【No.836 】「アフリカで図書館について考える」|建築家・一般社団法人OSAジャパン 会長  坂田 泉氏|
2017.11.30

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J.I.メールニュース No.836 2017.11.30 発行

「アフリカで図書館について考える」

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【1】<巻頭寄稿文>

「アフリカで図書館について考える」

建築家・一般社団法人OSAジャパン 会長  坂田 泉

【2】<お知らせ>

(1) 第242回J.I.フォーラム  12月14日(木)

「 J.I.フォーラム 忘年会 」

(2) 第三回 北海道 恵庭市住民協議会 12月2日(土)

市議会の会派が協力して実施

(3) 住民協議会発祥の町・福岡県大刀洗町

住民協議会第6弾 テーマは「防災」

(4) その他の構想日本の活動

【3】<ご紹介>

(1) 新年の寿ぐ しめかざり展  浅草

(2) 「世界中の国のこともっと知ろう!」第7回アフリカPart2  都立中央図書館

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【1】「アフリカで図書館について考える」

建築家・一般社団法人OSAジャパン 会長  坂田 泉

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私はケニアを中心にしたアフリカで、住環境や再生可能エネルギーのプロジェクトを進めている建築家です。日本では、図書館をはじめとする文化・教育施設やまちづくりを支援する団体《一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所》の理事を勤めています。ここでは、アフリカの視点から日本の図書館について考えてみたいと思います。

私の愛読書のひとつに、“The Boy who harnessed the wind / 風をつかんだ少年”※1 があります。アフリカのマラウイで実際にあった話で、William Kamkwamba という少年が、学校にも満足に行けず、父親の農作業を手伝う暮らしの中で、図書館と町のゴミ捨て場を往復しながら、ついに自らの手と知恵で小さな風力発電所を作るまでの物語です。

William が風力による発電への関心を持ったのは自らの貧しい暮らしの中からです。そして、彼が風力発電の仕組みを学んだのは学校ではなく、NPOが作った「図書館」からでした。彼は、図書館で偶然手にした本から、風が電気を生み出すことを知ります。その結果、風車で電気を起こし、自分の家の照明や湯沸かし、灌漑ポンプの動力などに使うことを思いつきます。

つまり、William の出発点は生きることにあり、その実現を支えた知識は「図書館」にあったのです。

さて、私がここで考えたいのは、「知識」についてです。
William にとって知識は、自分の暮らしや行動から切り離されたものではありません。むしろ、自分自身が生きる中で、自らが行動することを通じて実感しつつ、納得しながら身につけてゆくものでした。だから図書館へ探しに行ったのです。読み書きなどの基礎的な知識は学校で教えられますが、図書館では自分が必要とする知識を見つけられるのです。

さらにここで注目したいのは、William の知識が、行動と一体になっている点です。こういう知識を仮に「行動知」と呼びましょう。私がアフリカの人たちを見ていて感じるのは、行動知の豊かさです。とくに高度な教育を受けていなくても、生活の中で必要な行動に伴う知識は豊かに持っているのです。

アフリカにはきちんとした教育を受ける機会を持たない人が、まだまだたくさんいます。そういう現状における「教育」や「知識」のあり方を考えるヒントが、この中にあるように思います。Williamのケースでは、生活の中の「行動知」を強化し豊かにする役割を担った「図書館」という存在に、私は可能性を感じます。

同時に、日本の図書館の理想像がここには示されていると思います。
カリキュラムや教育制度に縛られた学校では、なかなか生活に結びついた「行動知」を育むことは難しいでしょう。そこで図書館こそが私たちの身近にあって、誰にでも開かれ、生活に根づいた「行動知」の担い手になれるのではないでしょうか。

遠いアフリカでWilliam が示した図書館の可能性。私は、「日本カルチャーデザイン研究所」※2を舞台に、生活に根ざした「行動知」の担い手としての「生活密着型図書館」を目指したいと思います。

ナイロビにて

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※1《The Boy who harnessed the wind / 風をつかんだ少年》
http://williamkamkwamba.typepad.com/williamkamkwamba/

※2《一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所》
http://jcdlab.com

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坂田 泉 (さかた いずみ)

