【No.766】「特ダネではないけれど(12) 景気と天気 」|新聞記者   松浦 祐子氏 |
2016.07.21
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  J.I.メールニュース No.766  2016.07.21  発行 
    
   「特ダネではないけれど(12) 景気と天気 」

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【1】<巻頭寄稿文>

   「特ダネではないけれど(12) 景気と天気 」

              新聞記者     松浦 祐子 


【2】<お知らせ> 

   (1) 第226回J.I.フォーラム  7月29日(金)開催 決定
  
   (2) 今後の構想日本の活動

   (3) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

   (4)「現場みらい塾」 第4期 募集中 【河野太郎大臣が講師に!】

     まだ申し込みできます!

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【1】  「特ダネではないけれど(12) 景気と天気 」

              新聞記者     松浦 祐子 

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参議院選挙が行われ、選挙期間中は私が赴任している新潟にも安倍晋三首相が自民党候補の応援に入り、「アベノミクスを進めるのか、後戻りさせるのか。アベノミクスのエンジンをフル回転させることで、景気回復の実感を届ける」と訴えていました。

その街頭演説を聴きながら私が考えたのは、「政府の役割とは、景気を回復させることなのか。そして、そもそも、政府が景気を回復させることは可能なのか」ということでした。

地方で暮らすようになって、私は「天気」に対する考え方が大きく変わりました。瀬戸内海沿岸で育った私は、雪が苦手です。雪が降ると、歩くのも車を運転するのも大変になるので、天気予報で雪マークが出ると、正直「嫌だな」と感じます。今年は少雪で、私は喜んでいたのですが、地元の方々は農家でなくても「米作りに影響しなければいいけれど」と、秋の実りを心配する反応が返ってきました。これまでの経験から、冬に降り積もった雪が春にとけて栄養ある水となり、おいしい米を作ることを知っているからです。一方で、ただ雪が降れば良いというわけではなく、降りすぎて豪雪になれば、時には人命を奪う被害をもたらします。

毎年、ちょうど良いくらいに雪が降ってくれれば良い。誰もがそう願っていると思いますが、自然が、人の力ではどうにもならないということをよく知っています。ですから、決して政府に対して「ちょうど良い降雪量になるように調節して欲しい」とは期待しませんし、要望もしません。政府にできることと言えば、凶作の年でも農家が生きていけるような生活保障の仕組みを整えることや、災害が起こった時には復旧・復興に向けて支援することです。豊作の年には、土壌改良や流通改革など、より生産性を高める取り組みをすることで農家の負担を軽くすることぐらいです。

「景気」も、天気と似たようなものだと思うのです。自由主義経済のもとでは、景気とは循環するものです。好況と不況を繰り返し、社会は変化していきます。晴ればかりが続けば干ばつになるように、バブルは必ずはじけて不況につながります。本来政府の役割とは、不況時に人々の生活を支えられるように、好況時から備えや仕組みを整備しておくことだと思うのです。ですから私は、政府が経済のエンジン(主体)となることで、景気を思うがままにできるかのごとく主張するアベノミクスに対して違和感を禁じ得ません。多くの有権者も「景気回復」という、政府にはどうしようも出来ないことを期待し過ぎではないでしょうか。
 
参院選が終わると安倍政権は早速、英国のEU離脱などの影響による世界経済の低迷に備えるため、大型の経済対策実施に向けて、補正予算の編成に入ることを表明しました。リニア中央新幹線の整備や保育・介護の受け皿の拡充などに使うとし、その規模は約10兆円とも言われています。

でも皆さん、思い出してもらいたいのです。2012年末の第2次安倍政権の発足直後も、経済対策として赤字国債を財源に、10兆円規模の補正予算が組まれたのです。

それ以来、地方創生、一億(国民)総活躍などと政府はエンジンをふかし続けています。エンジンをふかしただけの効果が出ているとは言い難く、その原因の分析をせずに、もっとやると言っているに過ぎません。

しかも今、一部の経済学者や市場関係者の間では、借金でまかなうと有権者はそれを返済するための将来の増税を心配しお金を使わないので、無利子で返済の必要のない国債を発行して日本銀行に引き受けてもらえばいいといった議論も起こっています。誰も痛まず、お金がわき出てくる錬金術のような話です。経済理論としては考えられるのかもしれませんが、現実の世界では、そんなうさんくさい話に有権者はのせられるのでしょうか?

安倍政権の経済対策の中には、長時間労働の削減や奨学金の拡充など評価すべきものもあります。ただ、それらは一時的な補正予算ではなく、継続した政策として行っていくべきものです。

有権者の皆さんには、経済対策の金額の大きさに惑わされ、それを政権・政治家の手柄のように受け止めないようにして欲しいと思います。

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 松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1) 第226回J.I.フォーラム  7月29日 開催 決定 

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  イギリスのEU離脱の歴史的な意味

イギリスの国民投票の結果には、世界中が驚き、日本では多くの人が「愚かなこと」と思っている雰囲気です。

しかし長い目で見ると、EUのような地域統合を含めて、人為的、制度的にグローバル化を進めていくことへの抵抗、あるいは限界とは考えられないでしょうか。アメリカのトランプ現象などにも通じるものを感じます。

