【No.1081】◆寄稿文を公開◆最終回「資産所得倍増プランに資する提言」 構想日本理事 宇野 輝
2022.10.13

◆寄稿文を公開◆最終回「資産所得倍増プランに資する提言」 構想日本理事 宇野 輝 #1081

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構想日本メールマガジン【No.1081】 2022.10.13 発行
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<目次>
【1】この先1か月の活動予定
4つの自治体で自分ごと化会議を開催予定
【2】ザラ撮り!
【3】雑談ラジオ企画:脱線!どちて雑談 全29話を公開中
【4】身の回りのツルツルとザラザラを仕分けてみませんか
皆さまからのツルザラをご紹介
【5】巻末寄稿文
最終回「資産所得倍増プランに資する提言」 構想日本理事 宇野 輝

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【1】この先1か月の活動予定
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(1)岡山県新庄村 村づくり自分ごと化会議
全国的にも珍しい議会主催の自分ごと化会議で、無作為で抽出された村民が、村の子どもたちの教育環境のあり方について議論します。4回シリーズの会議の1回目が開催されます。
【日時】10月16日(日)13時30分~15時30分(予定)
【場所】新庄村公民館 大会議室
【テーマ】子どもたちの未来につなぐ新庄村ならではの教育環境づくりとは
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】108人・10人(応募率9.5%)

 

(2)山梨県大月市 大月市事業仕分け
大月市での事業仕分けは今年で2年目。無作為で抽出された市民が、2班に分かれそれぞれ5事業について評価を行います。
【日時】10月22日(土)9時30分~16時45分(予定)
【場所】大月市立大月短期大学
【対象事業】ふるさと納税推進事業、市営住宅維持管理事業、子育て支援手当支給事業、ほか全10事業
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】1100人・34人(応募率3.1%)
詳細は大月市HPよりご覧いただけます。
https://www.city.otsuki.yamanashi.jp/shisei/shisaku_keikaku/2021-1117-1302-3.html

 

(3)群馬県富岡市 一ノ宮地区・富岡地区円卓会議(自分ごと化会議)
11地区の公民館で無作為で抽出された市民が地域の課題について議論する円卓会議(自分ごと化会議)を開催します。11地区のうち2つの地区(一ノ宮地区・富岡地区)で構想日本が会議をサポート。5回シリーズの会議の1回目が開催されます。
≪一ノ宮地区≫
【日時】10月29日(土)9時30分~12時(予定)
【場所】富岡市社会教育館
【テーマ】地域運営や地域活動等における役員のなり手不足
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】713人・12人(応募率1.7%)

≪富岡地区≫
【日時】10月29日(土)13時30分~16時30分(予定)
【場所】富岡公民館 大会議室
【テーマ】災害への備え
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】282人・6人(応募率2.1%)

 

(4)鳥取県琴浦町 ことうら環境アクションンチーム第3回会議(自分ごと化会議)
昨年度行われた「みんなで考える家庭ごみ減量会議」で作成した「提言書」の内容を実行に移すためにチームを発足。そのチームによる3回目の会議が開催されます。
【日時】10月30日(土)9時30分~12時00分(予定)
【場所】琴浦町役場分庁舎2階多目的ホール
【テーマ】家庭ごみの減量
詳細は琴浦町HPよりご覧いただけます。
https://www.town.kotoura.tottori.jp/docs/2022100700053/

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【2】ザラ撮り!
日常にある身近なザラザラを、自由な視点で写真で切り取り紹介します!
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【3】雑談ラジオ企画:脱線!どちて雑談 全29話を公開中
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大人のどちて坊や・谷野栄治(クリエイティブディレクター)の疑問に、加藤秀樹(構想日本代表)が答えてすすむ雑談ラジオ。
アニメ番組『一休さん』に登場する、“どちて(どうして)ですか?”が口癖のキャラクター「どちて坊や」。その「どちて坊や」の問いかけように、よのなかの出来事に対する”素朴な疑問”から話がはずむ、ゆかいな雑談です。脱線こそ雑談の醍醐味。脱線からうまれる初耳の話を、お楽しみください。

◎先週の第2話に続き、第3、4、5話はこちらから!

