【No.957】「国連特別報告者 新型コロナに関して2つの声明発表」-国連専門家- |翻訳 藤田早苗と翻訳チーム|
2020.04.23

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構想日本メールマガジン【No.957】 2020.04.23 発行

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<目次>

【1】新プロジェクト「オンライン自分ごと化会議」始動

~コロナウイルスによって変化する社会との付き合い方について~

(1)「スマート市民議会」~「social distance」を市民目線で考える~ 4月29日(水)

【2】お知らせ

(1) 群馬県太田市「新型コロナウイルスに係る市民との意見交換会」の様子

(2) 刷新した構想日本ホームページ、見ていただけましたか?

(3) コロナ関連にも使える『JUDGIT!』「DV(家庭内暴力)」などで検索!

【3】巻末寄稿文

「国連特別報告者 新型コロナに関して2つの声明発表」 -国連専門家-

翻訳 藤田早苗と翻訳チーム

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【1】新プロジェクト「オンライン自分ごと化会議」始動

~コロナウイルスによって変化する社会との付き合い方について~

(1)「スマート市民議会」~「social distance」を市民目線で考える~ 4月29日(水)

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2009年から構想日本が行ってきた「自分ごと化会議」の参加経験者は全国に約1万人。この中から参加者を募り、いまどんな状況にあるか、それに対して自分たちは何ができるか、行政は何をすべきかなどをオンラインで議論します。

(1) 第1弾:「スマート市民議会」 ~「social distance」を市民目線で考える~

最近よく言われる「social distance」。コロナ終息に必須である一方、いわゆる弱者など、もともと社会との距離が遠い人たちにとってはさらに距離が広がっています。
この状況で、自分たちには何ができるのか、行政(国、地方)やメディアに何を求めていく必要があるのか、議論します。

日 時:2020年4月29日(水・祝) 14:00~16:00(予定)
参加者:市民(「自分ごと化会議」を行った6自治体の参加者)15名程度
ナビゲーター:(専門的視点から論点の提示や視点の提供を行う役割)3名程度
コーディネーター:伊藤伸(構想日本総括ディレクター)
主 催:構想日本

※メディアのみ当日取材可(事前に要連絡)

☆オンライン会議の模様をライブ中継、アーカイブを構想日本ホームページで公開予定。
問合せ    政策シンクタンク 構想日本(伊藤、永由、秋元、窪田)
東京都千代田区平河町2-9-2 エスパリエ平河町3F 電話:03-5275-5607 FAX:03-5275-5617 E-メール info@kosonippon.org

【お詫び】前回のご案内で時間が間違っておりました。お詫び申し上げ、訂正いたします。

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【2】お知らせ
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(1)群馬県太田市「新型コロナウイルスに係る市民との意見交換会」の様子

これまでに無作為に選ばれて太田市の住民協議会などに参加した太田市民と市長、職員がコロナに関する実情を話し合いました。
4月16日オンラインで行いました。これは構想日本が29日から始める「オンライン自分ごと化会議」のプレという位置付けです。コーディネーターを務めた伊藤伸がフェイスブックで概要を語っています。こちらから → https://www.facebook.com/shin.ito.9235/posts/2940473166072515

詳しい、内容はまた来週お知らせいたします。

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(2)新しくなった構想日本ホームページ、もう見ていただけましたか?

4月1日 構想日本ホームページを刷新しました。

まだすこし工事中の部分もありますが、リニューアルオープンした構想日本をご覧いただければと思います。

こちらから →  http://kosonippon.org/wp-manager/
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(3)コロナ関連にも使える『JUDGIT!』

『JUDGIT!』を使って、国がどんな政策をしているか、「感染症対策」や「休業補償」などのキーワードで検索をしてみよう!

まずは、こちらへアクセス →  http://judgit.net/
興味のあるキーワードを入れるだけ!

