【No.1154】戦後80年。戦争は他人ごとではない【戦禍の日本で詠まれた俳句】
2025.08.07

構想日本 メールマガジン #1154 2025.8.7発行

構想日本ジャーナル

TOPビジュアル:壁画絵師 木村英輝

TOPICS
◆戦後80年。戦争は他人ごとではない
◆代表加藤コラム「選挙は『国民主権』の入口」
◆おしらせ<8月の自分ごと化会議>
◆新スタッフ紹介第3弾
◆月刊コピー
◆【編集後記】リザレポンのひとりごと会議

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戦後80年。戦争は他人ごとではない
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戦争や紛争が世界中で勃発しています。戦争によって命を奪われ、家を追われ、大切な人を亡くした人たち、飢餓に苦しむ子供たちの姿を目にする度に、”遠い国で起きていること”にしてはいけない、諦めてはいけないと思います。
戦争は誰にとっても自分ごとです。そのことを胸に刻ませてくれる俳句をご紹介します。

原爆に焼けし乳房を焼けし子に

1945年8月6日8時15分、広島に原子爆弾が投下された。辛うじて生き残った人々も、放射能、爆風、熱風によって酷い傷や火傷を負い、次々と息絶えていった。直後の犠牲者は推定14万人に上る。
共に被爆した母と乳呑み子。阿鼻叫喚の中で、母は焼けただれた乳房を必死に我が子の口に含ませようとしている。果たして二人はこの後いのちを繋ぐことができたのだろうか。
句集『広島』(昭和30年刊)には、原爆投下直後の被爆者による俳句が収められている。極限状態の中で詩を詠みつづけた人々に敬意を表し哀悼の意を捧げると共に、一人でも多くの人に紹介することで鎮魂になればと願う。

◆黛まどか
俳人。1994年「B面の夏」50句で第40回角川俳句賞奨励賞受賞。2010年より1年間、文化庁「文化交流使」として欧州で日本文化の発信と国際文化交流に尽力。オペラの台本執筆、校歌の作詞、大学客員教授など多方面で活躍。著書に句集『北落師門』、随筆『引き算の美学』など多数。最新刊に『私の同行二人 人生の四国遍路』(新潮新書)。
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代表加藤コラム「選挙は『国民主権』の入口」
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参議院選挙では、自公が過半数を割り、参政党の躍進が注目を浴びた。有権者が選んだ人物が議員となり、国会で国の重要事項を決定する。つまり選挙とは国民の考えや期待が国の意思となるプロセスの「入口」だ。だから「投票したら終わり」ではなく、投票は「始まり」なのだ。国会は議員の仕事場だから、そこでの仕事ぶりを見ることが大事だ。選んだ議員が国会で何をし、どんな発言をしているか、選挙時の主張と何が違うか。選挙の後も「他人ごと」ではなく、「自分ごと」と考え、議員や政党の仕事ぶりを見て、次の選挙で誰を選ぶかを決めていく。この流れができれば、問題のある議員や政党は自然と淘汰される。

参院選5日後の「石破辞めるなデモ」は、いろんな意味で興味深かった。欧米や韓国などでは、デモは日常的だ。フランスでマクロン大統領の年金改革に反対する大規模なデモが行われた時に、フランス人が「デモの主張には反対だが、デモそのものには賛成だ」と話していた。これは、デモを自分たちの意見を政治に反映させる重要な手段と考えているからであり、国民主権の一部と考えているということだ。日本では大規模なデモは滅多になく、デモをするのは「特殊な人」「過激な思想の人」という先入観が強い。だから「石破辞めるなデモ」は政治を「自分ごと」として捉えたものとして、注目すべきことだと思う。

そんな中で、参政党の憲法案には「国家主権」とある。この場合の「国家」とは何なのか。参政党が政権をとったらそれが「国家」となり主権を持つということなのか。例えば投票率が50%の時に、得票率40%の政党が政権を担えば、全有権者のわずか20%の支持で国の方向性が決まる。20%の「国家主権」は80%の国民にとっては大きなリスクだ。こうした発想は、いわゆる民主主義国の原則とは正反対であり、海外から、日本が「ならず者国家」扱いされる恐れもある。

