- 【No.81】教育は、地域住民のイニシアティブの中にある
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教育は、地域住民のイニシアティブの中にある
JIメールニュースNo.81 2003.1.17
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■■ 目次 ■■
1.《現場からの想い》教育は、地域住民のイニシアティブの中にある
構想日本 教育メーリングリスト管理者 佐藤将明
2.《12月18日第66回「JIフォーラム」の報告》
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1.《現場からの想い》教育は、地域住民のイニシアティブの中にある
構想日本 教育メーリングリスト管理者 佐藤将明
地域行事に、中学生が参加していない。
なんとかしたいと青木信二PTA会長は考えた。厚木市立森の里中学校PTA
の挑戦が始まる。
地域の運動会に、腕ずもう種目をつくった。案内チラシに「大人にチャ
レンジ」と唱って中学校で配る。大人の優勝者は、大方の予想どおり力持
ちの石屋さん。中学生チャンピオンは、なんと石屋さんの息子さん。親子
対決にはお父さんも驚き、グラウンドが沸く。取り組みは、息子さんの勝
利動揺を隠しきれないお父さんを、みんながなぐさめる。来年は、「子ど
もにチャレンジ」と書こう。「俺たちは本気だ。君たち逃げるのか」とも
書こうと声が飛ぶ。
運動会の設営には、中学生ボランティアが働いている。
森中PTAは、地域のさまざまな団体へ、中学生がボランティアとして
参加できる体制を検討してもらう手紙を書いた。多くの団体(20)から賛
同を得て、ボランティア活動が年間を通して行えることになる。
子どもは私が思うほど「子ども」でなく、もぎ店の手伝いよりも、企画
や設営などの裏方仕事に多くの申し込みが集まる。最初は、地域の大人達
も中学生も話すことすら遠慮がちだった。茶髪の中学生には、なお頼みに
くい。回数を重ねるうちに、会話が弾み、お互いの名前も覚え、中学生の
受け入れが当たり前のようになる。年間で400名を超える参画があり、
地域を歩いていると、にぎやかな声で話しかけられる。
中学生が自分なりの選択とやり方で、社会とのつながりを発見できるよ
うに大人が知恵を出し合い、ともに心地よい汗をかいている。
私は、発見する能力と習慣が大事だと考える。
自分なりに取り組むことで、どうしてうまく出来たのか、あるいは出来
なかったのか、自分の責任のなかに理由を位置づけることができるように
なる。この自己評価力は、自己教育力の重要な要因である。
自己評価力の高い子どもは、結果的に学業成績も高い。自分の学習を振
り返り、反省する力があることは、それ以後の学習の仕方によい効果が期
待できる。自己評価力の低い子は、テストの結果をみるだけで、どうすれ
ばよくなるか考えることができず、学習活動を改善できない。課程をみつ
められる観点を、だれかが指導する必要がある。自己評価と他者評価を比
較することで、何をどう評価するかについての認識を高め、だんだんと活
動全般を客観的に見る力が育っていく。
地域と学校とがつくる教育は、子どもの周りにいろいろな人がいて、い
ろいろな価値観・やり方を持ちこむ。世の中がどうやって動いているのか、
学習の先に何があり、どれだけの仕事があり、どんな将来が楽しいのか、
さまざまな観点を得ることができる。子どもが自己表現したいときに、エ
ネルギーを受けとめてくれる人が増え、いろいろな誉め方、叱り方、なぞ
り方、認め方をして、子どもたち、そして大人たちの社会性・人間性を豊
かにする。
教育は、きっかけを求めている人が多くいる。地域の学習支援ネットワ
ークをつくることで、一人一人の小さな想いを共有し、多くの観点で構想
し、実践していく方法を考えている。
自戒と共に思うことだが、これまでの教育改革は、現場からの改革では
なかった。改革は、自分たちが担っていくものだ。これからの教育は、子
どもたちも含めた地域住民のイニシアティブの中にある。
*佐藤将明氏プロフィール
1999年、構想日本で教育プロジェクト立ち上げから参加。地域の学習支
援ネットワーク・メーリングリストのボランティア管理者をしている。
自営業の仕事をしながら、学習の自立化と習慣化を推進するNPO「イン
ディペンデントスクール」を準備中。
●構想日本では、教育ホームページを作り、地域の人たちと先生とが新し
い教育作りをしている事例の紹介をしています。また、教育ホームページ
からメーリングリストへの参加登録もできます。
ぜひ、一度、ご覧下さい。 http://kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/
(教育プロジェクト担当スタッフ:山谷 真名)
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2.《12月18日第66回「JIフォーラム」の報告》
「私たちの回りにある問題は、まず自分達で解決しようと試みる」この
基本を実践している”社会の担い手たち”が会場に集いました。
自然保護運動を進める飯島氏(NPO法人アサザ基金)「目に見えない理
念や志の共有によってではなく、目に見える『事業』を進める中で、同じ
ような事業を別の地域でやっているNPO同士の連携が生まれてくる。」
DV、家庭内暴力に苦しむ人達のために24時間・365日体制で駆け込み寺を
運営する玄氏(日本ソーシャル・マイノリティ協会)「DV、家庭内暴力な
どから逃げてきた女性を、体を張って守っている。最近、行政関係の人た
ちが”勉強”にくる。」
ミニデイホーム「元気さんち」を運営する後藤氏「”高齢”をひかえるボラ
ンティア・スタッフ自身も、ここで活かされて『元気』をもらってい
る。」
数ヶ月前、民間企業からNGOに転職したばかりの松信氏(ピース・ウィン
ズ・ジャパン)「NPOと外務省が一緒に人道援助をしたり、企業が人道援
助に続く経済援助に協力していくというような世の中になるといい。」
官庁街初の保育施設「かすみがせき保育室」を運営する水澤氏(㈱コテ
ィ)「ビジネスだからこそ、お客様が望む質の高いサービスの提供とその
満足感に責任をもっていきたい。」
環境省に勤めるかたわらNPO活動に励む村尾氏「世の中を変えたいと志を
もった人が増えてきた。これからは、どうやって実際にかえていくのかを
考えていくべき。」
NHKで「変革の世紀」の番組制作を手がけてきた角氏「情報の時代の未
来像として、市民、個人に全体のウェイトが大きくかかっていく世紀にな
るのではないか。」
当日は、巷でよく聞かれる「変えねば」論ではなく、実際にどんな風に
世の中が変わっているのか、経験を踏まえて具体的に語っていただいたと
ころに、「力」が感じられました。
<討論者>
飯島 博(NPO法人アサザ基金)
玄 秀盛(日本ソーシャル・マイノリティ協会)
後藤 美智子(「元気さんち」ミニ・デイホーム)
角 英夫(NHK変革の世紀チーフプロデューサー)
松信 章子(ピース・ウィンズ・ジャパン)
水澤 佳寿子(かすみがせき保育室、㈱コティ)
村尾 信尚(環境省総合環境政策局総務課長)
<コーディネーター>
加藤 秀樹(構想日本代表)
※当日の議事録は、後日ホームページにて公開致します。当日の模様
を収録したビデオは1本3000円にて販売いたしております(お問い合
わせは info@kosonippon.org までお願いします)。
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