- 【No.652】『いのち』を学ぶとは。なにか |農業高校教諭 鎌刈 耕鍬氏|
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J.I.メールニュース No.652 2014.05.01発行
「『いのち』を学ぶとは。なにか」
農業高校教諭 鎌刈 耕鍬
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【1】<巻頭寄稿文>
「『いのち』を学ぶとは。なにか」
農業高校教諭 鎌刈 耕鍬
【2】<お知らせ>
(1)第200回J.I.フォーラム 5月16日開催
「現場力・結集=Japan Initiative」
(2)地方議員セミナー満員御礼! 第2弾開催検討中!
(3)「JUDGIT!」を使って新国立競技場の問題を議論しよう!
(4)Yahoo!ニュース記事更新情報!
【3】構想日本の4月の主な活動、パブリシティ
(1) 対外活動
(2) 記事掲載
(3) その他
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【1】「『いのち』を学ぶとは。なにか」
農業高校教諭 鎌刈 耕鍬
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農業の教員として20年以上が過ぎようとしている。
毎年4月に新入生を迎え、3月に卒業生を送り出す。その繰り返しだ。
広い敷地の中にある農場。授業のほとんどをしめる実習。農業高校は普通高校など他の高校とは大きく異なっている部分がある。
入学してくる生徒達も様々だ。目的意識が高く意欲的な生徒もいる反面、不本意な入学や勉強が苦手な生徒も多くいる。
後者の生徒に関しては入学当初から指導に手こずることも多い。教科指導でも生徒指導でも基本的な指導を繰り返すことが多い。
そんな生徒達が、卒業する頃には一人一人が本当に成長している。それは学力がついたとか、資格を沢山取るとかそういったことではない。いうならば責任感と誇りをもった本当の「大人」に近づいているからだと思う。
授業のほとんどは農場での実習である。そこには自分を含めた「いのち」を扱う真剣勝負の場が日々展開されている。
まず実習服。生徒達は、今流行りの腰パン・ルーズな感じの着方をしようとするものもいる。それは絶対に許されない。単に行儀よくしなさいという意味ではない。きちんとした服装でないと事故を起こすからだ。腰パンでは鍬は扱えない。ボタンをしっかりつけていなければ機械に巻き込まれてケガをしてしまうこともある。実習とはいえ油断をすると「自分の命」さえ落としかねない場であるからだ。
次に、家畜、作物、微生物など日々の管理が生死に大きく影響する「命を育てる」場である。自分の都合ではない。ずぶ濡れになりながら、泥だらけ、汗まみれになりながらもそれを育てていく。自分がサボれば、野菜は育たないし、鉢花は枯れてしまう。次第に自分の存在意義と責任感が育ちはじめる。農場で緊急事態が発生したとしよう。そんな時、生徒たちは、始業前や放課後でもいやがることなく手伝ってくれる。
最後に、その育てたものの「命をいただく(絶つ)」ことを経験する。
懸命に育てた家畜たちは命を絶たれ、食肉になる。野菜は収穫された後、出荷される。台風などの気象災害で自分たちが一生懸命育てたものが一瞬で跡形もなく姿を消す経験をすることもある。一生懸命になればなるほど、その儚さに気づかされる。
こうやって生徒達は、与えられた事だけでなく、気配り、心配りができる人間になっていく。
例えば、A君。入学当初顔に覇気がなく、いつも髪型ばかりに気にしている子だった。気がつけば髪の毛をさわっている。目的意識がある訳でもなく。無気力と言ってよかった。
そんなA君がある日、自分の管理がいい加減なことで、入学式に飾る鉢花を枯らしてしまった。当日は替わりの花を飾って事なきを得たが、自分の無責任さを痛感したのだろう。そこからA君は変わった。実習中はもちろんのこと、授業のない早朝・放課後とハウスに足を運び、担当の先生と一緒になって花の管理を行った。今春さらに専門知識を得たいと園芸関係の学校に進む。
Bさんの家はサラリーマン家庭で農業の経験はなく、無農薬で野菜を育てることにあこがれて入学した。
2年生になり有機栽培(化学肥料・農薬を全く使わずに栽培する)でダイコンを育てることに挑戦した。結果、見事に害虫に食われ、ダイコンは病気になっていく。真面目なBさんはあらゆる対策をしていくが、それを止めることができなかった。
一生懸命になればなるほど、虫は増え病気は広がる。理想と現実のギャップを知ったのだ。
けれどBさんはそれでも諦めきれず、高校卒業後大学の農学部に進学し、いまは地元の支援を受けながら有機野菜農家として頑張っている。
Cさんは明るく、リーダーシップがとれ勉強もできて、スポーツ万能ないわゆる優等生だった。「なんで農業高校に来たの?」というような子だった。担任であった私は進学を勧めて国立大学の農学部の受験を勧めたが、「私の夢は農家のお嫁さん!!」といって地元で就職。いまは高校時代から交際していた同級生と結婚して念願の果樹農家のお嫁さんとなった。
今まで培った経験や、思い出を活かし、これからも一人の教師として、「いのち」を学び、教えるものとして日々生徒達と汗を流していきたい。
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鎌刈 耕鍬 (かまかり こうしょう) ペンネーム。農業高校教諭。
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【2】(1)第200回J.I.フォーラム 5月16日(金)開催 ――――――――――――――――――――――――――――――
「現場力・結集=Japan Initiative」