 

第3話「働き方から始まる「生き物としての人間が死んでいる?」話
→ https://www.youtube.com/watch?v=_7Hiq2IUXBg&t=0s
第4話 ツルツル世界とザラザラ世界から始まる「肌感覚と民主主義の終焉」話
→ https://www.youtube.com/watch?v=aiBQ4c4PN2o&t=0s
第5話→ 敬語から始まる「言葉がツルツル化している」話
→ https://www.youtube.com/watch?v=dpplC6VhCG8&t=0s

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【4】身の回りのツルツルとザラザラを仕分けてみませんか
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皆さまからいただいた“ツルザラ”をご紹介していきます。

◆ あなたの“ツルザラ”◆
・匿名希望の方のツルザラ
ツルツル >ロボット掃除機
ザラザラ >新生児や乳児の世話、新聞紙や新聞配達
・匿名希望の方のツルザラ
ツルツル >永久脱毛(永久に終わらない脱毛という意味ではありません)、メガバンク、カニかま、ワンちゃん・ネコちゃん
ザラザラ >グラミン銀行、無尽講、ジャケットの肘当て、座敷童子(ツルツルの家には出なさそう)、雪女(ツルツルの街には出なさそう)、毛蟹、犬、猫
・K氏のツルザラ
ツルツル >社会システム全般、システム依存した人間の行動全般
ザラザラ >人間関係、コミュニティー(家族・親戚などを含む)、ホールシステム、人生、ご縁

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◆「今の社会でこれが問題だ」と思うことを併せてお尋ねしています ◆
・匿名希望の方 >脳の報酬系を刺激する依存性ある食品(砂糖や小麦粉や米など)
・匿名希望の方 >ガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底、リスクマネージメントの向上といった言葉が日々躍る一方で、不祥事が後を絶たない現実
・匿名希望の方 >子どもの貧困、親の離婚、居場所のなさ、出産や育児に対する補助金が少ない、難民問題、戦争
・匿名希望の方 >貧困問題、人同士の争い、自然環境の悪化
・匿名希望の方 >SNSが普及したことで、ハートが多い=良い人生のようになっていること
・T氏 >終身雇用が前提の雇用制度(数年間の雇用契約が結べない日本、外国人や女性が不利になる雇用制度)、外国人を安く搾取する技能研修制度
・T氏 >会社内等で「今の時代はこうでいたい」という若者と「昔ながらのこれを大事にしなくてはならない」という上司の意見が対立しがちな世の中で、何が正しいのかそうではないのかを明確にできないからこその問題に悩んでる人が多いイメージ。ただし、ロジカルにではなくただ人の話を聞く耳もたないパターンもあるためこの問題以前の問題でもありそう
・K氏 >システム依存によって、ツルツル一辺倒になっていること、環境問題、戦争

皆さまは、どんなことにツルザラを感じられますでしょうか。是非、ご参加ください。

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▼「ツルザラ仕分け」のお願い
1、あなたの身近で「ツルツル」だと思うものを教えてください。
2、あなたの身近で「ザラザラ」だと思うものを教えてください。

下記、グーグルフォームよりご回答ください。
https://forms.gle/EosCiVcQWP2tZfum9

 

<背景>
今の社会は、経済を成長させ「お金が増えるとみんなが幸せになる」が前提です。
そのために自由化・効率化=ツルツル化(効率の悪いものを極力減らすこと)をしてきました。
昔からの生活にある、デコボコ・ザラザラ(手間をかけてものを作ること、習慣の違いなど)を減らし、物もお金も人も画一化し、効率的に動かし、今やツルツル・ピカピカです。
構想日本はザラザラ社会の方が平和で、多くの人が幸せになれると考えています。SDGsとはツルツル化を見直そうという運動とも言えます。しかし、世界はまだツルツル化が進んでいます。
そこでまずは、ツルツルとザラザラの両方が選択できる世界二制度の仕組みを考えようと提案しています。

詳細はこちら 構想日本HP → https://www.kosonippon.org/wp-manager/turuzara_0308/

~参考書籍~
「ツルツル世界とザラザラ世界 世界二制度のすすめ 」 加藤 秀樹(著)
Amazon書籍販売ページ:  https://www.amazon.co.jp/dp/B08PL2VS1G