・どなたでも、手軽にキーワード検索が出来ます。
・国が行う5,000以上の事業の「金額」「支出先」などが書かれたシートを見られます。

トピックス「世界的な猛威を振るっている新型コロナウイルス。これまで国はどんな対策をしてきたのだろう?」

☆厚生労働省 ワクチン産業発展推進ファンド  https://judgit.net/projects/6910
☆内閣府 革新的医療技術研究開発推進事業(仮称) https://judgit.net/projects/9721

例:キーワード「DV(家庭内暴力)」で検索すると

☆厚生労働省 児童虐待・DV対策等総合支援事業  https://judgit.net/projects/426

例:キーワード「人権」で検索すると

☆内閣府 女性に対する暴力の根絶に向けた取組に必要な経費  https://judgit.net/projects/104
☆国土交通省 世界観光事業分担金  https://judgit.net/projects/1454

ほか 多数。不思議なものが色々と出てきます。是非、気になるワードで検索してみてください。
皆さんのご意見をお寄せください。それを反映し、どんどん充実したものになります。

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【3】 「国連特別報告者 新型コロナに関して2つの声明発表」 -国連専門家-

翻訳 藤田早苗と翻訳チーム
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複数の国連特別報告者は、新型コロナウイルス感染症に関して2つの声明を発表しました。

1、新型コロナ感染症:国家は緊急対策の濫用で人権を抑圧してはならない
2、新型コロナウイルス対策に例外があってはならない:“誰もが人命救助を受ける権利がある”

1、新型コロナ感染症:国家は緊急対策の濫用で人権を抑圧してはならない

ジュネーブ(2020年3月16日):国連の人権専門家らは本日、新型コロナウイルスの流行への対応で各国が安全保障のための手段を濫用しないよう呼び掛け、緊急事態における権力行使が、反対意見を抑えるために使われるべきではないことをあらためて強調した。

人権専門家らは「健康をめぐる現在の危機が深刻であると認識し、大きな脅威に対する非常権限の行使が国際法上許容されていることも認めるが、国家に対しては、緊急の新型コロナウイルス対策がいずれも、妥当かつ必要で、差別的でないものでなければならないことを強く指摘する」と述べた。

このような指摘は、新型コロナウイルスの流行への対応において、人権がその中心に位置づけられるべきであるとする最近の国連人権高等弁務官の呼び掛けを反映している。

国連の専門家らによると、健康や安全といった理由の如何に関わらず、緊急事態の宣言については国際法に明確な手引きが明記されている。

「非常権限の行使は公的に宣言されるべきであり、移動や、家族生活、集会に関する基本的人権が著しく制限される場合においては、関係する条約機関へ通告されるべきである」。

「さらに、新型コロナウイルスの流行に基づく緊急事態宣言は、特定の集団やマイノリティー、個人を標的とするために行使されるべきではない。またそれは、健康を守るという口実で弾圧的な措置を隠蔽したり、あるいは人権擁護者を沈黙させたりするために使われてはならない」。

そして「ウイルス対策で課される制約は、正当な公衆衛生上の目的に基づくべきで、反対意見を鎮圧するために行使されてはならない」。

国家や安全保障機関のなかには、手っ取り早い対応を可能にする非常権限の行使が魅力的だとみなすところもあるだろう、と専門家らはみている。

「過度の権力が法律や政治のシステムに組み込まれるのを阻止するために、規制は狭く規定され、公衆衛生を守るための介入手段は最小限でなければならない」。

最後に、ウイルス感染が終息に向かっている国においては、当局が生活を日常に戻すために努力すべきであり、無期限に日常生活を抑制する目的での非常権限の過剰な行使は避けなければならない、と彼らは言う。

「法の支配と人権の保護とともにある健全な社会の出現を促進するために、我々は各国に対し、人権に基づいたパンデミック抑制の手段を断固として維持することを勧める」と述べた。

2、新型コロナウイルス対策に例外があってはならない:“誰もが人命救助を受ける権利がある”

ジュネーブ(2020年3月26日):国連の人権専門家らは、公衆衛生や緊急措置だけで新型コロナウイルスの危機を解決することは難しく、その他の人権問題についても積極的に議論されるべきであると述べた。

専門家らは「すべての人に例外なく人命救助を受ける権利があり、そしてその責任は政府にある。リソースや公的・民間保険が不十分であることを、特定の患者集団に対する差別を正当化する理由にしてはいけない」としている。

