- 【No.702】「『必ず本物は残る』というずれた認識」 |左官・公益社団法人日本左官会議副議長 挾土 秀平氏|
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J.I.メールニュース No.702 2015.04.23 発行
「『必ず本物は残る』というずれた認識」
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【1】<巻頭寄稿文>
「『必ず本物は残る』というずれた認識」
左官・公益社団法人日本左官会議副議長 挾土 秀平
【2】<お知らせ>
(1) 第211回J.I.フォーラム 本日開催 まだ間に合います!
「『暴力・虐待』とどう向き合うか ~少年の殺人や子どもの虐待を繰り返さないために~」
(2) 「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始
(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
【3】<ご紹介>
(1)日本左官会議フォーラム in名古屋 4月25日(土)開催
(2)まだまだ終わらない公開勉強会 5月11日(月)開催
(3)第208回J.I.フォーラムゲスト懸田弘訓氏の団体に支援の輪(助成金決定)
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【1】「『必ず本物は残る』というずれた認識」
左官・公益社団法人日本左官会議副議長 挾土 秀平
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「日本のものづくりには底力がある」
そんな「有識者のコメント」を何度となく聞いてきた。
しかし、ものづくりを語る多くの有識者の話というのは、
大田区などの町工場の技術力にほとんど焦点が当てられている。
一番のものづくりの危機的状況の話を掘り下げることなく
「必ず本物は残る」というような綺麗な言葉で締めくくられて、
実態からはズレてしまっている。
「ものづくり」は、大きく4つに分類しなければならない
(一)町工場の近代技術と技術者のこと
(二)彫物や漆器、陶器、和紙などの手工芸の職人のこと
(三)建築における伝統技能、大工、左官、建具などの職人のこと
(四)二、三に伴う素材採取と精製、その道具をつくる職人のこと
いま、(三)(四)は激減、消えつつある。
また、よく間違えられているが、(三)(四)は
《技術者》 ではなく、《技能者》と呼ばなければならない。
デフレ経済の、とにかく安く早くという20年は、
建築の職人達のものづくり環境を一変させた20年でもあることが
あまりに認識されていないように思う。
日本中で、安心や保障と価格ばかりが優先され、
それをはっきり数値に表せる均質な工場製品に流れた。
誇りのある職人ほど、だまって商売を辞めてしまった20年。
そういう者たちを守るような政策が実行されなかった。
そんな20年のあいだに、日本中の人々は
手仕事への本当の価値観とか審美眼を失ってしまった。
ここで、一部だけ残っているという話は適当ではない。
昨今の日本の住宅は、
今や壁塗りもカンナがけも必要としない
組み立て工法の住宅が主流で、
この状態は、実は地方にゆくほど強く際だっている。
地方にゆくほど、現場でつくる仕事は、
質や個性ではなく経済性のみで選択されている。
結果として、観光立国というかけ声とは裏腹に、
地方に広がる田園や、
重厚な瓦の深い庇の旧家や家並みの景観の中に、
ヨーロッパ調レンガ模様を模した工業パネルの家が普通に並び建ち、
見渡す風景は違和感に溢れ、日本という背景を失いつつある。
現状は、もう打つ手立てなく、戻れないところまで
変わってしまった日本という風景。
先の国政選挙で、自民党大勝のインタビューの際、政府のコメントがテレビから流れ、
「日本再生のキーワードは地域創生にある、それにはまず
農業、漁業、林業、そしてサービス業
これらを応援し見直して行かねばなりません」とくくられていた。
その中に、≪ものづくり≫がなかったこと。
たまたま、抜けていたのかもしれないが、
抜けてしまうほどの、認識であるとも感じられる。
日本の地方地方の個性、景観が失われて
どのような地域創生が考えられるだろうか。
消えゆく職人を今繋ぎとめなければ
世界に日本を魅せることは出来ず、
ますます、経済のみの無機質な背景と
競争だけになってしまう。
千年が培った技能は、このままいけば受け継がれることなく、
謎となって消えてしまうのはそう遠くない。
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挾土 秀平 (はさど・しゅうへい)
左官技能士。1962年、岐阜県高山市生まれ。1983年、技能五輪全国大会左官部門で優勝。1984年、同世界大会出場。2001年、14人を率いる「職人社 秀平組」を設立。近代的な建設物や個人住宅から、日本伝統の土蔵や茶室まで、幅広く壁塗りを手がけている。天然の土と素材から生み出される独自の世界観は、モダンかつ斬新で、日本全国に活躍の場を広げている。
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【2】(1) 第211回J.I.フォーラム 4月23日(木)本日開催
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『暴力・虐待』とどう向き合うか ~少年の殺人や子どもの虐待を繰り返さないために~
切実な問題です。現場の実情、現場の声をぜひお聞きください。(加藤 秀樹)
川崎市で起きたような中・高生の殺害、幼児虐待あるいは家庭内暴力など、日常的な環境の中で起きる暴力や虐待が絶えません。
そして常に伝えられるのが、学校、警察、児童相談所などの行政機関の対応が後手後手に回っていることです。
自ら被害者、加害者の間に入って直接話をし、これまで2万件以上の問題を解決してきた玄秀盛さんと、制度づくりを含めて子どもの虐待撲滅に奔走している後藤啓二さんのお二人に、再発を防ぐにはどうすべきか、地域の問題、行政の問題などについて具体的に議論していただきます。
◯日 時:平成27年4月23日(木)18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
◯ゲスト:玄 秀盛 公益社団法人日本駆け込み寺 代表
後藤 啓二 NPO法人シンクキッズ 代表幹事
◯コーディネーター : 加藤 秀樹 構想日本 代表
◯主 催:構想日本
◯定 員:160名
◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
( http://kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php )
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607
*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。 TEL 03-5275-5607
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(2)「現場みらい塾」第2期、第3期募集開始