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【5】最終回「資産所得倍増プランに資する提言」
構想日本理事 宇野 輝(うの あきら)
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失われた20年の間に国民・企業・政府の三位一体の関係はイコールフィッティングにならず、国民の金融資産所得においては預貯金の利息収入が「なし」に等しいものとなってしまった。そして、本来得べかりし利息収入はすべて政府と企業に肩代わりされてしまった。特に、アベノミクス期間中は実証分析が示す如く、財政出動によってばらまかれた補助金や損失補填の財源となった、国債費の利払い費に使われてしまった。

長期化した低金利政策の副作用として、金融機関の収益体質低下を招き、金融機関の存続を脅かす社会インフラの危機を招いてしまった。銀行の金融仲介機能は預金金利と貸出金利の差が収益となっている。金利低下によって預金金利と貸出金利が同じ幅で低下するため、預金金利が0%に近い場合、預金金利の低下余地がなく銀行収益は減少を余儀なくされる。国民の預貯金はかかる理不尽な金利政策に、犠牲を強いられた現状を本来の姿に戻すため、まず第1にマイナス金利政策中止し、低金利政策の金利水準を限りなく1%に近づけることが喫緊の課題である。

預金金利が1%上がれば、国民の受取利息は年間13兆円増加する。企業の借入残高に対する支払利息は5兆円増加し、住宅ローン支払い金利は3.5兆円増加するが、これまでの低金利の恩恵を受けた側としては、適正な資金コストを支払ってもらわなければならない。

政府の中長期経済財政に関する試算において、長期金利を見直し、国債の利払い費を多く計上しなければならないが、他方、歳出を抑制した財源のワイズスペンディングを行い財政赤字から黒字化するべきである。

国債の利払い費が1%利率アップすれば、10兆円の利払い費が増加となる。このことはコロナ禍において、国民一人当たり10万円の給付金が合計12兆円の支出であることを思えば、利上げによる国債費の増加10兆円は国民の利子所得増加につながり、同様の経済効果を発揮するはずである。税金のバラマキよりも国民の利子所得を増やす方が資本主義の理に適っていると言える。

金融資産所得の倍増プランに欠かせないのは、如何に配当所得を増やすかである。すでに配当所得はアベノミクスの配当政策である当期純利益の配当性向30%、配当利回り3%の目標を達成しており、配当所得倍増計画の目標はこのまま維持することが望ましい。2021年3月投資信託89兆円および株式への投資194兆円の合計残高278兆円は家計の金融資産1946兆円に対し14.3%を占める。これに比べ米国の同シェアは51.2%で、ユーロエリアの同シェアは27.8%である。先行きのわが国の目標値としてユーロエリア並みのシェアに引き上げるとすれば、わが国の貯蓄から投資へ14%のシェアを移行しなければならない。貯蓄残高は910兆円になり投資残高は418兆円になる。そうすると家計の配当所得は倍増し、現状の2倍の約16兆円になる。利子所得は預貯金残高が減少するものの、利息金利が0.1から1%に上昇し、家計の利子所得は2021/3の6.8兆円から5倍増程度になるであろう。異常なまでのリスクを取らないわが国の国民の投資マインドを、金融教育によって伝統的な間接金融から、安心できる市場直接金融に移行できるかにかかっている。
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【筆者略歴】京都市生まれ、京都大学経済学部卒。住友銀行取締役、三井住友カード副社長、SMBCコンサルティング会長、日本郵政執行役員、ゆうちょ銀行常務執行役、京都大学経済学部特任教授を経て、京都大学総長特命補佐。
構想日本理事(現任)、京都大学博士(経済)
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(編集後記)どちで雑談5話を視聴して、ツルツル保育園のエピソードであることを思い出しました。友人が子どもが小さい時に命の大切さを教えたいと熱帯魚を買ったところ、飼育が難しく次々と死んでしまったそう。その時子どもが言い放ったのが「また買ってくればいいよ!」。命の大切さを教えるつもりが、本末転倒。自覚のないままに深刻なツルツル化が進んでいることは本当に怖いことです。
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