- 【No.925】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十二弾 御柱祭(おんばしらさい)」|至学館大学・コミュニケーション研究所長 石田 芳弘氏|
【No.925】夏の終りに、お近くの会場へどうぞ足をお運びください。
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構想日本メールマガジン【No.925】 2019.08.29 発行
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<目次>
【1】活動ニュース
(1)福岡県 大刀洗町「住民協議会(2)」8月31日(土)
(2)滋賀県 大津市「事業レビュー」 8月31日(土)
(3)群馬県 太田市「自分ごと化会議2019(2)」8月31日(土)
(4)北海道 清水町「清水ミライ自分ごと化会議(1)」9月1日(日)
【2】スタッフ通信
(1)和歌山県 海南市「第3回住民協議会」<実施報告>
(2)群馬県 太田市「第1回自分ごと化会議2019」<実施報告>
【3】巻末寄稿文
「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十二弾 御柱祭(おんばしらさい)」
至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘
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【1】活動ニュース
☆下記4自治体とも【参加費】無料 どなたでも傍聴できます(事前登録不要、途中入退室可)
お問合せは、構想日本まで TEL:03-5275-5607 E-MAIL:shiwake@kosonippon.org
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(1)福岡県 大刀洗町 「住民協議会」
★大刀洗町「住民協議会」の特徴★
1.2014年に全国で初めて「住民協議会」を実施。6年連続。
2.大刀洗町の住民協議会は条例に基づく正式な審議会。
3.2015年から無作為抽出された住民とは別に町内在住の高校生を募集。(今期は4名)
【日 時】第2回 8月31日(日)13:00~16:00(予定)
【会 場】大刀洗町役場(福岡県三井郡大刀洗町大字冨多819)
※会場に関する問い合わせ先:大刀洗町役場総務課(電話:0942-77-0171)
詳細は、大刀洗町HPをご覧ください。
http://www.town.tachiarai.fukuoka.jp/page/page_01985.html
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(2)滋賀県 大津市 「事業レビュー」
★大津市「事業レビュー」の特徴★
1.3年連続5回目。歳入に見合う歳出・事業の選択と集中を行うことが一番の目的。
2.無作為に選ばれた2,500人の中から、応募のあった53名が市民評価員として参加。
3.レビュー結果の反映に重点を置き、構想日本も協力をしてフォローアップ。
【日 時】8月31日(土) 9:30~16:45(予定)
【会 場】大津市役所新館7階大会議室(滋賀県大津市御陵町3-1)
※会場に関する問い合わせ先:大津市総務部 行政改革推進課(077-528-2708)
詳細は、大津市HPをご覧ください。
http://www.city.otsu.lg.jp/shisei/zaisei/rev/r1/26572.html
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(3)群馬県 太田市 「自分ごと化会議2019」
★太田市「自分ごと化会議2019」の特徴★
1.「行政情報のあり方」がテーマ。
「市民と行政との間で情報が共有されていないこと」が過去2回の協議会における共通の課題となっていた為
2.無作為に選ばれた1,300人の中から応募のあった33名の市民が参加。
3.今回は市職員の中で無作為抽出に選ばれた職員が市民にまざり議論に参加。
【日 時】第2回 8月31日(土)13:30~16:30(予定)
【会 場】太田市役所 本庁舎3階大会議室 他(太田市浜町2-35)
※会場に関する問い合わせ先:太田市企画政策課(電話:0276-47-1892)
詳細は、太田市HPをご覧ください。
https://www.city.ota.gunma.jp/005gyosei/0020-001kikaku-kikaku/2017-0710-jk.html
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(4)北海道 清水町 「清水ミライ自分ごと化会議」
★清水町「清水ミライ自分ごと化会議」の特徴★
1.住民基本台帳から無作為に選ばれた2,000人の中から応募のあった51名が参加。
2.議論の結果は、来年度作成予定の総合計画に反映。委員が全て無作為での選出事例は道内初。
3.議論を進める3班のコーディネーターは、近隣町の職員(*1)が務める。構想日本で初の取組。
(*1)自治体の垣根を越えて職員同士が情報交換し、持続可能な十勝を次世代につないでいくことを目的とした十勝管内市町村職員有志の会から。
【日 時】第1回 9月1日(日) 14:00~17:00(予定)
【会 場】清水町役場(北海道上川郡清水町南4条2丁目2番地)
※会場に関する問い合わせ先:清水町役場企画課(電話:0156-62-2114)
詳細は、清水町HPをご覧ください。
http://www.town.shimizu.hokkaido.jp/council_info/2019/08/post-141.html
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【2】スタッフ通信
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(1)和歌山県 海南市「第3回住民協議会」<実施報告>
