【No.872】代表コラム (4) 「トランプ2世、3世を出さないために」|代表 加藤 秀樹|※読者の声1
2018.08.17

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構想日本メールマガジン【No.872】 2018.08.16 発行

「トランプ2世、3世を出さないために」

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【1】代表コラム

「トランプ2世、3世を出さないために」

構想日本 代表  加藤 秀樹

【2】J.I.フォーラム 8月21日(火)開催

これからの政治に向けて「考えることの多い総裁選」

【3】活動ニュース

(1)和歌山県海南市で「行政事業レビュー(事業仕分け)」8月25日(土)、26日(日)

(2)千葉県鴨川市「100人会議」(住民協議会)8月19日(日)第4回

(3)群馬県太田市「住民協議会」8月18日(土)第2回

(4)静岡県湖西市「市民会議」(住民協議会)8月18日(土)第3回

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【1】代表コラム 「トランプ2世、3世を出さないために」 構想日本 代表  加藤 秀樹

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2年前のトランプ現象が、今やトランプ旋風となって世界を引っ掻き回している。それに対して、日本の(そしておそらく世界の)メディア、識者たちは圧倒的に批判的だ。

私もトランプのアメリカ大統領としての資質、やり方については全く同感だ。一方で、これら批判の「中身」については不十分だと思う。

例えば、トランプの関税引き上げに対して「保護主義だ」と批判する。しかし、保護主義でかたづけていいのだろうか。物、サービス、労働力など、すべて自由に取引、移動することが良いことばかりなのだろうか。

BrexitなどEUでの排外主義的な勢いも、中心は労働力の自由な移動に対してだ。

100人の人は、労働力としては100という数字かもしれないが、生き方、考え方などさまざまに異なる生身の人間だ。同じ100の労働力でも日本人100人と、日本人50人、ブラジル人30人、中国人20人では、日々の暮し方、コミュニケーションのし方、必要な教育などが異なる。

自由貿易は良いことだと私たちの多くは観念として持っている。しかし、観念や概念のレベルで良い悪いを決めつけてはいけない(それこそトランプ手法だ)。自由貿易の結果、安くて良いものが手に入るというのは消費者としての私たちにとっては有難い。しかし私たちは消費者であると同時に生産者であり、地域の居住者であり、さまざまな価値観や習慣や歴史的な背景を背負って生きている。

トランプ支持のアメリカの労働者は、消費者としては中国製の安い日用品を使えるという自由貿易のメリットを得ているかもしれないが、生産者としては職を失っているのだ。逆にアメリカの農家は生産者としては中国への輸出で利益を得てきた。中国が関税を上げるとダメージは大きい。

過去半世紀にわたる自由化への一方向の流れは、歴史的に見ると一つの実験だったのだと思う。そして、トランプ現象はその検証を迫るシンボルと受けとめるべきではないか。

何をどの程度自由化するのか、あるいは保護するのか、これまでもWTOや二国間協議の交渉で議論されてきたことだが、これまではあくまでも目指すところは自由化、価値基準は経済的価値だった。そろそろ、もっと広い価値基準で、自由にするもの、守るものを議論すべき時だと思う。そうしないとトランプ2世、3世が続くことになるだろう。

トランプ大統領に問題は大ありだが、彼が大統領を辞めても本当の問題はなくならない。トランプ大統領が出現した背景、その意味するところをもっと丁寧に考えないといけないと思う。

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【2】 第247回J.I.フォーラム  2018年 8月21日(火)

これからの政治に向けて「考えることの多い総裁選」

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野党の混迷が収まりません。そんな中で自民党総裁選が行われますが、大派閥が次々安倍総裁の支持を表明し、党内でも「一強」が続きます。

地方議員や経営者など、自民党、安倍政権を支持する人でも長期にわたる「一強」は望ましくないという声をよく聞きます。

これは、民主主義の基盤である議論や多数決や情報公開などをきちんと実行するうえで、与野党あるいは与党内の緊張関係が不可欠だと考える人が多いことを表していると思います。