政策シンクタンクPHP総研と共同で本年度スタートした「現場みらい塾」。受講生の満足度が高かったこともあり、来年度は第2期、第3期を開講することとしました。
自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。
テーマ
「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。
人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。
特 徴
1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム
『第2期』スケジュール
第1回:2015年5月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時
第2回:6月20日(土)10時~18時
第3回:7月11日(土)10時~18時
第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時
その他詳細はこちら
http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php
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(3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。
代表 加藤秀樹
◇4月10日「世界が「私たちの財産」と言う建物を日本人は守れないのか」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20150410-00044704/
ディレクター 伊藤伸
◇4月8日「下宿中で住民票を移動していない学生有権者の皆さん、投票は今からでもできます。」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150408-00044650/
◇4月2日「投票率低下の原因は『仕組み』にあり~統一地方選を機に公選法の抜本的な見直しを~」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150402-00044479/
◇3月11日 「情報共有と冷静な目で原発問題を乗り越える ~福島第一原発の中から見た現実~」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20150311-00043751/
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【3】<ご紹介>
構想日本が応援している活動に関するお知らせです。
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(1)日本左官会議フォーラム in名古屋 4月25日(土)開催
「無形文化遺産をめざす伝統構法と左官技術 -意義と課題-」
中村昌生先生による基調講演「数寄屋建築における左官仕事の美」、日本の代表する左官の挾土秀平氏、原田進氏の講演など「左官」から見た伝統構法やこの運動の意義を考える。http://www.sakanjapan.com/blog/?p=427
大工や左官といった職人によって結実した、伝統建築をつくる技術。それは日本の歴史や風土、精神や文化と大きく関わっています。このかけがえのない技術と職人の未来をつくるために、「伝統構法をユネスコ無形文化遺産に」という運動が始まっています。
今回は左官に力点をおいて、伝統構法およびこの運動の意義と課題を考えます。
◯日 時:平成27年4月25日(土) 13:30-17:30(12:30より受付開始)
◯場 所:名古屋工業大学 講堂会議室(名古屋市昭和区御器所)
◯参加費(資料代): 1500円(日本左官会議会員)、2000円(一般)。
フォーラム参加費、懇親会会費は当日、徴収いたします。お釣りのないようご用意いただけますと幸いです。
◯懇親会会費:3000円(日本左官会議会員) 3500円(一般)
◯主 催:公益社団法人日本左官会議
◯共 催:緑の列島 木の家スクール名古屋・伝統木造技術文化遺産準備会
◯後 援:これからの木造住宅を考える連絡会・職人がつくる木の家ネット・NPO緑の列島ネットワーク
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(2)まだまだ終わらない公開勉強会 5月11日(月)開催
「戦後日本が失ったもの。景観は誰のものか」~元オランダ大使 東郷和彦氏を囲んで~
解体が進む国立競技場ですが、これで終わりではありません。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、新国立競技場だけでなく、東京のあらゆるところで開発が始まっています。同じような「ヒルズ」はもういりません。
お一人ずつじっくりとお話しを聞く場を持ちます。そして、次に活かしていきたいと思います。http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/pg200.html
◯日 時:2015年5月11日(月)19時~21時
◯講 師:東郷和彦氏 (京都産業大学教授・世界問題研究所長)
◯会 場:公益社団法人 日本建築家協会 1階建築家クラブ
東京都渋谷区神宮前2-3-18JIA館
◯会 費:500円 (飲み物つき)
◯主 催:神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会
◯問合せ:info@2020-tokyo.sakura.ne.jp
◯申 込:http://kokucheese.com/event/index/286716/ FAX:03-5214-6663
人数把握のために事前お申し込み下さい。(当日、申込なしの参加も歓迎致します)
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(3)懸田弘訓氏の団体に支援の輪(助成金決定)
第208回J.I.フォーラム「無形文化財にかけた生涯」ゲスト懸田弘訓氏の団体に支援の輪が広がっている。
公益財団法人東日本鉄道文化財団の地方文化事業支援として、福島の無形文化財を保護している懸田弘訓氏の団体が助成事業の対象となり、支援金が交付される運びとなった。
公益財団法人東日本鉄道文化財団は、JR東日本管内の貴重な文化遺産や伝統芸能などの保全と継承、地域の発展のために、資金援助を行う形で地方文化事業の支援を行っている。(HPより抜粋)http://www.ejrcf.or.jp/culture/index.html
今月4月24日、福島県内で「福島県域無形民俗文化財助成事業」承認書贈呈式が行われる。
※こういった活動には継続的な支援が必要です。支援の方法は様々です。第208回J.I.フォーラムの時にも、たくさんのカンパが集まりましたが、さらに自分にできる方法で支援をしたいと思われた方、興味を持たれた方、ご連絡お待ちしております。(構想日本まで)
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