今回のフォーラムでは、財政社会学と国際経済の専門家に、EUやイギリスの離脱を材料として、先進諸国が目指し、私たちが当然と思っている経済、政治の広域化の将来を私たちはどう捉え、何を考えなければならないのかを議論したいと思います。


  ◯日 時:平成28年7月29日(金)   ※ 18:00~20:00 (開場17:30) 

  ◯会 場: 衆議院憲政記念館   永田町1-1-1    

       地図 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkaimap.htm

       ※ 開始時間、場所がいつもと違います。 ご注意ください。

  ◯ゲスト : 井手 英策 (慶応義塾大学 教授)

         榊原 英資 (青山学院大学 教授) 

  ◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)    

  ◯主 催:構想日本

  ◯定 員:100名

  ◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
                ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

  ◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
            ※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

          「レストラン ペルラン」 千代田区永田町1-11-35 全国町村会館 B1F TEL03-3581-0471
   
 ※フォーラムへのご参加は7月29日(金)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

  お申し込みはこちらから https://www.kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php 

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(2)《今後の構想日本の活動》

 《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1」 (代表 加藤秀樹)

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(3)Yahoo!ニュースオーサー記事更新!

  Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。

  代表 加藤秀樹

  ◇3月8日 防災を「自分事」に

   http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20160308-00055180/


  ディレクター 伊藤伸

  ◇6月24日 18歳以上なのに投票ができない? ~下宿中で住民票を移動していない学生有権者は選管に確認しよう!~

   http://bylines.news.yahoo.co.jp/itoshin/20160624-00059168/

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(4)【河野太郎大臣が講師に!】 「現場みらい塾(構想日本×PHP総研)」

  第4期開講 受講生募集! まだ申し込みできます!

 税収、人口の奪い合い(=ゼロサム)ではなく、プラスサムを!

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人口減少、高齢化、不十分な予算と人員など、自治体にとってはますます厳しい時代です。政府の「地方創生」も続きそうにありません。

自治体間で税金や人口の奪い合いをするのはゼロサム、つまり持続可能ではありません。

それでも、視点を変え、従来の延長線上で考えることをやめると、解決策が見えてくるのです。

この塾は、従来型の研修ではありません。自治体のどの仕事にも応用できる、「知恵の出し方を身につけるトレーニングの場」です。

他自治体の職員、議員、民間人と一緒に半年間議論し、学び合うゼミ形式のプログラムです。受講生はこれまでに約70名。

問題意識の高い自治体職員、議員のネットワークも大きい財産です。

ここから日本が変わります。


― 第4期カリキュラム ―  ※現時点の予定ですので、変更の可能性があります。

【内 容】

第1回:7月30日(土)13:00~18:30、31日(日)10:00~16:00
 実践:問題発見と構造分析
    モデレーター:熊谷 哲 〔PHP総研 主席研究員〕
 講義:「ゼロサムからプラスサムへ」
    加藤秀樹 〔構想日本 代表〕
 講義:「日本のこれから(仮)」
    河野太郎 〔行政改革担当大臣〕

第2回:8月27日(土)10:00~18:00
 講義:ディベートで培う実践的思考
    熊谷 哲 〔PHP総研 主席研究員〕
 実践:ディベート
    熊谷 哲 〔PHP総研 主席研究員〕
 講義:「事業シートで業務の画期的な効率化を」
    伊藤 伸 〔構想日本 総括ディレクター〕

第3回:9月24日(土)10:00~18:00
 講義:「財政の自分事化に向けて~国の財政と地方の財政~」
    福田 誠 〔財務省 国有財産企画課 政府出資室長〕
 講義:「無作為抽出の住民参加で地域の課題を『自分ごと』に」
    伊藤 伸 〔構想日本 総括ディレクター〕
 実践:模擬事業仕分け1/手法を学ぶ

第4回:11月5日(土)13:00~18:30、6日(日)10:00~16:00
 実践:模擬事業仕分け2/チームで体験する
 実践:事業シートプレゼンテーション/発表から体得する
 セッション:「『わたしのまち』と一人称で呼んでもらえる町を目指して(仮)」
    筒井 敏行 〔香川県三木町 町長〕
 実践:締めくくり総括ディスカッション

【応募資格】
 地域をよりよくしたいという情熱を持ち、地域の課題解決と未来創造のために、自ら考え行動する意志のある人

【募集人員】 50名程度

【会   場】  PHP総研会議室
       (江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント11階)

【参 加 費】  37,800円(税込)※旅費・食費等は含まれません

【応募手続き】

 現場みらい塾申込みサイト(以下のリンク先)に入力し送信

 https://docs.google.com/forms/d/1AaZhsGk6sCIS-UEOtw_VWMgdL6elYrMxwr8UuBAn7dY/viewform

 定員に達し次第、締め切らせていただきます。

【お問い合わせ】

 構想日本:田中、小川、永由  TEL:03‐5275‐5607、Email:info@kosonippon.org
 PHP総研 :皆川         TEL:03‐3520‐9612、Email:genba-mirai@php.co.jp

 その他詳細はこちら https://www.kosonippon.org/wp-manager/project/detail.php?id=713

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