「すべての人に健康の権利がある。

障害を持つ人々、高齢者、マイノリティーの集団、先住民族、国内避難民、極度の貧困状態にある人々、人口密度の高いところに住んでいる人々、居住型施設に住んでいる人々、身柄を拘束されている人々、ホームレスの人々、移民や難民、薬物依存の人々、LGBTやジェンダーの多様な人々を含め、あらゆる人々や集団が政府からの支援を受ける必要がある」。

「生物医科学の進歩は、健康の権利を実現するために非常に重要である。しかし、あらゆる人権も同様に重要である。差別の禁止、参加、エンパワーメント、説明責任といった原則が、健康に関する政策すべてに適用されなければならない」。

国連の専門家らは、世界保健機関(WHO)がパンデミックの抑制に向けて推奨する対策を支持した。国家に対しては、公衆衛生システムに関わるすべてのセクター(予防と発見から治療と回復までの全過程に関わるもの)に必要なリソースを供給するための断固たる行動を呼び掛けた。

「しかし、今回の危機対応では、より多くのことが必要である。国家は、危機によって特に被害を受けやすい人々に支援が行き届くように、追加の社会的保護措置を講じなければならない」と専門家らは強調した。「その中には、既に社会的・経済的に不利な立場にあったり、さらなる介護の負担に耐えたり、性別による暴力のリスクが増大した中に暮らしている女性を含む」。

専門家らは、新型コロナウイルスの感染拡大と勇敢に闘う世界中の医療従事者に感謝と賞賛の意を表明した。「彼らは膨大な仕事量に直面し、自分の命を危険にさらしながら、リソースが不十分な場合は、耐え難い倫理的なジレンマに向き合うことを強いられている。医療従事者は政府やビジネス界、メディア、一般市民から可能な限りのサポートが必要である」。

専門家らは「新型コロナウイルスは深刻な世界規模の課題である」と言う。

「しかしながら、これは普遍的な人権の原則を再び活性化するための警鐘でもある。これらの原則と科学的な知識への信頼は、フェイクニュースの流布や偏見、差別、不平等そして暴力に勝るべきである。我々は前代未聞の課題に直面している。この危機に際し、特にビジネス界は引き続き人権上の責任を負う。

協調的な多国間の取り組みや、連帯と相互信頼があって初めて、我々はパンデミックを打ち負かし、回復力を高め、成熟し、団結する

新型コロナウイルスのワクチンが発明されたら、差別なく提供されなければならない。それまでの間は、人権に基づくアプローチこそが、公衆衛生に対する主要な脅威を抑制するのに効果的な、もう1本の道すじであることが既に知られている」と専門家らは締めくくった。

1)新型コロナ感染症:国家は緊急対策の濫用で人権を抑圧してはならない
英語原文  https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=25722&LangID=E

2)新型コロナウイルス対策に例外があってはならない:“誰もが人命救助を受ける権利がある”
英語原文 https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=25746&LangID=E

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藤田 早苗 (ふじた さなえ)

英国エセックス大学人権センターフェロー。専門は国際人権法。2013年、特定秘密保護法を英訳して国連に通報しその危険性を国際社会に周知。表現の自由に関する国連特別報告者の日本調査実現のために尽力、現在も日本国内外で日本の表現と情報の自由にまつわる諸問題について問題提起を続ける。名古屋大学大学院国際開発研究科修了。英国エセックス大学で国際人権法学修士号、法学博士号取得。
主要文献・論文に、The World Bank, Asian Development Bank and Human Rights: Developing Standards of Transparency, Participation and Accountability (Edward Elgar Publishing, 2013)、
「国際人権法の定める「情報にアクセスする権利」と秘密保護法」『法学セミナー』2014年6月号、「第6回自由権規約委員会日本報告書審査における秘密保護法と「情報にアクセス する権利」(自由権規約19条)の問題)」『国際人権(自由権) 規約第6回日本政府報告書審査の記録-危機に立つ日本の人権』( 現代人文社、2016年)など。
活動の詳細はこちら → https://hyogen-tsutaeru.jimdofree.com/

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(編集後記)
今、コロナウィルス感染症という脅威を前に、世界中が同じ問題に向き合っています。
同じ問題に対して、各国はどのように向き合い、人々に寄り添っているのでしょうか。
医療体制のあり方。人々の生活と命を守る政策のスピード感。呼びかける言葉の重み。
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