みんなが地域で安心して、楽しく暮らすために「どんな地域活動があったら良いのか」「コミュニティ施設はどうあってほしいのか」など、意見交換しました。
詳細はこちら → http://kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=1969
(2)群馬県 太田市「第1回自分ごと化会議2019」<実施報告>
参加した市民と市職員は自己紹介を行い、「行政情報について困ったことや知りたいこと」などについて普段の生活の中で感じていることを話し合いました。
詳細はこちら → http://kosonippon.org/wp-manager/blog/?p=1950
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【3】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十二弾 御柱祭(おんばしらさい)」
至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘
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諏訪地方6市町村(*1)21万人の氏子がこぞって参加する天下の大祭である。
御柱祭の前に諏訪という土地について考える。各種の自然災害から国土を守る事業を砂防と呼び、愛知県砂防協会会長を務めた経験は日本という国の宿命を知る上で勉強になった。
国土全体が要砂防列島であり、地震・火山噴火・津波・台風・集中豪雨など世界一の自然災害総合デパートである。日本列島はユーラシア・北アメリカ・太平洋・フィリピンの4プレートが十文字に交差した位置にあり、それ故に自然界の循環が極めて変動的・流動的なダイナミズムを特徴とする。
また列島の東西軸は中央構造体、南北軸はフォッサマグナの断層帯が走り、その交差点が実は諏訪である。これらの岩盤の上にあるという事実を知っただけでも、御柱祭の激烈さと自然を畏敬する強い信仰心と多様な物語性のよって来るものが理解できよう。
諏訪大社のご祭神、建御名方神(たけみなかたのかみ)は記・紀神話に出てくる出雲の国譲りの結果、諏訪に逃れてきた神である。このタケミナカタノ神が、諏訪の先住民族の信仰ミシャクジ神(*2)と習合し、諏訪地方独特の信仰心の深さとその実践としての祭が展開されるようになり、御柱祭の起源となった。
これだけスケールの大きい祭の全貌を捉えることは、この地に住んでいない者には不可能に近い。私は4月8日、下社山出しの木落坂、3日間の初日だけを観に行った。
御柱祭の概観を述べる。正式名称は諏訪大社の「式年造営御柱大祭」、6年に一度(寅と申の歳)の遷宮祭である。諏訪大社は本宮と前宮の上社と春宮と秋宮の下社の4社からなる。この4社がそれぞれ4本づつ合計16本のモミの大木(樹齢200年・6t~8t)を山から切り出し、山を下り(木落し)、川を渡り、道中すべて氏子達の人力で運び(里曳き)、4神社の四隅に建てる(建御柱)祭である。何せ柱に「御」をつけるのだから柱そのものが神であり神は大木に宿るという縄文の霊魂の原点が圧倒的な迫力で漲る(みなぎる)。
木落しだ。坂の下に春うららと渓流が流れ、辺りの川原が観光客の場所となる。坂は最大傾斜35度、距離100m。笹が茂り止まりにくく落ちるスピードが上昇する仕掛け。山から切り出した御柱が氏子の大集団に曳かれ坂に到着。巨大なモミの頭が坂の上にせり出す。長々と儀式が始まる。木遣り唄の高音が山間の青空に抜けていく。
ヨイショヨイショの大歓声、御幣の乱舞、笛の音、ラッパを吹き鳴らす。種々のさんざめきが渦となって見る側も今か今かと集中力が極点に達した瞬間、御柱を繋ぎ止める綱が斧で断ち切られ、命知らず達が跨った御柱は一気に坂を落ちる。氏子の集団が一斉に御柱に寄って来る。静から動へ一瞬の間だ。相撲の仕切りから立ち合いの瞬間と重なった。
山出しと里曳きを経て神社へ着いた御柱は最後に建御柱を迎えるが、2016年の建御柱で事故が起き2名の死者が出た。それでもこの祭は続く。我々はなぜ祭に熱中するのか?人間が生きるということや歴史の継続性の意味を静かに暗示する深淵をのぞいた気がする。
御柱祭は6年に一度であるが「諏訪大社の年中神事」を見ると氏子たちは年がら年中祭をやっている。元旦の蛙狩り、2月御神渡拝観と注進、6月茅(ち)の輪くぐり、8月御射山祭(みさやま)、9月相撲、11月新嘗(にいなめ)祭(・大嘗祭)などは代表的な祭だが、毎月祭だらけである。
郷土史家宮坂光昭氏の「諏訪大社の御柱と年中行事」は、御柱を中心とする諏訪の祭は上からの命令や神社の指示ではなく氏子の側から行う“水平構造”と指摘する。特に明治の国家神道が推進した祭政一致の“垂直構造”の祭と対比した視座として興味深いし、この水平構造こそ諏訪には未だ縄文世界が生きている所以なのであろう。
6年先はこの気宇壮大な御柱祭ワールドのフィニシュ「建御柱」を見物したい。
(*1)諏訪地方6市町村 岡谷市・諏訪市・茅野市・下諏訪町・富士見町・原村
(*2)ミシャクジ神 御石神・道祖神
中沢新一著「精霊の王」に詳しい
編集注:2016年4月8日の御柱祭のエッセイ。
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石田 芳弘(いしだ よしひろ)
愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。
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(編集後記)
寄稿文にも出てきた大嘗祭(おおにえのまつり・おほなめまつり・だいじょうさい)。
天皇の即位後に初めて行う新嘗(にいなめ)祭を大嘗祭と言い、一代で一度だけです。
こうした行事が受け継がれていく日本って、良いなあと思う今日このごろです。
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