新しい政党が出ることは悪いことではないし、その中に過激な主張をするものがあってもよい。国会という場で様々な議論をすればよいのだ。大事なことは、私たちがその政党や議員の行動をしっかりと見ていくこと。
投票に始まり、その後も政治を「自分ごと」としてとらえ、必要に応じてデモなどの方法で声を上げる。それこそが民主主義の本質であり、私たち一人ひとりの利益につながるのだ。


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おしらせ<8月の自分ごと化会議>
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近くにお住いの方は、ぜひ傍聴にお出かけください。
事前申し込みが必要な自治体もありますので、詳細は各自治体のウェブサイトをご覧ください。

●8月16日(土)/8月17日(日)
広島県三原市「令和7年度三原市事業レビュー」(10年目)
自治体HP: こちらをクリック

●8月29日(金)/30日(土)/31日(日)
富山県「令和7年度富山県官民協働レビュー」(4年目)
自治体HP:こちらをクリック


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新スタッフ紹介第3弾
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6月から職員として働いています、飯島拓郎(いいじま たくろう)です。クリエイティブ業界でディレクターを経験したのち、ソーシャルビジネスを手掛ける企業で教育サービスの立ち上げを経て、構想日本に参画することになりました。大学時代に住民自治を学び、それ以来ずっと関心を持ち続けてきたので、住民がまちを「自分ごと化」することを掲げている構想日本でチャレンジできることをうれしく思っています。自分ごと化会議をはじめ、構想日本がこれまでに積み重ねてきた活動を広げながら、新しい可能性を生み出す活動もつくっていきたいと思っています。よろしくお願いします。


多様性は、賛成。外国人が来るのは、反対。

ここ最近、埼玉県川口市のクルド人問題をはじめ、日本にいる外国人とのトラブルのニュースをよく見かけます。増え続ける外国人の労働者と観光客。その数は現在、過去最多です。違いを受け入れる「多様性の尊重」を、行政でも企業でも積極的に進めていますが、現実ではなかなか思うようにはいきません。多様性という考えは、建前では賛成、本音では反対なんですね。多様性が大事と言っている人でさえ、違いを認めず、誰かを排除していることは多々あります。十七条の憲法で「和をもって貴しとなす」と定めた聖徳太子も、現代を見れば「相変わらずだなあ」と嘆くのでしょうか。人類が仲よく生きるのは本当に難しいですね。日本人にとっての多様性」とは共通の価値観の上に成り立つものなのかもしれません。日本でさまざまな国の人たちが共生するには、まだまだ時間がかかりそうです。

◆谷野栄治
クリエイティブディレクター。構想日本の広報宣伝に携わる。趣味は釣り。アジ、メバル、ブリをルアーで狙う。休日は愛犬の柴犬タローと海辺を散歩。


【編集後記】リザレポンのひとりごと会議

戦後80年にあたり、ツルザラ草子を書いていただいている黛さんに寄稿していただきました。今回はその感想を書きました。皆さまの感想、ご意見もお聞かせいただけたらと思います。news@kosonippon.org

読んで2秒で涙が出た。俳句とは、時を超えて、一瞬で体験を重ねさせられるものだと知った。親子とも焼けただれた悲惨な状況の中、子が生きているかも分からない、もしかしたら分かっているかもしれないけど、それでも、だからこそ乳房を与えて、大丈夫だよと安心させたい。辛すぎる。何度読んでも胸が締め付けられる。戦争はいけない、戦争をやめてほしい。たった80年前、広島にいたら。今の時代でも、パレスチナに、ウクライナに生まれていたら。ほんの少しの違いで、私はこの母親になっていたかもしれない。この先、そうならない保障もない。子ども達にもその先の子ども達にも、こんな思いをさせないために、今何ができるんだろう。自分ごとになりすぎて、ショックを受けた一句でした。戦争をなくすために、繰り返さないために、考え続けていきたいです。

◆リザレポン
構想日本広報宣伝リーダー/構想日本ジャーナル編集長。絵本作家としての一面も持つ。夫と3人の娘と地方在住。家では和食、外ではエスニック料理が好き。


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発行 : 構想日本、発行責任者 : 加藤秀樹
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