【No.970】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十九弾 大津祭 2018・10・6|至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田芳弘氏|
2020.07.30
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構想日本メールマガジン【No.970】 2020.07.30 発行

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<目次>

【1】各地からの現場レポート

(1) オンラインと対面の混成「清水ミライ自分ごと化会議」北海道清水

【2】お知らせ

(1) 全国各地から寄せられた声「コロナとの付き合い方」オンライン自分ごと化会議 

(2) 福島第一原発視察の様子、ほか2編をFBでご覧ください

(3) Yahoo!ニュースオーサー記事 

【3】巻末寄稿文

「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十九弾 大津祭 2018・10・6

至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長  石田 芳弘

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【1】各地からの現場レポート
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(1) オンラインと対面の混成「清水ミライ自分ごと化会議(6)」7月28日開催 北海道清水町

新型コロナの影響で会議などが中止になる中、どんな状況にあっても住民との対話の場を継続したいという清水町の強い思いは変わらず、7月28日第6回【清水ミライ自分ごと化会議】を開催しました。
今回も、直接役場に来ることができない人も参加できるように、対面とオンラインを融合させる形での開催となりました。

テーマは、『少子高齢化』『情報発信』。
今までの議論の中で積み重ねてきた住民の意見を集約し、再度見直しながら提案書にまとめていきます。

~意見抜粋~
第1班 『少子高齢化』
● 子育ては子どもを育てるだけでなく、それに関わる大人たちも人として成長させる。子育てを通じて大人たちの繋がりも増えるのではないか。
● コミュニティ形成の発起人(地域のリーダーのような人)の育成や形成が必要。
第2班 『情報発信』
● 道の駅や地元のレストランの情報など、地域に根差した情報がまとまっていると嬉しい。
● オンラインと紙と並行して情報を発信する必要がある。
詳細はこちら → http://kosonippon.org/wp-manager/2020_shimizu6/

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【2】お知らせ
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(1)「コロナとの付き合い方」オンライン自分ごと化会議 第2回 7月5日(日) 実施

「自分ごと化会議」参加経験者9名、ナビゲーターに福嶋浩彦氏(元消費者庁長官他)、代表の加藤秀樹、コーディネーターを伊藤伸が務め、福嶋氏から問題提起後、活発な議論が行われました。

テーマ「コロナから見えてきたこと」

~開催時の参加者からの意見~

・感染したことによる周囲からの目が怖い。
・日頃から信頼しているサイトから情報を取ってきている。
・自分で判断出来るだけの情報を自分で取りに行ける人は少ない。
・どこかに責任転嫁したがる風潮、自分で判断出来る社会では無くなってきたのか?
・疾患を持つ家族の散歩、買い物などは、人混みの多寡によって役割分担をしている。

~共有事項~

1.一つの現象で判断せず、なぜそうするのかを考える。結論だけを押し付けない。
2.人(環境)によって気の遣い方やリスクは違う。
身近に感染リスクの高い人がいる場合(介護等の現場を含む)、感染リスクを下げる努力は必要。但し、リスクを0にすることのみが正しいわけではない。
3.絶対の情報はない、また、正義は一つではないことを認識する

次回、第3回は8月末ごろを予定しています。詳細は、HPやFBで公表しますので、ご期待ください。
こちらから動画をご覧いただけます →  https://www.youtube.com/watch?v=ZYh6NvBn9p8&feature=youtu.be

詳細はこちら 構想日本HPへ →  http://kosonippon.org/wp-manager/online_2/
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(2)福島第一原発視察の様子、ほか2編をFBでご覧ください

◇【福島第一原発2度目の視察】 全文→  https://www.facebook.com/shin.ito.9235/posts/3188765847909911
「時間が経つと関心が薄れてしまう状況をいかに防ぐかを構想日本としても考えていきたい。」

◇【長岡京市「自治振興条例」策定協力スタート!】全文→   https://www.facebook.com/shin.ito.9235/posts/3179418592177970
「批判ではなく前向きな指摘や行政と一緒に物事を考えようという意識は素晴らしかった。」

◇【土曜日は北海道清水町で「清水ミライ自分ごと化会議」6回目】全文→  https://www.facebook.com/shin.ito.9235/posts/3174513349335161
「リスクをぎりぎりまで低減しながら実施する清水町のスタンスはとても素晴らしいと率直に思う。」

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(3) Yahoo!ニュースオーサー記事

総括ディレクター 伊藤 伸

オーサーコメント → https://news.yahoo.co.jp/profile/author/itoshin/comments/

◆布マスク8千万枚、今後さらに配布 不要論噴出でも…9業者に発注済(朝日新聞デジタル)
「今の時点なら具体的根拠をもっと示さなければ国民の理解は到底得られない。何よりも、EBPMは政府が旗を振っていることなのだから。」
◆GoToキャンセル料補償を表明 10~17日の東京旅行予約(共同通信)
「やっぱり向かう先が違っていたというのが今回だろう。ただし、ベクトルを誤ったのは官僚というより政治の側だ。」

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【3】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第四十九弾 大津祭 2018・10・6

至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長  石田 芳弘
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祭は歴史の流れを遡上し、我々にその源流を啓示してくれる。自治体の潜在力を人口や財政の数値で計る価値観のもとでは、「近江大津宮」という古代の都であった大津市の魅力を評価する人は多くないかもしれない。