その「一強」に挑む石破茂氏に、政治、メディア、など幅広い視点から現代社会を論じる西田亮介氏が「これからの政治」という視点で切り込みます。

◯日 時: 2018年 8月21日(火) 18:30~20:30(開場18:00)

※夜開催 時間にご注意ください。

◯会 場: 日本財団ビル 2階 大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111

※場所にご注意ください。

「国会議事堂前駅」「虎ノ門駅」「溜池山王駅」徒歩5分

◯登壇者:

石破 茂(衆議院議員/元地方創生・国家戦略特別区域担当大臣)

西田 亮介(東京工業大学 准教授)

◯進行:加藤 秀樹(構想日本 代表)

◯主  催 : 構想日本

◯定  員 : 150名

◯参加費 : 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

事前にお申し込みください ☆懇親会はございません。

※フォーラムへのご参加は8月20日(月)14:00まで お電話、FAX、E-メール info@kosonippon.org  にお願いします。

HPからのお申し込みはこちら http://kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php

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【3】活動ニュース

(1)和歌山県海南市で「行政事業レビュー(事業仕分け)」を開催!

テーマは「介護予防活動支援事業、空家等対策事業、結婚促進事業」など 24事業

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海南市では、2010年から3年間「事業仕分け」を実施しましたが、新たな仕組み(市民判定人方式)を入れて改めて「行政事業レビュー(事業仕分け)」を行います。

自治体の職員の方をはじめ、皆様ぜひ傍聴にお越しください。

★海南市「行政事業レビュー(事業仕分け)」の特徴★

1.神出政巳市長の強いリーダーシップのもと、市民と行政の対話、市民参画のツールとして実施。

2.前回の事業仕分けからの変更点として、無作為に選ばれた市民が評価を行う「市民判定人方式」を採用。若者の意見を取り入れるため、市内の高校生8名も評価に加わる。

3.市民への透明性に重点を置くため、市役所の庁舎ロビーでの実施。全国初の試み。

― 開催概要 ―

【開催日時】

8月25日(土)・8月26日(日)9:00~17:30

【会 場】海南市役所(和歌山県海南市南赤坂11番地) ※会場についてのお問い合わせは、海南市総務部企画財政課まで(電話:073-483-8405)

【対象事業】 24事業 ※対象事業費総額 約5億4,468万円(平成30年度一般会計予算246億6万1千円)

多岐にわたる対象事業の詳細は、下記の海南市ホームページで御覧ください。

【参加者】

海南市市民判定人(海南市民)※無作為に選ばれた市民2,000名に案内を送付し、応募のあった74名、公募した高校生8名の合計82名。

海南市職員

コーディネーター2名・仕分け人15名(1日2班体制、2日間)

【議論の仕方】

構想日本仕分け人チームと説明者(海南市職員)が質疑応答し、それに基づいて市民判定人が対象事業の評価を行う。

【参加費】 無料(事前申し込み不要、途中の入退室可)※どなたでも傍聴できます。

【主 催】 海南市

【協 力】 構想日本

※詳細は、海南市ホームページからご覧いただけます。
http://www.city.kainan.lg.jp/kakubusho/soumubu/kikakuzaiseika/kikakuzaiseikatorikumi/gyoseikaikaku/gyouseijigyourebyu/index.html

お問い合せ:構想日本 伊藤/笠谷
TEL:03-5275-5607、email : shiwake@kosonippon.org

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(2)千葉県鴨川市「100人会議」(住民協議会)を開催

テーマは「小中学校の跡地活用を中心とした地域の活性化」につい

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★鴨川市「100人会議」の特徴★

1.小中学校の跡地にとどまらず、小湊地域の地域資源を再発見し、鴨川市全体の活性化につなげる。

2.幅広い世代の市民が小湊地域を自分ごとと捉え、考えるために、無作為に選ばれた市民に加え、高校生、大学生、外部の専門家などの多様な知恵とアイデアを結集。

3.市役所内に若手職員中心のプロジェクトチームをつくり、市民と同じ目線で考える。

4.会議は、全体会と4つの分科会で構成。

【開催日時】

第4回:8月19日(日)14:30 ~ 17:30
(鴨川市が第3回までの議論を取りまとめた活性化案~素案~をもとに議論)