1955年、東京生まれ。1982年、京都大学工学院研究科修士課程修了。前川國男建築設計事務所在職中の1994年から1年間、JICA(国際協力機構)派遣専門家としてケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学にて建築教育に従事。
2011年、一般社団法人OSAジャパン(http://osa-rainbow.com/)を設立、会長に就任。現在は、株式会社LIXILとの「循環型無水トイレ・超節水型トイレ」プロジェクトや、株式会社Looopとジョモ・ケニヤッタ農工大学とのソーラー関連技術の共同プロジェクトなどをケニアで進めている。
2017年、一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 理事に就任。公益社団法人 日本建築家協会 国際交流委員、法政大学大学院デザイン工学研究科 非常勤講師、一般社団法人 アフリカ協会 特別研究員。

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【2】(1) 第242回J.I.フォーラム  12月14日(木)

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「 J.I.フォーラム 忘年会 」

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今年のJ.I.フォーラムのゲストをまじえ、大いに飲み、しゃべり、盛り上がり、来年に向かいたいと思います。

J.I.フォーラム初の試みです。こぞってご参加ください。

◯日 時: 2017年  12月14日(木) 19:00~21:00(入退場自由)

◯会 場: レストラン赤坂クーポール 本店

東京都港区赤坂1-1-14  NOF溜池ビルB1
電話 03-3582-4035

(いつもの頤和園に向かって左隣のビルです)

◯主  催 : 構想日本

◯定  員 : 50名 (立食)

◯参加費 : 5,000円 (一律)

※ご参加ご希望の方は 12月11日(月)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

なお、キャンセルをされる場合は必ず11日(月)12:00までにご連絡ください。
それ以降のキャンセルは、キャンセル料を頂戴致しますので、ご了承ください。

HPからのお申し込みはこちら http://kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php

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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 堺/稲垣まで。 TEL 03-5275-5607

*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。    TEL 03-5275-5607

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(2) 12月2日(土) 第三回 恵庭市住民協議会

市議会の会派が協力して実施します。

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〇恵庭市議会の会派が協力して、「住民協議会」を実施します。
〇無作為に選ばれた15名の市民が「ゴミ」をテーマに議論します。
〇議会がイニシアチブをとり行政が協力します。

★今回の取組みの特徴★

1.市議会議員が選挙人名簿から1000人を無作為抽出して「市民委員」を選ぶ。この手法は全国で2例目。議会と市民との距離を縮め、市民の生の声を聞く上で非常に有効。

2.議論された市民の意見をまとめて、会派が議会での質問や行政への提案などで活用。

3.行政も情報の提供役として積極的に参加。それが、市民のゴミ問題への理解の高まりにつながる。

【開催日時/会場】

第三回:12月2日(土) 9:30~12:30 / 恵み野会館 2F 集会室1  北海道恵庭市恵み野北2-12-2

〈第二回の議論の取りまとめを参考にしながら、集約につなげるための議論〉

【参加者】 恵庭市住民協議会委員(恵庭市民15名)
恵庭市議会議員(6名)
恵庭市職員
コーディネーター(構想日本 総括ディレクター 伊藤伸)
ナビゲーター(議論のリード役)
【第三回】福嶋浩彦(中央学院大学教授、元消費者庁長官、元我孫子市長)

【テーマ】 ゴミ問題について

【入 場】 無料(どなたでも傍聴できます) ※途中の入退室可、事前申し込み不要

【主 催】 恵庭市議会会派「市民希望の会」

【共 催】 恵庭市議会会派「民主・春風の会」

【協 賛】 恵庭市議会会派「日本共産党議員団」

【協 力】 構想日本

お問い合せ:構想日本 伊藤/田中
TEL:03-5275-5607、email:shiwake@kosonippon.org

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(3)住民協議会発祥の町・福岡県大刀洗町

住民協議会第6弾 テーマは「防災」

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災害の少ない町と言われていた大刀洗町。しかし今年7月の「九州北部豪雨」により町内も影響を受け、近隣地域(朝倉市)では甚大な被害があったことで町民の防災意識が高まっています。

避難にあたって行政、住民ともに課題があり、昨年度と同じ『防災』をテーマとして住民協議会を実施します。

★大刀洗町の特徴★

1.2014年に全国で初めて住民協議会を実施し、今年度が連続6回目の開催。既に全国モデルとして広く知られている。

2.無作為で選ばれた町民を名実ともに議論の主役にすべく、会議を条例で設置(無作為で選ばれた住民のみによる組織の条例設置は全国でも前例なし)。今年度は500人の町民を無作為に選び、27名が応募(応募率5.4%)。

3.今回はこれまで以上に行政が抱える課題の解決に重きを置いており、町が作成する「避難所運営マニュアル」に、住民協議会での議論の内容を反映する。

【開催日時】

第1回:12月 3日(日)9:00 ~ 12:00
[住民協議会の概要及びテーマに関する説明]

