【No.1079】◆寄稿文を公開◆アベノミクスの期間に国民の預貯金はどこに運用されたか―国民の預貯金が国債を支える―  構想日本理事 宇野 輝
2022.09.29

◆寄稿文を公開◆第2回 アベノミクスの期間に国民の預貯金はどこに運用されたか―国民の預貯金が国債を支える―
構想日本理事 宇野 輝

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構想日本メールマガジン【No.1079】 2022.09.29 発行
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<目次>
【1】構想日本企画シリーズ ~「note」で、伝えたい 構想日本
新たに記事を公開
【2】雑談ラジオ企画:脱線!どちて雑談 全29話を公開中
【3】この先1か月の活動予定
4つの自治体で自分ごと化会議を開催予定
【4】ザラ撮り!
ザラザラ写真をお楽しみください
【5】身の回りのツルツルとザラザラを仕分けてみませんか
皆さまからのツルザラをご紹介
【6】巻末寄稿文
第2回「アベノミクスの期間に国民の預貯金はどこに運用されたか ―国民の預貯金が国債を支える―」
構想日本理事 宇野 輝

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【1】構想日本企画シリーズ ~「note」で、伝えたい 構想日本
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「note」で、伝えたい 構想日本

コロナ禍で様々な社会問題が顕在化し、行き詰まった日本社会に解決の一石を投じる《自分ごと化対談》を、noteにしました。
動画とは一味違った内容になっています。是非ご覧ください。

~「下山」に学ぶ、いま、日本に必要なこと(6)~ 自分ごと化対談(登山家 竹内洋岳氏)

<Chapter6> “人の幸せ”とは「変化することが幸せ、選べる期待」
― 竹内洋岳氏が考える“人の幸せ”とは
― 今日の一言「下山」

◎記事全文はこちらから → https://note.com/hi_kato/n/nd57c407470b3
◎動画はこちらから → https://youtu.be/WZ7oFfP0Y80
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※note(ノート)は、クリエイターが文章や画像、音声などを投稿し、ユーザーが応援できるメディアプラットフォームです。

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【2】雑談ラジオ企画:脱線!どちて雑談
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大人のどちて坊や・谷野栄治(クリエイティブディレクター)の疑問に、加藤秀樹(構想日本代表)が答えてすすむ雑談ラジオ。
アニメ番組『一休さん』に登場する、“どちて(どうして)ですか?”が口癖のキャラクター「どちて坊や」。全29話を公開しています。
その「どちて坊や」の問いかけように、よのなかの出来事に対する”素朴な疑問”から話がはずむ、ゆかいな雑談です。
脱線こそ雑談の醍醐味。脱線からうまれる初耳の話を、お楽しみください。

記念すべき第1回目の雑談はこちらからご覧ください!
https://www.youtube.com/watch?v=SOt5YO_L1Xo&list=PL1kGdP-fDk396uM9C-x2CaPBM8FeOLZdF&index=1

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【3】この先1か月の活動予定
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(1)奈良市 月ケ瀬地区第3回自分ごと化会議
無作為で抽出された市民がテーマごとに2班に分かれて議論します。5回シリーズの会議の3回目が開催されます。
【日時】 10月6日(木)19時~21時30分(予定)
【場所】 月ヶ瀬ワーケーションルームONOONO(A班)、月ヶ瀬行政センター(B班)
【テーマ】共助・地域コミュニティの力を活用したヒト・モノの移動に関する地域課題解決(A班)
共助・地域コミュニティを強化する手法(B班)

(2)岡山県新庄村 村づくり自分ごと化会議
全国的にも珍しい議会主催の自分ごと化会議で、無作為で抽出された村民が村の子どもたちの教育環境のあり方について議論します。4回シリーズの会議の1回目が開催されます。
【日時】10月16日(日)13時30分~15時30分(予定)
【場所】新庄村公民館 大会議室
【テーマ】子どもたちの未来につなぐ新庄村ならではの教育環境づくりとは

(3)山梨県大月市 大月市事業仕分け
大月市での事業仕分けは今年で2年目。無作為で抽出された市民が2班に分かれ、それぞれ5事業について評価を行います。
【日時】10月22日(土)9時30分~16時45分(予定)
【場所】大月市立大月短期大学 岩殿ホール 講義室