第5回:10月7日(日)/第6回:開催日未定

【会 場】 鴨川市役所(千葉県鴨川市横渚1450番地)

※詳細は、鴨川市ホームページでご覧いただけます。
http://www.city.kamogawa.lg.jp/soshiki_ichiran/zaisei/gyomuannai/shiyuu_zxaisann_kanri/index.html

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(3)群馬県太田市 「住民協議会」を開催

テーマは「ごみの減量化」について

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★太田市「住民協議会」の特徴★

1.清水聖義市長の強いリーダーシップにより2年連続の開催(連続開催は全国2例目)。

2.参加者全51名のうち、女性が過半数の27名。

3.昨年は、住民協議会に参加したことがきっかけとなってNPOを作る人がでるなど行動の変化にもつながっている。

【開催日時】

第2回:8月18日(土)13:30~16:30
(協議テーマ「ごみの減量化」に対する議論)

第3回:9月29日(土)/第4回:10月21日(日)/第5回:11月17日(土)

【会 場】

第2回、第3回:宝泉行政センター(太田市西野谷町38-2)
第4回、第5回:太田市役所本庁舎(太田市浜町2番35号)

※詳細は、太田市ホームページでご覧いただけます。
https://www.city.ota.gunma.jp/005gyosei/0020-001kikaku-kikaku/2017-0710-jk.html

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(4)静岡県湖西市「市民会議」(住民協議会)を開催

テーマは「市民会館の建て替え」について

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★湖西市「市民会議」の特徴★

1.無作為に選ばれた市民が、公共施設の必要性や具体的な中身を議論するのは全国でも珍しい試み。

2.幅広い世代の意見を取り入れるため、地元の高校生も参加。

3.検討結果は、市の次年度以降の事業の進め方や予算に反映する

【開催日時】

第3回:8月18日(土)13:00 ~ 16:00
(市民会館の必要性や、機能、建設場所などについて議論)

第4回:9月30日(日)/第5回:11月4日(日)

【会 場】

湖西市民活動センター2階大会議室(静岡県湖西市鷲津1293‐4)

※詳細は、湖西市ホームページでご覧いただけます。
http://www.city.kosai.shizuoka.jp/12766.htm

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(編集後記)

退却を転進、全滅を玉砕、敗戦を終戦と言う。
誰かを保護するため、安全のため、命を守るため、と言う。
同じ過ちを繰り返さないために、その言葉の裏に潜む本当の意味を、見極める目を持ちたいと思う。

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◆ 自治体職員 平岡 直也氏(1950/08/20)

読者の声

「もっと広い価値基準で、自由にするもの、守るものを議論すべき時」ということに心より共感いたします。

自由か保護かの二者択一ではなく、それぞれの利点を生かす、そしてそれぞれの欠点を補い合うべきなんだと思います。

シンプル・イズ・ベストと言いますが、シンプルに考えすぎると極端になったり偏ったりする。ダイバーシティを進め、より多くの人が生きやすい世の中を実現するためには、綱渡りのように、絶えずバランスをとりながら、より広い視野や、先を見通したり、他者のことを思いやったりする想像力が求められるのかなと思いました。

そして、最後はやっぱり、やってみないと分からない。やってみておかしければどんどん改めていけばよい。そんな気がします。

今年の春ごろから、地元、練馬区の区議の方々の活動に参加させ

ていただき、いろいろと勉強させていただいています。

地域に密着して、地域の問題に取り組む。

それを机上ではなく、肌で感じながら学べるのは楽しいです。

構想日本の事業仕分けや住民協議会も、もう少し近場であれば

ぜひ参加したいと思っています。


◆ 森 卓氏(2018/08/17)

コメント

巻頭言と編集後記の対が良かったです。