【No.76】コスタリカにみる「平和」
2002.12.16

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コスタリカにみる「平和」
JIメールニュースNo.76  2002.12.6
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■■ 目次 ■■
1.《小さな国に学ぶ》コスタリカにみる「平和」
― 「平和」とは、自らの手で作りあげるもの ―
構想日本パブリシティ担当ディレクター 西田 陽光
2.《J.I. Action Summary》
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1.《小さな国に学ぶ》コスタリカにみる「平和」
― 「平和」とは、自らの手で作りあげるもの ―
構想日本パブリシティ担当ディレクター 西田 陽光
11月3日(日)、知人の紹介により、映画「軍隊を捨てた国」で有名に
なったコスタリカの元共和国大統領夫人、カレン・オルセン・デ・フィゲ
ーレスさんのお話を伺う機会がありました。
コスタリカは中南米にある小国で、50年ほど前に社会のあり方を180
度変えた国です。1948年、内戦を経て政権についたホセ・フィゲーレ
ス氏が、軍隊廃止を宣言しました。第2次大戦後、アメリカのレッドパー
ジ(“赤狩り”)が吹き荒れる中、絶対権限を握ったフィゲーレスは、親
米路線をとりつつ行った大胆な改革の中で、軍隊廃止の憲法改正をしまし
た。「何よりも平和を!」と願う世論を背景に、コスタリカは自分たちの
判断で自分たちの力で軍隊を廃止したのです。
その後、半世紀以上、「非武装中立」の平和国家、そして、「民主主義」、
「自然保護」の先進国として今日に至っています。
内戦以前は、階級制度の下で貧富の差が大きく、貧しい者は自分の人生
をあきらめざるを得ない状況でした。そこで、同国では、それまでの軍事
費を教育費に回して教育制度を充実させるとともに、公正な選挙制度づく
りに力を注いできました。民主主義と平和主義の理念に基づいた「政治と
教育」の実現に向けて、国民一人一人がこれらの理念を支えるという意識
を育てるために「子供選挙」を実施したり、個人の可能性を育てる教育機
会を公平に与えるといった取り組みを続けて来ました。
その結果、たとえば、貧しい猟師の息子が会計士になったり、小作人の
娘が医師になったりと、職業選択の機会が広がり、国民は生まれた境遇に
かかわらず、自らの手で人生を切り開けるようになったそうです。
「コスタリカに軍隊がないことについて、国民はどう思うのか?」とい
う朝日新聞記者の質問に対して、ビールを片手にしたひげ面の親父さんは、
「これは、私たちの文化の一部です。私達には軍隊は必要ない。」と答え
ていたそうです。
カレン女史は、以下のように話していました。
『「自由」を求める戦争によって多くの血を流した結果、それまでの不自
由な統制社会から抜け出して獲得できた「自由で選択肢ある社会」。「平
和」は言葉だけではなく、いかに生きるかという行動を伴うものです。
「平和」とは、戦争のない状況で日常生活の「学ぶ」「食べる」「遊ぶ」
などを実践するものです。
コスタリカは、戦争をやめることを宣言した国です。そこへ至る道は大
変な困難でしたが、この半世紀のコスタリカの判断と歩みに、「誇り」を
持っています。
今日でも、ラテンアメリカの国々は、国内の対立、近隣国との対立でま
すます貧しい状況に陥っています。大国の間にあって、小さなコスタリカ
に何ができるのかと思われるでしょう。
コスタリカは、独裁国から逃げ出してくる人々の”避難所”となっていま
す。南米諸国から亡命してきた多くの人々がコスタリカで暮らし、コスタ
リカ人と触れる中で、民主主義を学びます。そして、自国へ戻った後、数
多くの人が民主主義国家づくりに立ち上がります。
「非武装中立」であるためには、「知識」以上に「知恵」「市民意識」
が必要です。「平和」とは、生まれるものでなく、自らの手で作りあげる
もので、飽くことのない日々の取り組みこそが必要です。すぐに社会を変
えることはできませんが、個人が日々の行動を変えることは出来ます。
「平和」とは、一人一人が自分自身の中から引き出す潜在的なものです。
経済的レベルに関係なく、小さな国でもできます。コスタリカの目指す方
向と戦略は、「人々と自然と共存して生きていく」こと、これが平和のつ
くり方です。』
1989年、当時のコスタリカ大統領は、中南米の和平に貢献した功績
が評価され、ノーベル平和賞を受賞、同時に、コスタリカは、国としても
同賞を受賞しました。
平和と戦争の問題は、先進国だけの問題でなく、すべての国の人々に関
わる問題です。カレン女史の笑顔から、私は、現在の日本の政治状況との
落差を痛感する中で、日本の政治家や官僚の発言から感じることのでき
ない、偉大な経験を踏まえた「誇り」と「尊厳」と「感動」を受け止めま
した。
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の11月の主な活動状況■
●政策プロジェクト
(1)国と地方(税財政改革)
国と地方のあり方に関する提言づくり
・県の事業仕分けの結果をベースに、税財源配分、補助金事業、
地方交付税制度に関する改革案をパッケージとして作成中
(2)公益法人改革
民法34条改正を含む、非営利活動法人制度の抜本的な改革に
向けたプロモーション
・構想日本の提言実現に向け、全国のNPOの声を集結させるための
ネットワークづくり
(3)エネルギー戦略
エネルギー政策の意志決定プロセスに関する提言づくり
・国の責任の明確化、市場のルールづくり、など
(4)特殊法人改革(道路公団)
国民の利益にかなった道路公団改革の実現に向けたキャンペーン
・構想日本を事務局とするシャドー・コミッティーによる提言活動
(5)国会議員アンケート
「外国人の参政権と国籍」に関するアンケートを実施(11/6)
・どういう人が日本の政治のあり方を決めるプロセスに関わるべきか
( 質問項目は、
http://db.kosonippon.org/enq/question.phtml?policy_set_id=12 )

●ネットワークづくり
(1)健康
地域の健康づくり活動事例集「健康物語」に新入荷(11/1)
・秋田県井川町の脳卒中予防対策
http://kosonippon.org/wp-manager/prj/hlt/jirei/ikawa/index.html
(2)教育
地域の新しい教育づくり事例集に新入荷(11/22)
・青年会議所メンバーが地域のせんせい(新宮JCの取り組み)
http://kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/jirei/shingu/
(3)環境
地域の環境保全活動事例集に新入荷(11/25)
・特定NPO法人「さんが俥座」-交通渋滞対策と環境保全を組み
合わせた「サイクルネット奈良」の取り組み
上記のほか、「政治資金制度改革」、「医療制度改革」、「年金制度改革」
などの政策プロジェクトが進行中。
詳しくは、 http://kosonippon.org/wp-managerまで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)

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