日本古代史の国家形成過程は七・五・三と覚えるとわかりやすい。3世紀邪馬台国、5世紀古墳時代を経て7世紀飛鳥時代。大化の改新を推進した天智天皇の後継争いである「壬申の乱」を制し即位した天武天皇が、我が国の古代国家を成立させた。この壬申の乱の舞台が近江大津宮であり、戦いの前哨戦は、わが母なる川木曽川を挟んで戦端が開かれた。大海人皇子(のちの天武天皇)側近のリーダー村国男依(ムラクニノオヨリ)は、私の住む隣町の各務ヶ原市鵜沼の生まれゆえ、私は大津という都に特別の歴史ロマンを感じてきた。だから私は大津の街並みと大津祭を知りたいと思った。

まず、東名高速道路の大津サービスエリアにある展望台から眼前に広がる琵琶湖と、比叡山の大パノラマを一望してみよう。水辺の風景の美しさはヨーロッパのウィーンやプラハと比肩される一方、天台宗総本山、比叡山延暦寺は中世史最大の修羅場となった信長の焼き討ちを思い出させる。かつて東海道53次の53番目の宿場町、東山道・北陸道の交差する要衝でもあった大津は、人口30万余り。国指定文化財数(建造物)は京都・奈良に次いで滋賀は3位であり、千年の都、京都の玄関口のような暦層を感じさせた。

大津祭は天孫神社の例祭であり、国指定重要無形文化財である。大津という町は滋賀県都でありながら、役所界隈はビル群ではなく木造の古い町並みが歴史の残照を醸し、アーケード街に祭の曳山・練り物が列を連ねた。

この祭に関心を持ったのは、我が犬山祭と曳山の数が一緒の13台、それに乗ったからくり人形の数がほぼ一緒だという点からであった。からくり人形というものは田楽・能・狂言・歌舞伎などと同類の民俗芸能の一つであり、祭における奉納神事である。関西で生まれたこのからくりは、江戸時代中京に伝播し、発達を遂げる。愛知・岐阜両県の祭はからくり人形の宝庫であり、愛知県ではこのからくり人形が豊田自動織機を生み、トヨタ自動車につながるという説が人口に膾炙している。

今回大津に行くにあたって私は、尾陽木偶師(びようでくし・尾張のからくり人形師)九代目玉屋庄兵衛さんを誘った。文化財ではあるが、からくり人形は祭礼時に激しく使うから、数年に一度は補修が必要になる。犬山は江戸時代からの一子相伝の職人玉屋さんが修理するが、大津では町内の器用な人が修理するらしい。祭は地域の大衆が支えるものであるし犬山と大津ではからくり人形の機能が違うが、プロとアマの仕事の差は歴然だ。文化財を保存するのか活用するのか、あるいは有形・無形のどちらに力点を置くかに係るテーマだ。

犬山市は2020年にからくり館を建てる計画があり、大津市と連携するため大津祭曳山展示館を訪れ、関係者と懇談した。それはそれで収穫はあったが、実は大津祭の白眉は、曳山を飾る装飾幕である。「月宮殿山」と「龍門滝山」2台の曳山を飾る見送り幕が、京都祇園祭の「白楽天山」の前懸とともに16世紀ヨーロッパ、ブラバン・ブリュセル製の「トロイア陥落図」タペストリーであるのだ。京都祇園祭にもろに影響を受けた形跡があり、説明は端折るが、この物語は壮大な歴史と文化のロマンの中に我々を誘う。

ところで、大津祭の曳山行事というのは、なかなか複雑な組織体になっている。「大津祭保存会」という文化財の保存を担当する組織と、「大津祭曳山責任者会」という曳山巡行の執行をする組織、周辺業務を束ねる形で祭礼当日の諸行事を仕切るNPO組織「大津祭曳山連盟」があり、曳山展示館の市指定管理者にもなっている。この3組織の相関関係、特に曳山連盟の展示館運営が、我々犬山祭保存会の今後の参考になった。地縁コミュニティが急激に変質しつつある昨今、新しい器に酒を入れ替えることが我々祭関係者に求められる。

ユネスコの無形文化遺産が、なにか特別ありがたい価値とは意識しないが、大津祭は未登録ゆえ登録目指して市行政が運動中だそうである。その前段階として2019年秋、曳山系の祭を束ねて、文化庁の主催で伝統技術者会議がここ大津で開かれる。

近年祭そのものには大勢の観光客が集まるようになったが、祭を支える伝統技術者たちが絶滅危惧化されつつある。この技術者会議には是非私も参加して、技術者ではないが祭研究者として一翼を担いたいものだ。

ここでも祭を語る人々はみんな熱かったし、自分のまちと祭ファーストであった。ローカリズムの面目躍如だ。

※大津祭  http://www.otsu-matsuri.jp/home/
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石田 芳弘(いしだ よしひろ)

愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。

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(編集後記)

正常性バイアスが怖いと思う日々の中、100年に1度の危機に国会は閉じています。
「テレワーク7割」を経済界に要請しつつ、「Go To トラベル」キャンペーンの推進。
天災の筈の新型コロナウィルスが、対策の不備により人災にならないことを祈っています。

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