- 【No.902】シリーズIT後進国日本 -現状の確認と対策- (1) Computer Science を無視する日本 |慶應義塾大学 名誉教授 大岩 元氏|
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構想日本メールマガジン【No.902】 2019.3.21 春分の日 発行
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<目次>
【1】活動ニュース
(1)時の法令 3月号
(2)J.I.フォーラム 今後のお知らせ
【2】スタッフ通信
(1) 自分ごと化会議in松江 続報
【3】巻末寄稿文
シリーズIT後進国日本 -現状の確認と対策- (1) Computer Science を無視する日本
慶應義塾大学 名誉教授 大岩 元
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【1】活動ニュース
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(1)時の法令
構想日本の”日本まるごと自分ごと化”計画 連載中 総括ディレクター 伊藤 伸
連載中の「時の法令」3月15日号が出ました。
今回のタイトルは、「三木町の「百眼百考会議」──行政の計画策定を自分ごと化する!」
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2174716102648229&set=a.435639213222602&type=3&theater
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(2)J.I.フォーラム 今後のお知らせ
次回は、5月の中旬を予定しております。
内容、ゲスト、日程等は決まり次第、メルマガにてお知らせしていきます。
もう少々お待ち下さいませ。
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【2】スタッフ通信
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(1)自分ごと化会議in松江 続報
「自分ごと化会議in松江からの9つの提案」出来ました!
中国電力、松江市、島根県、世耕経産大臣に届ける予定です。
会議に参加した委員の皆さんの思いが詰まった提案です。
詳細はこちらを御覧ください。
◆Yahooニュースにオーサー記事 総括ディレクター 伊藤 伸
原発問題の解決の前提は原発を「自分ごと化」すること~「自分ごと化会議in松江」
https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20190312-00117881/
◆フェイスブック
https://www.facebook.com/kosonippon/posts/2020891467979990
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【3】巻末寄稿文 シリーズIT後進国日本 -現状の確認と対策- (1) Computer Science を無視する日本
慶應義塾大学 名誉教授 大岩 元
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最近日経BP社から「新SIビジネス 全課題分析と未来戦略」という本が発刊された。価格はなんと25万円であるが、そのチラシには「202X年、SI事業者の仕事はなくなっていく」というキャッチコピーが書かれている。今の日本の情報産業は近々壊滅するというのだ。
著者の桑津 浩太郎氏は、「人手不足」が今日の日本の情報産業における根本問題だと考えているようだ。「情報技術者が何十万人も足りない」ことは30年前から言われ続けてきたことであり、真の問題は人手不足という「量」にあるのではなく、IT技術者の「質」にある。私はそのことを日経の経済教室で1992年6月6日に指摘したが、System Integrator(SI)と呼ばれる情報産業からは無視され続けてきた。低レベルの技術で時間をかけて稼ぐ方が高い質を求めるより楽だったからである。
人手不足の今、ベトナムなどでIT開発をする企業が増えてきたが、そこで起こっていることは、難しい仕事はベトナム人しかできず、日本人は易しい仕事しかできないという現実である。
日本の情報産業が滅亡の縁に立たされていることは間違いないが、それに気付いている人は少ない。
1970年代に世界中で始まったITの専門教育としてのComputer Science(CS・計算機科学 情報と計算の理論的基礎、及び応用の研究分野)は、日本では産業界から歓迎されなかった。本格化した日本経済の成長にともなって、CS教育を受けた卒業生を使う余裕はなかったので、自前の教育でビジネスが成り立たせたのである。
情報産業が用いた教育法は、「写経プログラミング教育」と呼ばれる、お手本を覚えるだけの教育であったが、それでビジネスが成り立ったのである。しかし、日本以外の国ではどこでも、重要な仕事はCSを学んだ技術者が行っている。ベトナム人にかなわない理由はそこにある。
欧米では、90年代に入ると経営とITの融合が一般化した。成熟したソフトウエア技術を前提として、それを有効に生かすことでビジネス全体を再構築することが始まり、数%の経済成長が続いてきたが、日本だけがゼロ成長を続けている。最近のマクロ経済分析でゼロ成長の原因が、ITの活用が機能していないことにあることが分かった(乾 友彦:日経新聞 経済教室 2017年6月26日)。
低レベルのITで国際レベルの経済活動は維持できない。解決策は組織のためのITの活用を国際的なレベルにしなければならないので、簡単ではない。まず必要になるのは、経営者、官僚、政治家などの情報リテラシー(コンピューターなど情報関連技術を習得し、積極的に情報を活用することのできる能力)を上げることである。
低レベルとはいえSIビジネスの担当者は、情報リテラシーのない発注者の無理難題に対処することで、苦労を重ねてきたのである。仕組みが見えないソフトウェアを正確に記述するのは簡単な仕事ではなく、CSの素養が必要とされる。その事が発注者にも要求されるのである。日本では7割のIT技術者がベンダー側にいるが、米国では7割の技術者がユーザー側にいる。
世界中で小学生からのプログラミング教育が始まった。
すでに、先進国では大学進学者はプログラミングを学ぶことが常識となっているが、日本では大学の研究者ですら、その認識がない。10年後の世界では、プログラミングは市民が共有するリテラシーとなることから、日本が文盲国にならない方策を至急作って実行しなければならない。
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(編集後記)
何年か前に三権分立の国で行政府の長が、「私は立法府の長」と発言。
あと掌握すべきは、司法の長ということだったのでしょうか。
私は国家そのものである。あ、絶対王政全盛期のフランスの国王ルイ14世の言葉です。
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