- 【No.708】「特ダネではないけれど(4)財政ダイエット」 |新聞記者 松浦祐子氏|
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J.I.メールニュース No.708 2015.06.04 発行
「特ダネではないけれど(4) 財政ダイエット」
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【1】<巻頭寄稿文>
「特ダネではないけれど(4) 財政ダイエット」
新聞記者 松浦 祐子
【2】<お知らせ>
(1) 第213回J.I.フォーラム 6月25日(木)開催
「老・病・死を考える」
(2) 地方議員セミナー 7月3日(金)、 4日(土)開催
(3)「現場みらい塾」第2期 開催中、第3期 募集中
(4) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
【3】<ご紹介>
(1)CheFuKo ネパール報告会 6月13日(土)開催
一般社団法人世界の子供たちのために
(2)まだまだ終わらない公開勉強会2 6月16日(火)開催
「真国立競技場へ」 森山 高至
【4】構想日本の2015年5月の主なパブリシティ
(1) 対外活動
(2) 記事掲載
(3) その他
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【1】 「特ダネではないけれど(4) 財政ダイエット」
新聞記者 松浦 祐子
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前回までで、日本の財政健全化について具体的に考えていくための達成目標として、2025年度というゴールを設定しました。では、それまでに何をする必要があるのでしょうか。
財政健全化というのは、言うなれば、国を挙げてのダイエットです。
「病気中にダイエットをしてはいけない」という意見もありますが、日本の病気は一時的な風邪ではなく、生活習慣病などの慢性疾患です。今、日本は摂取カロリーと消費カロリーのバランスが極めて悪い状態なのです。食生活の見直しと適度な運動が必要です。
それでは、何キロ、やせなければいけないのでしょうか?
政府は「2020年度に基礎的財政収支を黒字化する」という目標を掲げています。基礎的財政収支というのは、政策にかかる予算を、どれだけ借金以外の方法でまかなえているかを示す指標で、プライマリー・バランス(PB)とも言われます。
国民生活に必要な行政サービスの経費を、税金や保険料などの収入でまかなえていれば、PBは均衡か黒字になります。自分の食いぶちを自分で稼げている状態です。
5月12日にあった政府の経済財政諮問会議では、財政健全化計画のたたき台として、GDP(国民総生産)の実質2%、名目3%を上回る高成長を前提に、2020年度までに9・4兆円分のPBの赤字を解消する案が提案されました。これは、2017年4月の消費税の10%への引き上げを盛り込んだ上での数字です。
ところで、成長率の前にある「実質」と「名目」では、何が違うのでしょうか。成長率というとなんだか難しくなってしまうので、給料に例えてみましょう。
給料の「額面」が「名目」です。額面が上がったので喜んでいたら、消費税が上がったり、食料品の値段が上がったりで、あまり豊かになった気がしない。そんな物価の変動を加味して、「実感」に近いのが「実質」の値です。政府が前提とし示した実質2%、名目3%という値は、物価の上昇を上回ってGDPの額面も増えていて、豊かさが実感できる値と言えます。
ただ、この実質2%、名目3%を超える成長というのは、日本では1991年度を最後に達成されたことがありません。
高度経済成長期には、実質10%を超える成長をした時期もあります。しかし、近年では、景気が回復基調にあった、リーマンショック前の2007年度で実質1.8%、名目0.8%、東日本大震災前の2010年度でも実質3.4%、名目1.3%の成長にとどまっています。しかも、いずれも、物価が下がり続けるデフレの状況だったことに注意が必要です。
額面はそれほど増えていないのに、物価が下がったので、生活実感=実質の値が大きくなったというわけです。このように考えると、私は、政府の前提は、かなり「強気」な値だなと思います。
今後、高い成長率が達成できるにこしたことはありません。けれど、景気は上がったり、下がったりと循環するものであることを認識しておくことも必要です。世界経済の動向も、ギリシャの債務問題や米国の金融政策の変化を受けての影響など、見通せないことが多くあります。
また、政策は、複数のパターンを想定し、比較したり、現実の推移に合わせて調整したりしていくことが重要です。ですので、このコラムでは、政府とはあえて前提を変え、実質1%弱、名目1%半ば程度の「手堅い」成長を前提にしたいと思います。
政府は、ちゃんと、この手堅い成長の場合の試算も公表しています。この場合、2020年度までにPBの赤字を解消するには、16.4兆円分を埋め合わせる必要があるとされています。おおざっぱに言えば、日本の財政は、16.4兆円分ぐらいカロリーオーバーになっているということです。
この16.4兆円分をなんとかしたい。やせたい!!というのを、このコラムの量的な目標にしたいと思います。
政府の前提よりも額は大きくなりますが、達成時期は、政府の2020年度より遅い「2025年度」をゴールに定めましたので、少しじっくりとダイエットに取り組めます。その分、着実に体質改善ができる方法を探っていきたいと思います。
ダイエットをしてもやせ細ってしまっては意味がありません。きちんと筋肉をつけて、日本が速く走れ、身軽にジャンプできるようになるような財政のあり方を考えていくことにしましょう。
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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)
1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。