(4)群馬県富岡市 一ノ宮地区・富岡地区円卓会議(自分ごと化会議)
今年度から11地区の公民館で、無作為で抽出された市民が地域の課題について議論する円卓会議(自分ごと化会議)を開催します。11地区のうち2つの地区(一ノ宮地区・富岡地区)で構想日本が会議をサポート。5回シリーズの会議の1回目が開催されます。
≪一ノ宮地区≫
【日時】10月29日(土)9時30分~12時(予定)
【場所】富岡市社会教育館
【テーマ】地域運営や地域活動等における役員のなり手不足

≪富岡地区≫
【日時】10月29日(土)13時30分~16時30分(予定)
【場所】富岡公民館 大会議室
【テーマ】災害への備え

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【4】ザラ撮り!
日常にある身近なザラザラを、自由な視点で写真で切り取り紹介します!
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【5】身の回りのツルツルとザラザラを仕分けてみませんか
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皆さまからいただいた“ツルザラ”をご紹介していきます。

◆ あなたの“ツルザラ”◆
・H氏のツルザラ
ツルツル >ベッドタウンの建売住宅、電動化、高齢者施設の手摺
ザラザラ >商店街のアーケード、内燃機関、普通列車のクロスシート、焼鳥屋のにおい
・T氏のツルザラ
ツルツル >流行するファッション、郊外のショッピングモール、人気のない商店街、人が集まる流行りの場所、テレビ番組、チェーンのコーヒーショップ、近所付き合い、定量的に見えるところだけの評価
ザラザラ >アンティーク、不器用な人たち、語りの生まれる喫茶店、演劇など、家族、定性的な評価
・K氏のツルザラ
ツルツル >ガイドライン、医師会、ジェネリック薬品、大学、教授、自動血圧計、人間ドック
ザラザラ >自動二輪、オートバイ、開業医、水銀血圧計、現金払い、テーラーメイド医療

◆「今の社会でこれが問題だ」と思うことを併せてお尋ねしています ◆
・H氏 >少子高齢化
・Y氏 >教育の場における環境、特に小・中・高における教育環境。『やり方、知識、設備』なども大事だがそれ以上に、それらを正しく活かせる人としての『あり方』の部分をしっかり教えられる、考えられる時間、日常、先生の背中、親の背中、企業の背中、日本の背中が根本的な大切な部分になってくると考えています。
・T氏 >セルフや効率化が悪いわけではないのですが、作業の効率化と比例してコミュニケーションが簡素化していることが気になります。先日某牛丼チェーンに行ったらタッチパネル注文とセルフレジになっていて、おじいちゃん軍団が困り顔。店員さんも『わからないところで言ってください』とマニュアル的に声はかけるものの、おじいちゃんたちは何をやれと言われているかがまずわからない。(笑)気配りひとつで済む問題なのになぁ。
・T氏 >若者たちの声が聞こえづらいこと、個人化、クローズドなコミュニティ
・N氏 >困っている人に手を貸さない、タバコのポイ捨て、歩きタバコ
・K氏 >数の論理を先行させて政策や進路を決めようとすること、虚構の権威、虚構の正義、虚構のプロパガンダ

皆さまは、どんなことにツルザラを感じられますでしょうか。是非、ご参加ください。
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▼「ツルザラ仕分け」のお願い
1、あなたの身近で「ツルツル」だと思うものを教えてください。
2、あなたの身近で「ザラザラ」だと思うものを教えてください。

下記、グーグルフォームよりご回答ください。
https://forms.gle/EosCiVcQWP2tZfum9

<背景>
今の社会は、経済を成長させ「お金が増えるとみんなが幸せになる」が前提です。
そのために自由化・効率化=ツルツル化(効率の悪いものを極力減らすこと)をしてきました。
昔からの生活にある、デコボコ・ザラザラ(手間をかけてものを作ること、習慣の違いなど)を減らし、物もお金も人も画一化し、効率的に動かし、今やツルツル・ピカピカです。
構想日本はザラザラ社会の方が平和で、多くの人が幸せになれると考えています。SDGsとはツルツル化を見直そうという運動とも言えます。しかし、世界はまだツルツル化が進んでいます。
そこでまずは、ツルツルとザラザラの両方が選択できる世界二制度の仕組みを考えようと提案しています。