1997年5月に始まったJIフォーラムがついに200回目を迎えます。17年間で827名のゲストにご参加いただきました。やはり、「継続は力なり」で、このフォーラムでの議論やゲストの人達の活動を通じて社会の課題や解決方法を多くの方と共有できたと考えています。
構想日本は4月から一般社団法人になりましたが、これを機に政策提言・実現の基盤を、これまで以上に 「現場力」「自分事」「イニシアティブ」に絞っていきます。200回記念フォーラムもそこに焦点をあて、現場で「ホンモノ」の活動をされている方々と日本の将来について語り合いたいと思います。
○日 時 : 平成26年5月16日(金)18:30~20:30(開場18:00)
○会 場 : 日本財団ビル2階 大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。
○ゲスト : 家入 一真(実業家)
大南 信也(NPO法人グリーンバレー理事長)
片山 健也(ニセコ町長)
○コーディネーター : 加藤秀樹(構想日本代表)
○定 員 : 160名
○参加費 : 一般 2,000円 / 学生 500円 (シンクネット・構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
○懇親会参加費 : 4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
※ フォーラムへの参加はHPのフォームから、もしくはこのメールにご返信をお願いします。
(http://kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=322)
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(2) 地方議員セミナー満員御礼! 第2弾開催検討中!
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5月23日、24日(金、土)開催の地方議員セミナーは、満席となりました。ありがとうございました。
その後もお申込み頂いている状況を踏まえ、同趣旨の内容で第2弾の開催を検討しております。
参加のご意向のある方は構想日本までご連絡ください。その状況で決定したいと思います(その際、あらかじめご連絡を頂いていた方を優先して日程のご案内を申し上げます)。
なお、今回のプログラムに続く内容のセミナーについても検討しております。随時お知らせいたします。
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(3) 「JUDGIT!」を使って新国立競技場の問題を議論しよう!
http://judgit.net/
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現在、構想日本では、国が行う5,000以上の事業について書かれたシートに誰でも自宅からフェイスブックの「いいね」ボタンを押したり、スタンプを押したり、コメントを書いたりして、意思を表明できるウェブサービス「JUDGIT!(ジャジット)」(もちろん無料)を使い、新国立競技場の問題を議論するキャンペーンを展開しています。
まずは下記のページにアクセスして、新国立競技場関連のシートに「いいね」やスタンプ、コメントをしてみてください。「JUDGIT!(ジャジット)」を見る人が多いほど、そして使う人が多いほど、新国立競技場の問題について国民的議論が盛り上がります。ぜひ一度見てみてください。
新国立競技場に関連するシート
・独立行政法人日本スポーツ振興センター運営費交付金に必要な経費
http://judgit.net/251581/top
・独立行政法人日本スポーツ振興センター施設整備費
http://judgit.net/251582/top
※はじめてご利用される方は簡単な登録が必要になります。ご不明な点等については、下記担当まで、ご遠慮なくお問い合わせください。
担当:伊藤・田中 TEL:03-5275-5607
shiwake@kosonippon.org
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(4)Yahoo!ニュース記事更新情報!
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ディレクターの伊藤伸が、Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。
◇4月10日『理研とスパコン ~今だからこそ、あの時の仕分けを振り返る~』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20140410-00034401/
◇4月22日『理化学研究所「一般公開」潜入記 ~理研にある2つのスパコン~』
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20140422-00034692/
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【3】構想日本の4月の主な活動、パブリシティ
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(1) 対外活動
<講演・研修>
4月22日 基礎から学ぶ公益社団法人 将来性溢れる山門青年会議所へ(政策スタッフ 大内隆美)
4月16日 第47回原産年次大会「福島セッション」モデレーター(代表 加藤秀樹)
<審議会>
4月23日 松阪市 公共・公用施設施設最適管理検討委員会(政策アナリスト 川嶋幸夫)
(2) その他
4月~隔週金曜日 京都大学経済学部 「公共経営論」講義(代表 加藤秀樹)
自治体との打合せ 5件
医療提言ヒアリング 2件
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