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【2】(1)第213回J.I.フォーラム 「老・病・死を考える」 開催
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仏教では、生老病死は人間が避けられない「四苦」とされています。しかしつい最近まで、日本社会全体としては四苦は片隅に置かれ、経済成長や豊かさの追求が中心課題でした。
ところが10年ほど前から、日本社会全体に四苦が重くのしかかってきました。生は少子化として。老病死は医療・介護という形で。65歳以上の日本人が人口の1/4を超えました。個人として老病死にどう対するかが、今や社会全体の大問題です。
「患者の葬儀に参列する医師」の佐藤さん、死後のことを扱ってきた僧侶の世界から医師になった対本さん。お二人ならではのお話を語っていただきます。
◯日 時:平成27年6月25日(木)18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
◯ゲスト:佐藤 伸彦(ものがたり診療所所長)
対本 宗訓(僧医、リンデンクリニック院長)
◯コーディネーター:加藤 秀樹 (構想日本 代表)
◯主 催:構想日本
◯定 員:160名
◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
※フォーラムへのご参加は6月24日(水)18:00まで info@kosonippon.org にお願いします。
お申し込みはこちらから http://kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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(2)地方議員セミナー 7月3日(金)、 4日(土)開催
今こそ議員が地方創生の主役に
~自治体の課題把握と解決のための実践講座~
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地方創生など、日本中で人口減少と地域の活性化に向けた取り組みが始まりました。一方、多くの自治体の財政状況は危機的です。今の施策の何を捨て、何を残すかが迫られているのです。もはや行政に任せておける時代ではありません。議員、議会が主導すべき時代です。また、これまで以上に住民に納得してもらうことが大事になります。
そのための基礎となる自治体の財政分析、実施事業のチェック、そして住民との合意形成のし方を実践的に身につけるセミナーを開催します。
新人議員からベテラン議員まで、これから大いに力をふるっていただくうえで、必ず役に立つ内容です。ぜひご参加ください。
【日 時】 平成27年7月3日(金)13:00~17:00、4日(土) 9:30~16:00
【会 場】 構想日本 会議室 (東京都千代田区平河町2-9-2 エスパリエ平河町3F)
※地図 http://kosonippon.org/wp-manager/cp-bin/wordpress/wp-content/uploads/2015/03/unnamed.png
【内 容】 <3日(金)>
演習「財政状況をチェックするための決算統計の活用方法」 川嶋幸夫(構想日本)
「政策を実現させるには(仮)」 穂坂邦夫(元志木市長)
懇親会(参加費別)
<4日(土)>
「住民に納得してもらうには」 加藤秀樹(構想日本)
「決算審査への事業仕分け手法の活用」 伊藤伸(構想日本)
ワークショップ(模擬事業仕分け)
【対 象】 市区町村議会議員および都道府県議会議員
【持参物】 ノートパソコン(演習において使用します)
【定 員】 20名(要事前予約)
【参加費】 18,000円(食事、宿泊は含まれません)
【申し込み】メールでのお申込みは、info@kosonippon.orgまで FAXでのお申し込みは、 03-5275-5617まで
※申し込みの際には、お名前(フリガナ)、所属、TEL、FAX、E-mailをご記入下さい。
※〆切:6月26日まで
お問い合わせは 構想日本 伊藤/川嶋/田中 TEL 03‐5275‐5607 まで
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(3)「現場みらい塾」第2期 開催中、第3期 募集中
政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。
受講生の満足度が高かったこともあり、今年度は第2期、第3期を開講することとしました。
自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。
テーマ
「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。
人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。
特 徴
1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム
『第2期』スケジュール 1回のみのご参加も承ります。
第2回:6月20日(土)10時~18時
第3回:7月11日(土)10時~18時
第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時
『第三期』スケジュール
第1回:9月26日(土)13時~18時半、27日(日)9時半~16時
第2回:10月24日(土)10時~18時
第3回:12月5日(土)10時~18時
第4回:2016年1月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時
その他詳細はこちら
http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php
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(4) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。