詳細はこちら 構想日本HP →   https://www.kosonippon.org/wp-manager/turuzara_0308/

~参考書籍~
「ツルツル世界とザラザラ世界 世界二制度のすすめ 」 加藤 秀樹(著)
Amazon書籍販売ページ:  https://www.amazon.co.jp/dp/B08PL2VS1G

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【6】第2回「アベノミクスの期間に国民の預貯金はどこに運用されたか ―国民の預貯金が国債を支える―」
構想日本理事 宇野 輝(うの あきら)
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アベノミクスにおいては、日本銀行を子会社の如くに扱い、日銀の独立性を無視してきた姿勢に問題があった。本来ならば、日銀は日本銀行法第3条に記載の如く、日銀の通貨及び金融の調節における自主性が尊重されなければならない。また、財政法第4条を遵守せず、国会の議決を経て赤字国債を発行し続けたことは、財政規律から問題が多い。

表2に示す如く、2021年3月期のバランスシート間の資金移動状況をみると、国民の預貯金のうち民間金融機関を通して直接に158兆円が国債に運用され、そして日銀預け金400兆円を通して日銀が532兆円の国債運用を行っている。その合計690兆の国債への運用は政府の国債発行額935兆円の74%にあたる。このことは家計の預貯金約700兆円が民間金融機関と日銀を通じて国債の3/4に運用されたと推定できる。

このスキームで問題なのは、日銀の預け金400兆円は民間金融機関から政府への金融仲介を行い、政府から国債の支払利息を受け取り、若干の経費等を差し引き民間金融機関の当座にゼロまたはマイナスの利息を支払い、その利ザヤの収益が日銀の当期純利益に計上され、税金を国庫に納めていることにある。加えて、国民の預貯金が異次元緩和によって日銀に運用され成長戦略に寄与するスキームとは全く違うことになっている。

表1で示した如く、国債残高と国債の利払い費用の関係をみると、2012/3の普通国債残高670兆円は2020/3に887兆円と217兆円増加しているにもかかわらず、利払い費は2012年8.1兆円で2020年8.8兆円であった。残高が32%増加しているにもかかわらず、利払い費はほぼ横ばいであった。

この間、内閣府の「中長期経済財政に関する試算」は名目長期金利見通しをゼロに固定してきた。2022年7月の同試算においても、先行き2025年まで0.1%で固定し、2026年0.2%、2027年0.8%、2028年に初めて1.5%を想定している。岸田政権は2022年まで実質ゼロ金利政策を継続するつもりであると思われる。0~0.2%の範囲であれば、国債の利払い費増加は1.6兆円程度で済むことになる。

しかし、一旦長期金利が2%まで引き上がれば、利払い費は16兆円程度増加するので、同試算では2029年の名目GDPは692兆円となり、2021年対比150兆円の増加を見込まねばならず、毎年3%以上の名目GDPを増やさねばならない。このように同試算はつじつま合わせの計画を、20年間にわたり上書きをしてきた。これも国民の預貯金が自国通貨で国債を引き受けているから、国債の格付けは上位のクラスで推移しているのであって、国民の預貯金の裏付けなしで、低利の国債発行はできない。国民の預貯金残高が、政府への実質預託金の役割を果たし続けている限り、国民負担にはならないが、これまでと同様に得べかりし利子所得の 犠牲を伴う。さらに消費税や資産課税の増税を覚悟しなければならない。


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【筆者略歴】京都市生まれ、京都大学経済学部卒。住友銀行取締役、三井住友カード副社長、SMBCコンサルティング会長、日本郵政執行役員、ゆうちょ銀行常務執行役、京都大学経済学部特任教授を経て、京都大学総長特命補佐。
構想日本理事(現任)、京都大学博士(経済)
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(編集後記)10月16日に自分ごと化会議を開催予定の新庄村は、自然豊かで美しい村。「残したい日本の音 100選」や「かおり風景 100選」にも選ばれ、音や香りも存分に楽しむことができます。一度訪れて五感を使って全身でその空気を感じてみたいと思っていますが、その前に、便利な生活の中で鈍った五感を鍛え直すことが先決かもしれません!
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