第2回: 1月13日(土)13:00 ~ 16:00
[全体での議論、改善提案シートの記入]

第3回: 2月 3日(土)13:00 ~ 16:00
[全体での議論、改善提案シートの記入]

第4回: 2月24日(土)13:00 ~ 16:00
[報告書の叩き台をもとに議論、意見集約]

【参加者】 大刀洗町住民協議会委員(大刀洗町民約30名)
大刀洗町職員
コーディネーター(構想日本 総括ディレクター 伊藤伸)
ナビゲーター(議論のリード役)

【会 場】 大刀洗町役場 庁舎3階会議室(大刀洗町大字冨多819)
※会場についてのお問い合わせは、大刀洗町総務課総務係まで(0942-77-0171)

【入 場】 無料(どなたでも傍聴できます) ※途中の入退室可、事前申し込み不要

【主 催】 大刀洗町

【協 力】 構想日本

お問い合せ:構想日本 伊藤/永由
TEL:03-5275-5607、email : shiwake@kosonippon.org

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(4) その他の構想日本の活動

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2017年10月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論2」(代表 加藤秀樹)

公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めます。次回は、岸田文雄氏(衆議院議員、自民党政調会長)、高野誠鮮氏(僧侶、総務省地域力創造アドバイザー、元石川県羽咋市職員)。

これまでのゲストは、森田稔氏(財務省大臣官房 経済財政政策調整官)、山折哲雄氏(国際日本文化研究センター名誉教授)、松井孝典氏(千葉工業大学惑星探査研究センター所長)、池端美和氏(発行土地建物株式会社 代表取締役)、玄秀盛氏(公益社団法人日本駆け込み寺 代表理事)、中曽宏氏(日本銀行 副総裁)、荻野徹氏(原子力規制委員会次長)。

2017年9月~毎週木曜日  法政大学「NPO論 II」(総括ディレクター 伊藤伸)

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【3】<ご紹介>

構想日本が注目している活動をご紹介いたします。

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(1) 新年の寿ぐ しめかざり展

一年の平安を願って作られたしめかざり。
『また今年も良い年になりますように』と願いを込める。

作り手の想い、かざる人の想い、しめかざりの数だけ様々な人の想いがあります。良い一年を迎えるために、しめかざりに願いを込めてきた日本人。その風景とともに、祈る行為を忘れてはいけないことを、しめかざりは伝えてくれます。

グラフィックデザイナーの森須磨子さんが全国から集めた『しめかざり』を展示。

◇日 時  11月23日(木)~12月5日(火)

◇場 所  かまわぬ浅草店 2F “piece” 台東区浅草1-29-6  営業時間10:30~19:00

http://www.kamawanu.co.jp/information/page_1328.html

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(2) 「世界中の国のこともっと知ろう!」第7回アフリカPart2  都立中央図書館

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にむけて、世界の国・地域の生活や文化を、豊富な所蔵資料を使って紹介するシリーズ展示を行っています。

第7回目は、マダガスカルやケニア、南アフリカ共和国など、中部・東・南部アフリカの32の国々をご紹介。

アフリカ文化を楽しく学べる「アフリカ講座」や、ケニアの風景や人々を描いたアフリカ協会の機関誌「アフリカ」の表紙原画展を同時開催!

1)機関誌「アフリカ」表紙原画展 (今回のメルマガ執筆者 坂田泉様の原画です)

◇日 時  平成29年11月27日(月)~平成30年1月14日(日)
平日 午前10時~午後8時
土日祝 午前10時~午後5時30分 【休館日にご注意ください】

◇場 所  東京都立中央図書館 企画展示室(4階) (港区南麻布5-7-13)

◇入場料  無 料

2)アフリカ講座 (6名からなる講座です)

◇時 間  午後2時から午後3時まで

◇会 場  都立中央図書館 企画展示室(4階)

◇参加費  無 料 事前申込不要 直接会場へ

今回のメルマガ執筆者 坂田泉様が登壇されます

◇日 時  12月16日(土)

◇テーマ  「描きながら考えたアフリカ」

◇講 師  坂田 泉氏(一社)OSAジャパン会長、建築家、(一社)アフリカ協会 特別研究員

他に12/2高倍 宣義氏12/5冨田 嘉孝氏12/9萩原 孝一氏12/13橋本 栄治氏、12/19福田 米藏氏らの講座あり。詳細は下記から御覧ください。http://www.library.metro.tokyo.jp/event/event_oll/tabid/1389/Default.aspx?itemid=1702

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