代表 加藤秀樹
◇5月28日「「地方創生」成功のコツ ―現状把握と課題の分析」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20150528-00046116/
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【3】<ご紹介>
(1)CheFuKo ネパール報告会 6月13日(土)開催予定
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「震災間もないネパールでの感動的な出会い」
(社)世界の子供たちのために:CheFuKoでは2013年より毎月一回福島へ温熱軍団を派遣し被災者の身体と心をほぐす活動を行う他、昨年はチェルノブイリを訪問し福島とウクライナの子供たちの交流を図っています。
そんな中わたしたちCheFuKoでは先のネパール大震災を受けて、5月16日~24日の日程で温熱軍団3名を首都カトマンズに派遣しました。
現地の人達にマッサージ支援が受け入れられるか蓋を開けてみないとわからないという状況でしたが、結果的にネパールの皆さんにとても歓迎され実働5日間で458名に施術することができ、また来て欲しいという声をたくさんいただきました。
発展途上国ネパールにはかつての日本にあった大切なものがたくさん残っており、震災間もない中たくさんのネパール人が協力的にお手伝いくださり、子供たちの笑顔も輝いていました。
報告会では現地で活動したCheFuKo3人のメンバーが映像と写真を交えながら、ネパールの様子と今後の活動についてお話させていただきます。
◯日 時:平成27年6月13日(土)13:00~16:00(開場12:30)
◯会 場:住友不動産御茶ノ水ファーストビル8F セミナールーム 千代田区神田駿河台2-5-1 TEL 03-5577-3155 FAX 03-3291-0011
◯主 催:(社)世界の子供たちのために
◯定 員:80名
◯参加費:無料
※報告会へのご参加は6月12日(金)12:00まで info@chefuko.org にお願いします。
必要事項等詳細は、HPを御覧ください。なお、お申し込みはHPからも出来ます。
( http://www.chefuko.org )
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(2)まだまだ終わらない公開勉強会2 6月16日(火)開催
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「真国立競技場へ」 もっとも果敢に発言し続けた建築エコノミスト森山高至 登場!
神宮外苑がにわかに騒がしくなってきました。国民の声を聞こうとしなかった下村文部科学大臣が自ら「見通しが甘かった」と公言し、舛添東京都知事に「建設についての国民的合意を形成する前提となる、情報公開もなされていない。」と批判されています。
てんやわんやの新国立競技場から、まだまだ目を離すことが出来ません。迷走する競技場建設がどこに向かうのか、これまでの経緯を含め、森山さんにじっくり解説してもらいます。
◇日 時:2015年6月16日(火)19:00-21:00
◇講 師:森山 高至(建築エコノミスト)
◇会 場:日本建築家協会1階・建築家クラブ(東京都渋谷区神宮前2-3-18JIA館)
◇会 費:500円(要申込,ドリンク付)
◇主 催:神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会 http://2020-tokyo.sakura.ne.jp
◇問合せ:info@2020-tokyo.sakura.ne.jp
◇申 込:http://2020-tokyo.sakura.ne.jp
◎建築エコノミスト・森山のブログ http://ameblo.jp/mori-arch-econo/
メルマガNo.647 「現国立競技場改修がもつ大きな意味」http://kosonippon.org/wp-manager/mail/detail.php?id=653
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【4】構想日本 2015年5月の主なパブリシティ
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(1) 対外活動
<講演・研修等>
5月14日 行方市「職員研修1」「市長との対談(広報7月号掲載予定)」(代表 加藤秀樹、総括ディレクター 伊藤伸、政策スタッフ 山本記子)
5月16、17日 「現場みらい塾 第2期」第1回(主催:構想日本、PHP総研)
5月24日 三木町「百眼百考会議」第2回(総括ディレクター 伊藤伸、政策スタッフ 原田将大)
5月25日 三木町「職員研修」(総括ディレクター 伊藤伸、政策スタッフ 原田将大)
5月26日 行方市「職員研修2」(総括ディレクター 伊藤伸、政策アナリスト 川嶋幸夫、政策スタッフ 山本記子)
5月29日 富津市「職員研修」(総括ディレクター 伊藤伸、政策スタッフ 原田将大)
※その他、首長や自治体との打ち合わせ3件
<審議会等>
5月19日 松阪市 「公共・公用施設施設最適管理検討委員会」出席(政策アナリスト 川嶋幸夫)
5月27日 富津市「富津市創生会議」出席(総括ディレクター 伊藤伸、政策スタッフ 原田将大)
(2) 新聞・テレビ等メディア掲載
5月1日 ガバナンストピックス 政治・行政を「自分事」に
構想日本がフォーラム開催 月刊ガバナンス5月号
5月17日 5・17大阪の選択 「都構想」住民投票きょう投開票
制度と運用を両輪に 「構想日本」代表の加藤秀樹さん 朝日新聞
(3) その他
2014年9月~国立大学法人京都大学経営協議会委員(代表 加藤秀樹)
2015年4月~隔週月曜日 国立大学法人京都大学経済学部 「公共経営論1」講義 (代表 加藤秀樹)
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