として地域再生政策を研究。
【新刊『地域の力が日本を変える』が7/1発売予定】
【2】 満員御礼!! 第166回J.I.フォーラム 本日開催
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「飯舘村から日本の政治を考える」
○日 時: 平成23年6月30日(木) 18:30~20:30
○ゲスト: 菅野典雄(福島県飯舘村村長)
斗ヶ沢秀俊(毎日新聞社 水と緑の地球環境本部長
兼東京本社編集編成局編集委員)
○コーディネーター: 加藤秀樹(構想日本)
おかげさまで会場は満員となっております!!
今回のフォーラムはニコニコ動画でも生中継されますので、
そちらからのご参加もお待ちしております。
http://live.nicovideo.jp/
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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【3】 仕分けの夏! 7月3日(日)、門真市から始まります
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◆門真市(2) (大阪府)
日時: 7/3(日)9:00~15:40
会場: 門真市保健福祉センター
お問い合わせ先: 企画課(TEL06-6902-5572)
対象事業数: 6事業
●門真市の後も、自治体の仕分けが続々と開催されます!!
今後のスケジュールなど、詳しくは構想日本HPをご覧ください。
http://kosonippon.org/wp-manager/shiwake/
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